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ウズベキスタン・キルギス出張報告
小松久男(東京大学大学院人文社会系研究科・教授)
ティムール・ダダバエフ(筑波大学大学院人文社会科学研究科・准教授)

 概要

  • 日程:2007年8月17日〜8月27日
  • 用務地:タシュケント(ウズベキスタン)、ビシュケク、スサムル(キルギス共和国)
  • 用務先:世界経済外交大学、バラクハン・マドラサ、ハスティ・イマム・モスク(タシュケント)、キルギス・トルコ・マナス大学(ビシュケク)

 報告

8月17日(ダダバエフは8月4日)から8月27日まで、ウズベキスタンのタシュケントとキルギス共和国(ビシュケク、スサムル)を訪問し、研究打ち合わせ、ワークショップ、ソ連時代の記憶に関する聞き取り調査、ならびに資料収集を行った。
 
まず、タシュケントでは本プロジェクトの協力機関である世界経済外交大学のジュラエフ助教授と、ウズベキスタンで実施したソ連時代の記憶に関する聞き取り調査の結果について意見を交換し、これからの課題について打ち合わせを行った。その後、タシュケント州チャルワクでUNESCOと複数の大学が連携して実施している青少年夏期キャンプ(Youth and Sustainable Development)をゲストスピーカー(小松、ダダバエフ、ジュラエフ)として訪ね、彼らの歴史、世界、そして日本に関する認識について8月18−19日両日にわたるワークショップを行った。

またタシュケントでは、最近修復を終えたばかりのバラクハン・マドラサ(ソ連時代には中央アジア・カザフスタン・ムスリム宗務局が置かれていた)と今年建立されたハスティ・イマム・モスクを訪ねた。後者は、カリモフ大統領のイニシアティブで建てられたタシュケント最大の金曜モスクであり、これに隣接して有名な古写本「カリフ・ウスマーンのクルアーン」を収める収蔵庫が新たに建設されていた。これらの真新しい建造物は、Islamic Educational, Scientific and Cultural Organization (ISESCO)が、タシュケントを2007年の「イスラーム文化の首都」と宣言したことと関連していると考えられる。

モスクの全景 モスクとコーラン収蔵庫 モスクの内部 新金曜モスク


8月20日、キルギスのビシュケクに移動し、21日‐22日キルギス・トルコ・マナス大学でソ連時代の記憶プロジェクトのキルギスでの聞き取り調査について打ち合わせを行った。具体的には共同研究者のイルハン・シャーヒン教授、グルジャナト・クルマンガリエワ講師らと聞き取り調査の方法、質問票の作成、翻訳の問題、調査対象者の特定、そして調査の開始時期について協議し、これからの共同研究の計画を策定した。この間、キルギス・トルコ・マナス大学長とも面談することができた。



23日‐24日は、スサムル高原とビシュケク郊外の村を訪ね、実際に聞き取り調査を行った。今後は、おもにキルギス側の研究者が国内各地で調査を実施することになっている。

スサミルでの歓待 スサミルのモスク スサミル高原 ソ連期の墓地からの眺望(スサミル)


24日再びタシュケントに戻り、小松は「近現代中央アジアにおける再イスラーム化」と「20世紀初頭中央ユーラシアにおける定期刊行物の総合的研究」について、共同研究者のバフティヤール・ババジャノフ氏(東洋学研究所)と研究の進捗状況について協議するとともに、今年刊行を予定しているCentral Eurasian Research Series 第1号、Zhurnal <Haqiqat> kak zerkalo religioznogo aspekta v ideologii dzhadidov の編集作業にあたった。また、ウズベキスタン科学アカデミー東洋学研究所とフランス・中央アジア研究所を訪問し、両所長と今後の協力関係について話し合うことができた。

ダダバエフは25日‐26日の間にタシュケントの市民社会研究所を訪ね、今秋に市民社会研究所と連携して行う予定の世論調査の質問票、調査方法について協議した。
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