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ウズベキスタン調査報告
今堀恵美(聖心女子大学非常勤講師)

 概要

  • 日程:2014年2月7日(金)〜2月15日(土)
  • 用務地:タシュケント、ブハラ州(ウズベキスタン共和国)
  • 用務:ハラールに関する情報のインタビューおよび、ロシアへの出稼ぎ労働による社会変化に関する聞き取り調査

 報告

今回の調査ではウズベキスタンの首都タシュケントとブハラ村落部での調査を実施した。
首都タシュケントではハラール関連の情報をウズベク語で提供するインターネット・サイトの管理者へのインタビューを実施した。管理者はソ連時代の中央アジア宗務局の大ムフティ職を務めていたムハンマド・ユースフ氏に師事する人物であった。管理者を含むユースフ氏を囲むサークルが、2003年以降イスラーム関連の情報を提供するウズベク語サイトを立ち上げ(現在は20以上のサイトを運営)、ウズベク語ユーザーのイスラーム理解を促進させている活動の実態について調査した。

ブハラ村落部ではロシアへの出稼ぎ労働による社会変化について聞き取りを実施した。村落部における出稼ぎのパターンは男性が10年以内の期間でロシアを行き来し、主に建設業などの現場で得た収入を村落部に持ち帰る。子の養育や老親介護のために妻を残し、男性が単身で行くのが定番であった。だが近年、ロシア富裕層における高齢者介護に対してロシア語を解する家事労働者の需要が高まり、中央アジア女性も長期間に亘って出稼ぎに行くケースが生まれている。旧ソ連時代から子どもの養育を祖父母に任せて母親が働きに出るケースは少なくなかったが、村落部における現金収入の重要性が高まった独立以降は両親の長期不在による子の養育費をめぐって対立が生じることも少なくない。出稼ぎが村落部にもたらした社会変化を子の養育の観点から聞き取り調査を行った。
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