19 南欧語南欧文学
1.研究室活動の概要
本専修課程は1979年4月にイタリア語イタリア文学専修課程として発足、文学部の大講座制への移行に伴い、1994年4月より専修課程名が現在のものに改められた。さらに大学院の機構改革に伴って、本専修課程に直結する大学院レベルの専門分野名も1995年度以降、従来のイタリア語イタリア文学から南欧語南欧文学へと改称された。こうした一連の改称は、これまでのイタリア語イタリア文学の研究・教育に加え、南仏やイベリア半島・中南米のラテン系諸言語およびその文学をも、本専修課程ならびに大学院課程の専門分野における研究・教育の対象に取り込もうとする意図の現われにほかならない。目下のところ、新たに加わった分野を専ら担当する専任教員はいないが、94年度から学外非常勤講師によるスペイン語スペイン文学関連の授業が開設され、専任教員によるロマンス語学の授業(学部・大学院共通)も年度により開講されている。また、2001年度からは中世オック語およびトゥルバドール文学がカリキュラムに加えられている。
2006~2007年度に本研究室に所属した専任教員は下記のように5名であるが、このほか毎年、学部および大学院の授業担当者として学外から非常勤講師を3名ほど招き、開設科目の充実を図っている。授業の中心をなすのは、旧専修課程時代以来、イタリア語イタリア文学であり、イタリア語の構造と歴史について、また中世から現代に至る様々な時代、様々なジャンルのイタリア文学についての講義・演習がなされるよう意を用いている。また、1994年以降、専任教員と博士課程在籍者を中心にして、研究室の紀要が刊行されている。
学生の専攻分野は古典文学、近現代文学、語学と様々である。本研究室の学生は、学部生のときから、夏期休暇などを利用してイタリア各地で開かれる語学研修に参加する者が多い。大学院在籍者の多くはイタリア留学中ないしは留学経験者である。
通常の研究・教育活動のほか、本研究室ではローマ大学ラ・サピエンツァ、フィレンツェ大学、ピサ高等師範学校、パドヴァ大学など東京大学と学術交流協定を締結しているイタリアの教育研究機関に所属する研究者との交流も継続的に行なっている。
2.構成員・専門分野
(1) 構成員・専門分野
教授:長神 悟(イタリア語史・ロマンス語学)
准教授:浦 一章(イタリア13・14世紀文学)
外国人教師:Luigi Cerantola(ルイジ・チェラントラ)(イタリア語韻律学)
助教:長野 徹(イタリア現代文学・児童文学)
助手(2006年7月まで東京大学フィレンツェ教育研究センターに勤務):土肥秀行(イタリア現代文学)
(2) 助教(助手)の活動
長野 徹
在職期間 1997年10月~現在
研究領域 イタリア近現代文学・イタリア児童文学
主要業績
[論文]「<幻想>と<寓意>の交わるところ―ブッツァ-ティの作品世界をめぐって―」、『イタリア語イタリア文学』第3号、2006年7月、pp.237-266
[翻訳]ロベルト・ピウミーニ『キスの運び屋』、PHP研究所、2006
ビアンカ・ピッツォルノ『木の上の家』、汐文社、2006
アンドレア・モレジーニ『ベネチア人にしっぽがはえた日』、汐文社、2006
ロベルト・ピウミーニ『アマチェム星のセーメ』、汐文社、2006
ベアトリーチェ・マジーニ『バレエ・アカデミア』、ポプラ社、2007
[小論]「今日のイタリア児童文学」『イタリア図書』、2006年10月、pp.2-6
土肥 秀行
在職期間 2001年8月~2006年7月(東京大学フィレンツェ教育研究センター勤務)
研究領域 イタリア現代文学
主要業績(2006年4~7月)
[小論]「詩人が喚起するとき:吉増剛造についての覚書Quando il poeta evoca: appunti su Yoshimasu」、«Semicerchio»、第33号、2006年、pp. 41-43
「イタリアにおける俳句の受容と問題点La ricezione dello haiku in Italia e i suoi problemi」、Atti del XXIX Convegno di Studi sul Giappone (Firenze, 22-24 settembre 2005), Venezia, Cartotecnica veneziana editrice, 2006, pp. 409-410
「俳句は短詩なのか?Haiku è una poesia sintetica?」、«Daemon»、第14号、2006年6月、p. 52(シリーズ「俳句」第14回)
[資料]「東京大学フィレンツェ教育研究センター活動記録Centro Studi e Ricerche dell’Università di Tokyo: attività 1999-2006」、『日伊文化Cultura Italo-Giapponese』、第3号、2006年、pp. 79-95(長神悟との共編)
(2) 外国人教師
Luigi Cerantola(ルイジ・チェラントラ)
研究領域 イタリア文学(とくに韻文)、韻律学
在職期間 2002年4月~現在
主要業績
[著書]Allologie Lalologiche , con DVD del testo musicato da M. Baratello, Graficart, Resana, 2006
Sequenza dell’estate , Antiga, Cornuda, 2006
Partite sulla vita il fuoco il fiore , Antiga, Cornuda, 2006
Da Olmi al cielo (I morti le Morti) , Biblioteca dell’Immagine, Pordenone, 2006
Il Giardino dei Filosofi , con DVD, Graficart, 2006
I Morti le Morte , Edizioni Biblioteca dell’Immagine, 2006
Dove Sile e Cagnan , De Bastiani, 2007
Viaggio solitario nella città dell’acqua , Raitrade, 2007
Di pace inestinguibile , De Bastiani, in facsimile al manoscritto, Godega S. Urbano, 2007
Allologie , testo in partitura con la musica di Marino Bartello, Raitrade, Roma, 2007
3.卒業論文等題目
(1) 卒業論文題目
2006年度
「イタリア語の新語研究」
2007年度
「『故マッティーア・パスカル』における「ウモリズモ」の働き」
(2) 修士論文執筆者・題目一覧
2007年度
横田太郎「レオン・バッティスタ・アルベルティ『家族論』――複数視点の共存―」
<指導教員>長神悟
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