東京大学大学院人文社会系研究科附属北海文化研究常呂実習施設所蔵 史跡モヨロ貝塚 ガラス乾板写真 デジタルアーカイブ

2. 常呂実習施設所蔵 史跡モヨロ貝塚 ガラス乾板写真について

(1) データの見方

本サイトでは、142点の資料を8つのカテゴリーに分けて公開している。各資料に付されたデータについて解説する。

画像の解説:

解説文のなかで引用した、土器編年に関する論文の書誌情報は以下のとおりである。

  • 藤本編年:藤本強 1966「オホーツク土器について」考古学雑誌51-4
  • 熊木編年:熊木俊朗 2018『オホーツク海南岸地域古代土器の研究』北海道出版企画センター

紙焼き記載の注記:

常呂実習施設に所蔵されている本資料の古い紙焼き写真には、被写体の内容が裏面に注記されているものがある。注記がある資料について、内容を転載した。

報告書等の図版番号:

本資料のなかには、過去に報告書や文献に掲載された写真があるが、それらについて書名と図版番号を記した。記載の対象としたのは以下の書籍である。

  • 『モヨロ貝塚』(児玉作左衞門著、北海道原始文化出版会出版部、1948年)
  • 『モヨロ遺跡と考古学』(名取武光著、講談社支社札幌講談社、1948年)
  • 『モヨロ貝塚資料集』(米村喜男衛著、網走郷土博物館・野村書店、1950年)
  • 『オホーツク海沿岸・知床半島の遺跡 下巻』(駒井和愛編、東京大学文学部、1964年)(データでは『下巻』と略)
  • 『シリーズ「遺跡を学ぶ」001 北辺の海の民 モヨロ貝塚』(米村衛著、新泉社、2004年)

アルバム通し番号:

本資料の整理作業を進めるにあたり、資料を閲覧しやすいように、コンタクトプリントの形で紙焼き写真を作成し、3冊のアルバムを作成した。これは、そのアルバムに収納された紙焼き写真の通し番号である。

箱番号:

本資料は、本郷の東京大学大学院人文社会系研究科考古学研究室に保管されていた際には、16箱の紙箱に収められていた。ここではその箱の番号と、収納されていた乾板を11-2(No.11の箱の2点目)のような表記で記載している。ただし、後述のD-01〜D-50については、整理の際のミスにより箱番号が不明となっている。

D番号:

資料のデジタル化を行った際に付した整理番号である。D-01〜D-50は2002年に、D-51〜D-142は2018年にデジタル化を行ったものである。D-51〜D-142の番号は、概ねアルバム通し番号に沿った順序で付されている。現在、ガラス乾板は前述の16箱の紙箱から別の保存箱に移され、このD番号順に収蔵されている。

(2) 資料の規格・点数など

乾板の規格は全てキャビネ判(12cm×16.5cm)で、資料の総数は200点である。本サイトではそのうちの142点を公開している。公開対象外としたのは以下の資料である。

  • ①撮影や現像に失敗したとみられる、画像がほとんど判別できない資料
  • ②出土遺物(出土状況写真を除く)や実測図を撮影した資料
  • ③被写体となっている遺構が全く特定できない資料
  • ④画像がほぼ同一の、重複する資料

(3) 所在が不明な写真

『オホーツク海沿岸・知床半島の遺跡 下巻』に掲載されている遺跡や遺構の写真のうち、以下の8点については乾板の所在を確認できていない。

別篇p.20 Fig.1下、p.21 Fig.2上、p.21 Fig.2下、p.31 Fig.11、PL.74-1、PL.74-2、PL.76-1、PL.76-2。

これらについては、本資料が常呂実習施設に移管される以前のいずれかの時点で所在不明になったとみられるが、その経緯や理由については明らかではない。

(4) 公開までの経緯

本資料は、元々は本郷の東京大学大学院人文社会系研究科考古学研究室に保管されていたもので、2001年(平成13年)の夏に附属北海文化研究常呂実習施設常呂実習施設に全点が移管された。

移管後まもなく、当時、施設に勤務していた宇田川洋を中心として整理作業が開始され、整理台帳の作成、コンタクトプリントによる紙焼き写真の作成、被写体の特定、施設が所蔵する過去にプリントされた紙焼き写真との照合などが行われた。

2002年(平成14年)11月には、所蔵資料のうちの50点についてデジタル化が行われている。その後も整理作業は継続され、2001年(平成13年)から2011年(平成23年)にかけて実施されたモヨロ貝塚の発掘調査と併行して、被写体の特定などが進められてきた。

今回、2018年度「東京大学デジタルアーカイブズ構築事業」に本資料が採択されたことにより、新たに92点のデジタル化が実施され、前回の50点とあわせた142点が本サイトにおいて公開される運びとなった。

現在、資料の原版、紙焼き、デジタル化されたデータ、台帳等は、全て常呂実習施設に保管されている。

なお、これらのガラス乾板に関して、常呂実習施設の関係者による調査成果については、施設のwebsiteの該当ページ(モヨロ調査団のガラス乾板に関する研究)にて順次公開する。

(東京大学大学院人文社会系研究科 教授 熊木俊朗)