21世紀COE研究拠点形成プログラム 生命の文化・価値をめぐる「死生学」の構築
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ジョン・ノース教授 死生学連続講義
古代ローマ人の死生観とその変容
――共和政期の宗教伝統は、帝国成立に至る政争と対抗する新たな諸宗教運動の出現によって、いかに変容していったか――

第1回 「共和政期ローマにおける祭司と法」
     Priests and Law in Republican Rome
 共和政中期のローマ国制においては、政治家が祭司を兼ねていたことから、祭司階層が政治の下位に位置していたとする通説に対して、政治と祭祀の相互依存関係があることが指摘された。(当日配布要旨作成:石渡巧)

第2回 「キケローと共和政期における占い」
     Cicero and Republican Divination

 キケローの著作『占いについて』から、キケローは、祭司として元来維持すべき宗教体系を批判したという通説に対して、古き良き慣習を重視しそこから逸脱する当時の習俗を批判的に見ていたという解釈が提示されたが、参加者からは、その点への質問とコメントが集中した感があった。(当日配布要旨作成:秋山由加)

シンポジウムの様子 シンポジウムの様子

第3回 「前44年のルペルカーリア祭のカエサル」
     Caesar at the Lupercalia of 44 BCE

 この元来建国の神話を再現した豊穣と浄化の儀礼に、カエサルの戴冠式をもくろんだとする当時の世評に対して、カエサル自身は、王ではなく、建国の英雄との結びつきを意図していたという見解が表明された。(当日配布要旨作成:三津間康幸)

第4回 「ポルタ・マッジョーレの地下バシリカ」
     The Underground Basilica at the Porta Maggiore

 従来の解釈がキリスト教的枠組みにとらわれていたことを指摘して、神話に発する美女の誘拐といったローマの伝統的な宗教観念や死生観の語彙を使いながら、新たな宗教観、死生観を創造しようとした集団がいたことの意義を重視した点が、鮮明な印象を残した。(当日配布要旨作成:鈴木順)

シンポジウムの様子 シンポジウムの様子
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