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第9回文化資源学フォーラム
「めぐりゆくまなざし―発見され続ける銭湯―」

日時2010年2月20日(土)11時~17時[入場無料]
場所東京大学本郷キャンパス 法文2号館1・2大教室(→会場地図 →アクセスマップ
出演者<敬称略・50音順>: 大竹伸朗(画家) 銭湯文化サポーター's(ラッキー植松、内田利惠子)藤森照信(東京大学教授)渡辺裕(東京大学教授)
主催東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究室
企画・運営東京大学大学院文化資源学研究室 演習「文化資源学フォーラムの企画と実践」履修生
後援文化資源学会、東京入浴会
協力Take Ninagawa
*入場無料・申込先着150名(インターネットhttp://bit.ly/sentouで受付)
チラシのダウンロードはこちらから

【開催趣旨】

東京では1970年代以降、軒数・利用者数ともに減少を続けてきた銭湯。年代を超えるごとに、街なかにおける地域コミュニティの結節点としての意味は他の場所同様に失われていきましたが、一方、映画、テレビドラマ、アニメ、マンガ、写真集、エッセイなど、その後に生み出されたものに目を向けると、「銭湯」は実に様々な文脈で扱われるようになったことが見て取れます。

かつて銭湯は人々にとってきわめて日常的なものでした。地域住人が老若男女問わず日々集い、利用していた銭湯という場所は、生活の中の公共空間であり、少なくとも1970年代までは、日本の都市内の地域共同体のあり方を象徴するものでもありました。

しかし、時代の変化とともに、銭湯は日常的なものではなくなっていきます。東京の銭湯数は1968年をピークに減り続けており、次第になじみの薄いものになっていくわけですが、しかしその過程で銭湯というものにまた違った面白さを見出す動きが生まれてきたのです。たとえば1980年代半ば、藤森照信氏の「路上観察学」運動では、街の中にある魅力的なものとして銭湯が注目され、これまでの公共空間としての機能だけでなく、建築様式やペンキ絵など、銭湯が持つ意匠をいわば趣味的に見るような視点が生まれます。さらに近年では、銭湯がギャラリーや音楽イベントの会場として利用されたり、現代アート作品のモチーフとして使われるなど、<銭湯>という場やイメージを転用していく様々な動きが混在しているのです。

私たちの生活の中で当たり前であったものが廃れていく過程で、そこに向けられる視線や関心のあり方自体変化していきます。銭湯が一度ならずその面白さを「再発見」されてきたことは、銭湯が背負ってきたイメージが変化してきたことを意味しているのはもちろん、銭湯が地域や人々との間でいかなる関係性を織りなしてきたのかを、いわば都市の民俗学として捉え直す契機となるのではないでしょうか。

こうした関心の移り変わりを、ゲスト会場の皆さんと共に考えていきます。会場付近では、銭湯のイメージ資料のミニ展示も行います。


【講演会プログラム】

ミニ展示場(2大教室)11:00-13:00、16:30-17:00
展示内容:『東京銭湯博物誌』(1988年)『二十世紀銭湯写真集』(2002年)のような出版物、『時間ですよ』1971年、『Niea_7[ニア・アンダーセブン]』(2000年)といった映像を通じ、銭湯イ
メージの発見と変遷を振り返ります。
シンポジウム(1大教室)13:00-16:30
開場:12:30
開会挨拶:木下直之(東京大学大学院教授)13:00-13:05
第1部 銭湯が「I ♥湯」になる時 13:05-14:15
イントロダクション:東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻「文化資源学フォーラムの企画と実践」履修生
ラッキー植松(銭湯文化サポーター's代表)
大竹伸朗(画家)
休憩 14:15-14:30
第2部 まち・銭湯・記憶14:30-15:20
藤森照信(東京大学生産技術研究所教授)
渡辺裕(東京大学大学院教授)
休憩 15:20-15:30
第3部 ディスカッション 15:30-16:30
ミニ展示終了 17:00

【講演者プロフィール】

■大竹伸朗
画家。1955年東京生まれ。80年代初頭、新しい世代を担う画家として注目を浴びて以来、既存の価値観やジャンルにとらわれることなく、己が信じる芸術に向かって絶えず前進を続け、その濃密な作品世界は幅広い年代で熱狂的な支持を集めている。2009年7月、瀬戸内海の直島に最新作品「直島銭湯I♥ 湯」を発表、すでに入湯者数1万5000人を超える
■藤森 照信
1946年長野県生まれ。東北大学工学部建築学科卒業。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了。工学博士。東京大学国際産学協同センター教授を経て、同大生産技術研究所教授。専攻は近代日本を中心とする建築史。著書は『明治の東京計画』(岩波書店、1982年)、『日本の近代建築』(岩波新書、上下巻、1993年)、『藤森照信建築』(TOTO出版、2007年)、『建築史的モンダイ』(ちくま新書、2008年)等多数。また、建築家としても「タンポポ・ハウス」(1995年)、「熊本県立農業大学校学生寮」(2000年)、「高過庵」(2004年)等自然素材を現代建築に取り入れた作品を発表している。
■ラッキー植松(銭湯文化サポーター's代表)
2008年2月、関西を中心に、地域社会の財産である“銭湯”の意義を見直し、発展的にまちに活かされるために、昔ながらの銭湯の事業支援を行うことを目的として設立。良好な地域コミュニティの場、暮らしの文化を楽しむ場、公共マナーや気遣いによる社会教育の場、地域の財産、シンボル、健康維持の意識向上、運用エネルギー転換による環境問題対策の実現など多様な役割を持ち得る「地域に根ざした銭湯」の良好な存続をサポートするために有志が集い、知恵を出し合い、活動する会である。
■渡辺 裕
1953年千葉県生まれ。東京大学文学部(美学藝術学)卒業、同大学院博士課程退学。玉川大学助教授、大阪大学助教授などを経て現在、東京大学大学院人文社会系研究科(文化資源学)教授。博士(文学)。サントリー学芸賞芸術・文学部門選考委員。近年は、日本の近代を題材として、音楽や映像などのメディアが都市や文化に関わる表象や記憶の形成・変化の過程にどのように関わっているかを解明する研究を展開している。著書は『聴衆の誕生―ポストモダン時代の音楽文化』(春秋社、1989年サントリー学芸賞受賞)、『宝塚歌劇の変容と日本近代』(新書館、1999年)、『日本文化モダン・ラプソディ』(春秋社、2002年、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)など。

【申し込み先】(先着150名)

インターネットで受け付けます。お申し込みフォーム:http://bit.ly/sentou 当日も空席がある場合はご入場いただけます。

【お問い合わせ】

第8回文化資源学フォーラム事務局(東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究室内)

住所:〒113-0033 文京区本郷7-3-1 東京大学大学院人文社会研究科文化資源学研究室気付「第7回文化資源学フォーラム」事務局

Tel&Fax:03−5841−3722(東京大学文化資源学研究室 月−金11:00−19:00)

Mail:cr_forum@l.u-tokyo.ac.jp

URL : https://www.l.u-tokyo.ac.jp/CR/

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