グローバルCOEプログラム 死生学の展開と組織化

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余 英時氏講演会


        
【日時】 2007年10月9日(水) 16時〜18時
【場所】 本郷キャンパス法文1号館 211番教室
【講演者】 余 英時
(ヨ エイジ, プリンストン大学名誉教授)  
【講演テーマ】中国人の死生観-儒教の伝統を中心に
【主催】
東京大学文学部中国思想文化学研究室
【共催】
東京大学文学部次世代人文学開発センター
東京大学グローバルCOE 「死生学の展開と組織化」
文科省科研「東アジア海域交流(にんぷろ)」
【言語】 英語





余英時(Ying-shih Yu)博士は中国思想史研究の分野における世界的権威で、現在はプリンストン大学名誉教授である。氏の研究領域は幅広いが、そのなかには儒教思想における霊魂の問題がある。「死生学の展開と組織化」にも関わりの深いテーマである。おりから、同じく平成19年度に発足した関西大学グローバルCOE「東アジア文化交渉学の教育研究拠点形成ー周縁アプローチによる新たな東アジア文化像の創出」(拠点リーダー:陶徳民関西大学教授、http://www.kansai-u.ac.jp/Kouhou/globalcoe/globalcoe1.html)が、その発足記念国際シンポジウム「文化交渉学の可能性を考える」のために余教授を招聘したのにあわせて、東大での講演会が企画された。その際、氏にはぜひ儒教思想の死生観を内容とするものをと依頼し、2007年10月9日にそれが実現した。
 演題は、Chinese Views of Life and Death: With Special Reference to Confucian Tradition、和訳すれば「中国人の生死観ー儒教の伝統を中心に」となろう。Views of Life and Deathという語順は、氏自身の提案である。上記和訳もこの語順に合わせている。講演冒頭では、『論語』に載る孔子の(ものとされている)ことば、「未だ生を知らず、いずくんぞ死を知らん」が引用され、儒教思想における「生と死」ー「死と生」ではなくーの問題が語られた。
 ともすると、上記孔子の発言などを根拠に、儒教は死を語らないと思いこまれ、それが一つの根拠になって「儒教は宗教に非ず」とする見解が強い。しかし、儒教関連の史料には死者の魂に関する言説が多く見られる。余教授はそうした事例を紹介しながら、中国古代における「生死観」を明快に述べてくださった。
 この講演会は、東京大学文学部中国思想文化学研究室が主催し、これに、文学部の次世代人文学開発センター、文科省科研費特定領域研究「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成ー寧波を焦点とする学際的創生」と並んで、共催団体として本グローバルCOE「死生学の展開と組織化」が運営にあたった。当初は会場として文学部211番教室を予定していたが、余教授の高名を慕って思いのほかに聴衆が多くなり収容しきれなくなったため、急遽、3番大教室に場所を移動して実施した。
 余教授は、上記関西大学での講演や名古屋大学における日本中国学会での大会記念講演では中国語による発表をおこなったが、東大では主催・共催側から申し出て、英語での講演をお願いした。来日にあわせて、事前に3つもの講演原稿をまとめる作業を、余教授は快諾してくださった。東大の講演会場では、英語原稿全文を整理編集したものに余教授の紹介記事を付した冊子が配布された。作成作業にあたったのは、中国思想文化学研究室院生の新田元規氏、「東アジア海域交流」事務局の宗村美里氏、それに「死生学」の鈴木健太氏である。
 なお、この講演原稿の全文和訳は、なかに登場する中国思想関係の術語に詳細な語釈を付したかたちで、『死生学研究』に掲載することを企図している。

文責:小島 毅(人文社会系研究科教授 中国思想文化学)]

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