樺山紘一名誉教授、瑞宝中綬章を受章
このたび、本学の樺山紘一名誉教授が瑞宝中綬章を受章されました。
樺山先生のご専門は西洋中世史です。ヨーロッパという地域、そして中世という時代がもっ ていた活力と広がりについて、先生は個別の人間の身体や世界観を重要な手がかりにしながら さまざまな角度から研究され、西洋中世史研究に新しい風を呼び込みました。『ゴシック世界 の思想像』(岩波書店、1976年)、『カタロニアへの眼』(刀水書房、1979年)、『歴史の なかのからだ』(筑摩書房、1987年)、『パリとアヴィニョン』(人文書院、1990年)、『 異境の発見』(東京大学出版会、1995年)、『ルネサンスと地中海』(中央公論社、1996年 )など数々のご著書は、世代を超えて多くの読者を魅了してきました。
先生は長年にわたり東京大学で研究と教育に従事されたほか、歴史学の面白さと可能性をわ かりやすい語り口で広く伝えてこられました。「西洋の歴史をはじめて意識したとき、そこに 樺山紘一の名前や姿があった」という方も多いのではないでしょうか。大学の職を退かれてか らは、国立西洋美術館館長、印刷博物館館長、渋沢栄一記念財団理事長、学士会理事長を歴任 されました。
このような学術文化全体に及ぶご功績にたいし、紫綬褒章(2005年)、毎日出版文化賞 (2015年)などが授与されています。
このたびの受章を心よりお慶び申し上げるとともに、今後のご健勝と益々のご活躍を祈念い たします。
(研究室主任 長井伸仁)