ご挨拶

ご挨拶

ようこそテアトロンkにいらっしゃいました。

このホームページは、広い意味で文化政策・芸術文化政策に関心を持っている人々が集って、情報や知識を共有したりしながら、研究や活動で社会に貢献していこうという気持ちで作っています。何かを政治的に主張する目的があるわけではありません。

しかし、ゆるやかに「(多様な)文化は人の生を充実させる」、「(多様な)文化は社会を豊かにする」という共通理解を持っている人が集まっています。同じ目標でも、戦略や戦術が違う人がいて、それでも構わないと思っていますが、私たちは立場上、研究という活動を通じて文化と社会の問題を考えていきたいと思っています。そして、そのような社会を日本で実現することを夢見て研究や活動をしていくための、プラットホームを作りたいということは常々考えてきました。

中心になっているのは、東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学専攻で教員をしている私、小林真理と、私の演習を履修している学生たちになりますが、多くの方々とつながっていてその方々に参加をしていただきたいと思っているところです。

なぜこのようなホームページを立ち上げようと考えたかといえば、これまでに大学の授業等で行ってきた様々な取り組みや活動を、何らかの形で公開したいという気持ちが生まれてきたことがあります。また、様々な活動を通じて知り合ってきた人たちと、もっとつながりたいということを思ったこともあります。それらの活動やつながりを誇りたいというよりも、やはり共有したいという思いを持つようになったということなのだと思います。

このホームページのコンセプトを考える際に私は、「オーケストラのようなホームページを作りたい!」と言って、学生たちの目を点にさせてしまいました。私は、芸術のあらゆるジャンルを好んでいますが、とくにクラシック音楽の中でも大規模編成のオーケストラ音楽が好きです。スコアに基づいて演奏をするという最低限(最大限?)のルールの下、それぞれの楽器が、それぞれのパートを弾いていて、それらの個性ある部分が個性ある全体を表象するところに魅了されています。

しかしながら、一糸乱れぬ統一感というのは気持ち悪いと思っていますので、とくにヨーロッパのオーケストラなどの、各パート内の個人も自分を主張して音を鳴らしているという演奏が好きです。オーケストラというのは、非常にヨーロッパ的な芸術だといつも感心します。指揮者は独裁的にオーケストラを引っ張っていくタイプよりも、それぞれのパートの良さを引き出しながら自分の主張を明確に打ち出す指揮者が好きです(ただ私自身はおそらく独裁者系だと学生は思っているかもしれません・笑)。そういうコンサートを聴けた時は、本当に満足感が高く、充実した気持ちになれます。奏でたい音楽はあって、ここに関わっている人たちがそれぞれ違ったなことをやりながらも、何となく(などというと作曲者の意図には反するかもしれませんが)奏でたい音楽が鳴っている、そのような場を作り出したいということなのです。私自身、様々な人々や学生から刺激を受けて研究をしてきました。これからもそういう刺激がほしいと思っています。

もしインターネットに可能性があるとしたら、物理的には離れていても、どこにいても場所を共有できるということではないかと思っています。文化政策や芸術文化政策を巡っては、様々な問題が起きてきていますし、それに関連した活動も生まれてきています。また、政策の実態(そもそも「政策」といえるものなのかという疑問もありますが)についても、まだまだデータ不足、資料不足、調査不足、検証不足、研究不足、議論不足のところがあるように感じています。以前もこのような試みをしようとしたことがありますが、中途半端になってしまっていていつも後悔しています。改めて学生や多くの人たちとのつながりの中で、再度トライしてみたいと考えています。

小林真理
(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)
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