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平成15(2003)年度文化資源学専攻講義

各専門分野共通科目 特殊研究「文化資源学原論」
後藤 直通年4単位火・6
文化資源学は、研究の対象、範囲、目的が広く多様で固定化してない。この授業では文化資源学の方向性、可能性にかかわるさまざまな問題を、教員が交代で論じる(各教員3回程度づつ)。
各専門分野共通科目 「文化資源学総合演習〜生と死の形象」
木下 直之通年4単位金・6
21世紀COE研究「生命の文化・価値をめぐる<死生学>の構築」のサブテーマ「生と死の形象と死生観」に即しつつ、生と死がどのように表現され(造形美術、墓地、記念碑)、社会からどのように処理され(隔離、葬送儀礼、戦没者追悼施設)、どのように語られてきたか(弔辞、報道、伝記)について、その歴史と現状を研究する。とりわけ死は本質的に個人のものであるにもかかわらず、家族、学校、職場、地域社会、国家、メディアなどの他者が深く関与し、さまざまな意味を付与してきた。それゆえに個人的な生から疎外された無惨な死がある。参加者が独自に問題を発見し、討論を重ね、生と死の社会性を明らかにし、死を生の中に意義付けることを目指す。文化資源学研究室の他の教員も随時参加する。
各専門分野共通科目 文化資源学演習「日本文化の発信と受容」
ツベタナ・クリステワ2単位水・5
イギリスの有名な映画監督のピーター・グリーナウエイによる『枕草子』という映画や、劇作家のキャリル・チャーチルによる、『とはずがたり』の後深草院二条を登場させた『トップガールズ』という芝居や、アメリカ人のコリン・グレアムによる『源氏物語』のオペラの台本などが、西洋における日本文化の受容の代表的な例であるにちがいない。そのいずれの作品もオリジナルの解釈であるので、それぞれの解釈者の思想などを反映しているのだが、他方、こうした解釈もまたオリジナル自体ではなく、その翻訳に基づいており、〈二重解釈〉のプロセスになっている。当たり前のことだろうが、私たちは、日本文化や文学の発信と受容について考えているとき、伝達者として働いている翻訳家など、日本文化の学者の役割を十分に考慮し評価しているのだろうか。あらゆる意味において「話題」になった、日本文学からの翻訳に焦点を合わせて、その分析を試みることによって、オリジナルを「生かすか殺すか」という翻訳家に与えられた権威や責任について考察してみる。
各専門分野共通科目 文化資源学演習「ディスカッション・プログラム」
ツベタナ・クリステワ2単位水・6
この授業の目的は、各自の修士論文のテーマ選択を促すことにある。それゆえ、まず共通のテーマのデイスカッションを通して、問題意識を高め、議論の進み方や「わざ」に馴染んでもらうことを目指す。最後に、各自が修士論文のプロジェクトについて簡単に発表し、全員で議論する。
各専門分野共通科目 特別演習「美術館における教育研究」
幸福 輝 ・ 寺島 洋子2単位集中
国立西洋美術館が西洋美術館に関心を持つ人材の育成と同館の活動への理解を広めるために開設するインターンシップに参加し、3カ月以上、6カ月以内の期間、現場での実務に携わる。参加にあたっては同館による審査がある。詳しくは同館のホームページを参照せよ。文化資源学研究専攻の学生に限る。
各専門分野共通科目 文化資源学演習「文化資源学フォーラムの企画と実践」
木下 直之通年2単位隔週金・3
現代では問題提起と研究成果公表の手段としてフォーラムやシンポジウムが定着している。この手段がどの程度の有効性を有しているかを考えることから始め、より効果的なフォーラムの在り方を検討し、企画し、実行に移す。具体的には、2003年9月1日前後に開催を予定しているフォーラム「関東大震災の死生学〜慰霊と復興の造形表現(仮称)」の準備と2004年度に開催するフォーラムのゼロからの企画と準備を行う。
隔週に開講する。参加者は文化資源学研究専攻の学生に限る。
各専門分野共通科目 修士論文指導
各教員通年2単位隔週月・1
修士課程2年生のみ
各専門分野共通科目 博士論文指導
各教員通年2単位隔週月・1
博士課程のみ
文化経営学専門分野 特殊研究「展示論2003〜展示空間と展示物」
木下 直之2単位火・4
美術館と美術品の関係に明らかなように、展示空間は展示物の在り方を拘束し、同時にまた、展示物も展示空間の在り方を拘束する。たとえば絵馬堂において絵馬は奉納物であるが、美術館の展示室に移すと絵画作品に変わる。あるいは、美術品をどのように照明するかと考えることにより採光方式が変わり、それは建物のデザインを拘束する。美術館と美術品を中心にとらえつつも、開帳、見世物、絵馬堂、博覧会、博物館、百貨店、公共建築、公共空間、祭礼空間などを視野に入れ、両者の関係を探る。随時、見学会を行なう。
文化経営学専門分野 特殊研究「江戸の文化財保護/『西遊草』を読む」
木下 直之2単位火・5
『西遊草』は、幕末の儒者清河八郎が1855年に母を伴い故郷の出羽を出発、西日本各地を歩いた半年にわたる旅日記である。何を目にし、何を食べ、何を買ったかが克明に記されている。この講議では、清河が見たものに注目する。その多くは、社寺の宝物、史跡、名勝であり、現代では「文化財」の名で行政から何らかの保護を受けているものである。清河の旅をいっしょに辿ることで、近代以前の日本で、宝物や史跡がどのように受け止められ、伝承されてきたかを知ることができる。それは、今から150年前の日本人の時空間を復元する試みにほかならない。さらに、同じ宝物や史跡が近代ではどう扱われて今日に至ったかを明らかにしてゆく。受講者は開講日(4月15日)までに『西遊草』(岩波文庫)を読了しておくこと。学期末の課題には「歩くこと」を課すつもりだ。
文化経営学専門分野 特殊研究「博物館工学 メーキング・ミュージアム」
西野 嘉章通年4単位木・5
21世紀にあり得べきミュージアムを白紙から構想し、展示、デザイン、設計か ら雛形(模型)の制作まで、ミュージアムの立ち上げを仮想体験する。ゼミ参加者は複数のグループに分かれ、各グループがそれぞれの意志に基づいて選択したテーマを基に、21世紀ミュージアムのプロジェクト構想を具体化し、基本設計を行い、 最終的な具体物にまとめ上げる。雛形の制作が課題の一部となるため、建築設計、美術制作等に関心のある学生の参加が望まれる。このゼミの成果は、機会をみて総合研究博物館の小企画展示として公開する。
参考書:拙著『21世紀博物館』(東京大学出版会)
文化経営学専門分野 特殊研究「博物館学I」
金山 喜昭2単位木・2
本講義は、これまでの「文化の殿堂」としての博物館から、「市民フォーラムの場」としての新しい博物館のあり方を探究する。
(1)博物館とは(2)博物館の分類(3)博物館学と地域博物館学(4)地域博物館とは(5)地域博物館のパラダイムの転換(6)博物館の歴史(7)地域博物館の歴史(8)博物館資料論(9)博物館機能論I(10)博物館機能論II(11)地域博物館と学校の連携・融合(12)地域博物館のソーシャル・マーケッテング戦略と新しい地域文化づくりI(13)地域博物館のソーシャル・マーケッテング戦略と新しい地域文化づくりII(14)見学会(15)見学会
課題図書:授業時に課題図書(5冊)を出す。
評価法:出席などの平常点と試験
教科書:金山喜昭2003『博物館学入門』慶友社
文化経営学専門分野 特殊研究「博物館学II 展示とテロの間」
川口 幸也2単位金・6
ミュージアムの展示と9・11―などというと、いかにも奇をてらっているように聞こえるかもしれない。でも、筆者がこの十数年来関ってきているアフリカなどに足場を置いてみると、両者はごく自然に結びつく。もちろんアフリカまで行かなくても、ほんのちょっぴり―たとえば、少し前にナイジェリア北部のイスラム圏でミス・ワールドコンテストが中止に追い込まれたという報道があったが、あれが、イラク攻撃をにらんだアメリカのイスラム圏に対するネガティヴ・キャンペーンかもしれないと疑うぐらいの―想像力があれば、ふたつを結びつけることはそれほど難しくはない。世界中からモノを集めて、保存し、展示するという、ミュージアムが当たり前のように行っている営みをいろいろな角度から考えてみたい。キーワードは、「語りと騙り」、「展示と誇示」、「所有」など。
参考文献としては、事前に吉田憲司『「文化」の発見』(岩波書店 1999)を、これ以外は最初の時間に列挙する。
文化経営学専門分野 特殊研究「博物館経営論」
佐々木 亨2単位集中
国立博物館・美術館の独立行政法人化にともない,ミュージアムの「評価」という問題が急速に注目され,さらにミュージアムの「経営」という問題が論じられています。
この授業では,(1)ミュージアムの「評価手法」について,具体的なケースをもとに履修者と一緒にディスカッションしていきます。また,ミュージアムの経営に深く関係する問題として(2)「マーケティング」や「利用者調査」について,さらに(3)ミュージアムの「ミッション」「ガバナンス」といった事項についても考察します。これらのことを通じて,「ファクトベース」による経営を考えます。
文化経営学専門分野 特殊研究「文化政策論」
小林 真理2単位月・5
2001年文化芸術振興基本法という法律が制定された。1990年代以降展開されきた我が国の文化政策に変化はあるのか、あるとすればどのようなものなのか。それは我が国だけの問題なのか。これまでの文化政策のあり方と、今後の文化政策の方向性について検討する。
最初数回は共通認識をもってもらうために講義形式で行いますが、その後は学生自身の発表を中心に、ディスカッションへの積極的な参加を求めます。
参考文献等については、随時授業で配布します。なお、簡単な英文講読が課題に出る予定です。
文化経営学専門分野 特殊研究「文化経済論」
河島 伸子2単位集中
一般に文化政策は、「政府など公的セクターが、芸術など営利ベースでは成立しにくい文化活動を保護・育成すること」ととらえられることが多い。この講義では、このような定義とは異なる立場をとり、以下の三つの領域を分析し非営利芸術団体におけるマネジメント・活性化の方向を探る。第一は企業メセナである。第二は、営利を目的とはしない文化団体・文化事業におけるマーケティング活動であり、顧客を中心においたマーケティング・マネジメントと芸術との衝突といった基本的課題、及び文化マーケティングの特徴などについて学ぶ。第三は、通常の文化政策では軽視されがちであるエンタテイメント産業の経営戦略である。集中講義の前半でこれらに関する講義を行い、後半では、上記テーマのうち一つについて、学生が一人30分程度発表する。
文化経営学専門分野 特殊研究「歴史遺産評価法」
早乙女 雅博2単位火・2
人類が生み出した歴史遺産が、近代社会のなかでどのように保存され、研究の対象とされてきたか、また今後どのような価値観のもとに残していくべきかを考える。 具体的には、韓国朝鮮歴史社会専門分野の「調査法I」で扱った瓦{土専}(※)とそれが出土した寺院址や宮殿址に対する植民地時代の評価や、それと関連する古蹟調査事業の成果と問題点について考える。※土へんに専
文化経営学専門分野 演習「文化財保護論」
後藤 直2単位金・5
日本の文化財保護制度は、明治30年の古社寺保存法以来いわゆる重点保護主義(指定による保存・保護)によって運営されきた。指定には学術的評価とともに、社会的な背景・意味づけもかかわっていることが想定される。何をいつ指定したかを通じて、文化財保護の実情・背景などを考える。
形態資料学専門分野 特殊研究「形態資料学入門」
長島 弘明2単位木・4
山東京伝の滑稽絵本『絵兄弟』を、注釈を付けつつ精読する。画文の融合・協同の上にはじめて成り立つ、滑稽な見立ての方法と意味について考えたい。
注釈は、風俗・習俗から芝居・縁起にまで及ぶが、江戸文学を解読するための、基本資料の調査法もあわせて学ぶ。
テキストは、写真版を用いる。
形態資料学専門分野 特殊研究「ムーヴィー映像の文化資源学 〜NHK『日本 映像の20世紀』から〜」
吉田 孝弘2単位金・2
映像の世紀といわれる20世紀の日本の歩みを都道府県ごとに綴ったNHK「日本映像の20世紀」。この番組を制作するため、日本各地に埋もれたムーヴィー映像の発掘・収集がNHK各放送局で行われた。この事業は失われゆく映像を文化資源として捉え、調査・発掘・考証・評価・整理・保存・公開・活用していくという、まさに文化資源学の実践でもあった。NHKがこれまで収集・制作してきた映像や番組に加え、日本及び海外のアーカイブに現存する記録映画や様々なムーヴィー映像をどのように収集・検証して、50本の番組がまとめられたのか。「日本 映像の20世紀」の映像収集・保存の実際と制作プロセスを通して、ムーヴィー映像の文化資源としての価値を多角的に考察する実践的映像資源学。
形態資料学専門分野 特殊研究「画像資料を読む」
福原 敏男2単位火・4
大坂の年中行事・都市の祭礼風流・大道芸・橋の渡り初め・会社の仮装花見大会・猿の伊勢参宮・江戸天下祭・地方都市祭礼の練り物・日光強飯式・蝶々踊りなどを描いたり、撮ったりした19〜20世紀の絵画や古写真について、その内容を当時の社会状況を踏まえて検討する。また、11月か12月に一度、渋谷区のたばこと塩の博物館において開催予定の「大見世物展」を見学し、実物・複製・模型の諸資料を実見することにより、幕末の江戸における見世物文化についての理解を 深め、展示現場において展示のあり方を討議する。
形態資料学専門分野 特殊研究「画像資料学」
榊原 悟 ・小佐野 重利2単位金・5
日本絵画のなかで最大の画面形式の一つである屏風。
しかしそれはまたわれわれの生活のさまざまな場面、儀礼的な場で用いられた調度品でもあった。今日ではあくまで美術品としてしかみられていないこの屏風を、調度品としてあるべき場にもどして改めて考えてみたい。
形態資料学専門分野 特殊研究「音楽の伝承・保存とメディア」
渡辺 裕2単位火・3
瞬間的に鳴り響いては消えてゆくはずの音楽が、あたかも形を変えないモノであるかのように「作品」として「伝承」されたり、「保存」されたりするということは、何を意味するのだろうか。それを「本来」の形で「保存」することを是とするイデオロギーがそこで機能していることは言うまでもないが、同時にまた、それは「伝承」や「保存」を可能にするメディアの問題でもある。この講義では、楽譜、レコード、ラジオといったメディアの展開を視野に入れ、それが音楽の「伝承」や「保存」に関する思想をどのように促し、また変えてきたか、その中で何を「本来」と考えるかという規範自体がどのように形成され、変わってきたのかといったことに着目して、西洋音楽史と日本音楽史の「近代」の新しい像を描き出してみたい。
形態資料学専門分野 特殊研究「『国民音楽』の社会史」
渡辺 裕2単位火・3
音楽史の「近代」は、ともすると、芸術の「自律性」が確立したところで花開いた時代であるかのように思われがちである。だが、その歴史は国民国家の生成と確立の歴史の裏返しでもあり、国家アイデンティティや共同体意識のあり方と深く関わっている。この講義では「国民音楽」という「補助線」を引くことによって、音楽史がどのような新しい相貌をみせるようになるかを、日本の近代音楽史、とりわけ大正期から昭和30年代あたりまでを中心に考えてみたい。特に、歌本、SPレコード、パンフレットといった、これまで同時代の音楽実践を知るための副次的なドキュメントという程度にしか認識されてこなかった類の資料に注目し、その内容だけでなく、形式や様態にも光をあてることによって、今日とは微妙にずれた、同時代の文化システムの全体的なあり方が浮かび上がってくるさまを示したい。
形態資料学専門分野 演習「形態資料学の諸問題」
長島 弘明 ・ 佐藤 健二通年4単位木・5
形態資料学とは何か、形態を文化の資源として論じていくことにどのような可能性があるのかという基本的な問いを、それぞれが設定したテーマの相互の発表と討議を通じて深めていきたい。演習参加者一人一人が、自らの論文主題や対象資料、あるいは重要な動向の紹介、先行研究の整理などの素材を出し、それに対して参加者相互での批判的討議を軸に演習を進める。二人の担当教員の何回かの連続講義も交えて、日程を組み立てる予定である。
詳細は開講時に相談したい。
文字資料学(文書学専門分野) 特殊研究「明治期社会経済史史料研究」
鈴木 淳2単位水・2
明治期の手書きの史料を解読し、その意味を考えて発表し討論する。史料は発表者が総合図書館にマイクロフィルムが所蔵されている「大隈文書」などから選ぶ。日本史学の大学院演習と合同で、日本史学の院生が先に発表する。
文字資料学(文書学専門分野) 特殊研究「アーカイブズ学研究:戦争とアーカイブズ」
安藤 正人2単位水・5
日本のアジア侵略は、人々の生命や財産に多大な損害を与えただけでなく、アーカイブ資源(記録史料)の略奪、押収、焼却といった行為によって人々の「記憶」の拠り所を破壊し、日本自身を含むアジア太平洋の国々や地域に深刻な歴史の空白を生むことになった。その実態を明らかにし、アジア太平洋の国々と協力して失われた「記憶」の再生に取り組むことは、日本のアーキビストや歴史研究者に課せられた大きな責任だと思う。中国、韓国、マレーシアなどの具体例をとりあげ、ナチス支配下ヨーロッパの事例などとも比較しながら考えてみたい。
文字資料学(文書学専門分野) 特殊研究「漢籍入門」
大木 康2単位集中
中国古典籍の取り扱いに関する総合的な知識を伝える。
(1)「中国版本目録学概説」(2)「四部分類について」(3)「漢籍データーベースの利用と構築」(4)「朝鮮本について」(5)「漢籍目録法実習(カードの取り方)」についての講義及び実習。
6月23日(月)から27日(金)までの集中講義(場所は東洋文化研究所3階大会議室)。実習の準備の都合上、受講希望者は、履修届とは別に6月10日(金)までに文化資源学研究室まで申し出ること(先着10名を限度とする)。
文字資料学(文書学専門分野) 特殊研究「幕末外交史料論」
保谷 徹2単位水・4
19世紀半ばに「開国」した日本は、国際資本主義市場へ強制的に編入されるとともに、近代的な外交関係の構築を迫られた。講義では、尊王攘夷運動に揺れる1860年代前半期をとりあげ、国内史料のみならず、世界各地の文書館に所在する日本関係史料(外国語史料)から幕末の諸事件を分析する。またその前提として、欧米や東アジアの史料保存機関の意義と役割、所蔵史料の秩序と構造などについてふれ、彼我の外交文書の様式や外務省史料の構造を比較しながら検討する。
文字資料学(文書学専門分野) 特殊研究「文字資料として古文書を見る」
近藤 成一2単位金・5
古文書には文字が書かれており、文字はある情報を伝達する。しかしそこに100個の文字が書かれていたとすると、その100個の文字から解析される以上の情報が古文書には存在する。たとえば文字の配列・書体・大きさなどから読みとれる情報がある。古文書をテキストとして解読するのではなしに、モノとしてその要素を解析する方法を考える。史料編纂所が所蔵する古文書の原本や複製を利用することも考えているが、具体的な内容については参加者と相談して決めたい。
文字資料学(文書学専門分野) 演習「文字の形」
月村辰雄・大西克也2単位月・5
古今東西の様々な文字が、どのようにデザインされ、どのようなシステムを持ち、またその形がどのように姿を変えてきたかを、リレー式に講義する。担当は、
月村辰雄(フランス文学):ヨーロッパの文字
高橋孝信(インド文学):インドの文字
福井玲(韓国朝鮮文学):ハングル
大西克也(中国文学):漢字
文字資料学(文書学専門分野) 演習「近世文書を読む」
吉田 伸之2単位木 4
幕府や江戸町方に関する基礎史料である「旧幕府引継書」を素材に、近世文書読解の基礎を学ぶ。テキストは毎回文書のコピーを配布する。
参加者はグループ単位にテキストを共同で読解し、その内容を読みとり、論点を考える。毎回冒頭に参加者による小報告が行われる。
文字資料学(文書学専門分野) 演習「近世史料調査法入門」
吉田 伸之2単位集中
9月16日-19日
現在も日本各地に厖大に残されている地方(じかた)文書の調査法(現状記録調査法)・研究法の基礎を学ぶ。
今年度は、長野県下伊那郡清内路村の文書を調査する。現地に宿泊し、フィールド・ワークとして行う。受講希望者は6月15日までに、文化資源学研究室、大学院掛のいずれかに申し出ること。参加者が30人を超えると、制限する場合がある。
なお7月17日(木)4限にガイダンスを行う(場所は古文書学特殊講義「近世文書を読む」の教室を使う予定)。参加者は必ず出席のこと。ガイダンスやフィールド・ワーク実施要項の詳細は、5月末に日本史学研究室掲示板・文学部掲示板・文化資源学研究室掲示板・人文社会系研究科掲示板に掲げる。
文字資料学(文書学専門分野) 演習「大学南校・開成学校洋書教科書調査(4)」
月村 辰雄2単位火・5
東京大学の前身である大学南校、開成学校では、当時の欧米の中等教育課程の教科書を輸入して教材としていた。同一の教科書を50部、100部という単位で買い入れ、それを学生に貸し出していたのであるが、関東大震災における図書館の炎上にもかかわらず、なお1000部程度が残存している。本授業では、すでに目録化を完了したその洋書教科書カタログをもとに、当時の大学南校、開成学校の教育カリキュラムを検討する。
文字資料学(文書学専門分野) 特殊研究「明治期社会経済史史料研究」
鈴木 淳2単位水・2
明治期の手書きの史料を解読し、その意味を考えて発表し討論する。史料は発表者が総合図書館にマイクロフィルムが所蔵されている「大隈文書」などから選ぶ。日本史学の大学院演習と合同で、日本史学の院生が先に発表する。
文字資料学(文献学専門分野) 特殊研究「テクストの成立」
片山 英男2単位月・6
近代初頭に西洋文献学の復興の先駆けとなったアンジェロ・ポリツィアーノ(1454-1494)の功績を、Graftonの記事を参照しながら再検討し、「テクスト」概念の確立を検証する。問題はギリシャ・ラテン古典を対象にしているが、必要となる言語は英語のみである。
文字資料学(文献学専門分野) 特殊研究「アーカイブズ学研究:戦争とアーカイブズ」
安藤 正人2単位水・5
日本のアジア侵略は、人々の生命や財産に多大な損害を与えただけでなく、アーカイブ資源(記録史料)の略奪、押収、焼却といった行為によって人々の「記憶」の拠り所を破壊し、日本自身を含むアジア太平洋の国々や地域に深刻な歴史の空白を生むことになった。その実態を明らかにし、アジア太平洋の国々と協力して失われた「記憶」の再生に取り組むことは、日本のアーキビストや歴史研究者に課せられた大きな責任だと思う。中国、韓国、マレーシアなどの具体例をとりあげ、ナチス支配下ヨーロッパの事例などとも比較しながら考えてみたい。
文字資料学(文献学専門分野) 特殊研究「漢籍入門」
大木 康2単位集中
中国古典籍の取り扱いに関する総合的な知識を伝える。
(1)「中国版本目録学概説」(2)「四部分類について」(3)「漢籍データーベースの利用と構築」(4)「朝鮮本について」(5)「漢籍目録法実習(カードの取り方)」についての講義及び実習。
6月23日(月)から27日(金)までの集中講義(場所は東洋文化研究所3階大会議室)。実習の準備の都合上、受講希望者は、履修届とは別に6月10日(金)までに文化資源学研究室まで申し出ること(先着10名を限度とする)。
文字資料学(文献学専門分野) 特殊研究「幕末外交史料論」
保谷 徹2単位水・4
19世紀半ばに「開国」した日本は、国際資本主義市場へ強制的に編入されるとともに、近代的な外交関係の構築を迫られた。講義では、尊王攘夷運動に揺れる1860年代前半期をとりあげ、国内史料のみならず、世界各地の文書館に所在する日本関係史料(外国語史料)から幕末の諸事件を分析する。またその前提として、欧米や東アジアの史料保存機関の意義と役割、所蔵史料の秩序と構造などについてふれ、彼我の外交文書の様式や外務省史料の構造を比較しながら検討する。
文字資料学(文献学専門分野) 特殊研究「文字資料として古文書を見る」
近藤 成一2単位金・5
古文書には文字が書かれており、文字はある情報を伝達する。しかしそこに100個の文字が書かれていたとすると、その100個の文字から解析される以上の情報が古文書には存在する。たとえば文字の配列・書体・大きさなどから読みとれる情報がある。古文書をテキストとして解読するのではなしに、モノとしてその要素を解析する方法を考える。史料編纂所が所蔵する古文書の原本や複製を利用することも考えているが、具体的な内容については参加者と相談して決めたい。
文字資料学(文献学専門分野) 演習「近世文書を読む」
吉田 伸之2単位木 4
幕府や江戸町方に関する基礎史料である「旧幕府引継書」を素材に、近世文書読解の基礎を学ぶ。テキストは毎回文書のコピーを配布する。
参加者はグループ単位にテキストを共同で読解し、その内容を読みとり、論点を考える。毎回冒頭に参加者による小報告が行われる。
文字資料学(文献学専門分野) 演習「近世史料調査法入門」
吉田 伸之2単位集中
9月16日〜19日
現在も日本各地に厖大に残されている地方(じかた)文書の調査法(現状記録調査法)・研究法の基礎を学ぶ。
今年度は、長野県下伊那郡清内路村の文書を調査する。現地に宿泊し、フィールド・ワークとして行う。受講希望者は6月15日までに、文化資源学研究室、大学院掛のいずれかに申し出ること。参加者が30人を超えると、制限する場合がある。
なお7月17日(木)4限にガイダンスを行う(場所は古文書学特殊講義「近世文書を読む」の教室を使う予定)。参加者は必ず出席のこと。ガイダンスやフィールド・ワーク実施要項の詳細は、5月末に日本史学研究室掲示板・文学部掲示板・文化資源学研究室掲示板・人文社会系研究科掲示板に掲げる。
文字資料学(文献学専門分野) 演習「大学南校・開成学校洋書教科書調査(4)」
月村 辰雄2単位火・5
東京大学の前身である大学南校、開成学校では、当時の欧米の中等教育課程の教科書を輸入して教材としていた。同一の教科書を50部、100部という単位で買い入れ、それを学生に貸し出していたのであるが、関東大震災における図書館の炎上にもかかわらず、なお1000部程度が残存している。本授業では、すでに目録化を完了したその洋書教科書カタログをもとに、当時の大学南校、開成学校の教育カリキュラムを検討する。

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