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2014年度第1回パレスチナ研究班定例研究会報告
長沢栄治(東京大学東洋文化研究所)/
錦田愛子(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)

 概要

  • 日時:2014年5月18日(日)13:00〜18:00
  • 会場:東京大学本郷キャンパス 東洋文化研究所 3階大会議室
  • 報告1:金城美幸(立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員)「パレスチナ/イスラエルにおける歴史学的知の生産――生成・変容とその基盤」
  • 報告2:鶴見太郎(埼玉大学研究機構・教養学部准教授)「シオニズムの『国際化』――帝国崩壊と極東のロシア・シオニスト」

 報告

報告1

歴史記述研究とパレスチナ/イスラエル地域研究という二つのアプローチの方法論的な総合を目指し、イスラエル側の歴史記述を前史・正史構築期・〈他者〉研究の芽生え・ポスト・シオニズム期などに区分、またパレスチナ側の展開をアラブ・ナショナリストの言説からイスラエルの新しい歴史記述の反論などに整理し、歴史記述における国家制度の問題を提起した。質疑では、イスラエル内/出身のパレスチナ人の問題、シオニストの多様な構成など単純な二項対立の構造ではない、など多くのコメントや質問がなされ活発な議論が行われた。

文責:長沢栄治

報告2

本報告ではロシア帝国内のシオニストについて、特に極東での言論活動に注目してその主張の変遷が検討された。分析の主な対象とされたのは、イルクーツクで発行されたシオニスト週刊紙の『エヴレイスカヤ・ジズニ』とハルビンで発行された機関紙『シビル・パレスチナ』である。両紙の論説を通しては、シオニストの主張がロシア国内でのユダヤ民族の自治から、次第にパレスチナにおける建国に比重を移していく様子がうかがわれた。質疑では、扱われた両紙の関係や、シベリア・シオニズム運動に対するブンドの位置づけ、などが問われ、1920年代の状況について多面的な議論が交わされた。

文責:錦田愛子

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