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2013年11月2日、龍谷大学において内陸アジア史学会2013年度大会が開催された。今大会では、2つの公開講演、2つの研究発表が行われた。 まず、大澤孝(大阪大学・教授)による公開講演「モンゴル高原における新たな突厥碑文の発見とその意義について−近年におけるモンゴル・日本共同調査プロジェクトの最新成果を中心に―」では、モンゴル科学アカデミー考古学研究所との共同調査において、2013年5月28日にモンゴル東部ドンゴイン・シレー遺跡で発見された突厥碑文に関する考察がなされた。加えて今回の発見に至るまでの調査成果が写真画像と共に報告された。 次いで承志(Kicengge)(追手門学院大学・准教授)による公開講演「マンジュ語「吉林九河図」と国境碑」では、台北国立故宮博物院所蔵のマンジュ語「吉林九河図」について、「口外九大人図」、「烏喇等処地方図」、「黒竜江流域図」などとの比較検討により、その制作年代・制作背景・境域・国境碑に関する考察がなされた。 続く山本明志(大阪国際大学・講師)による研究発表「モンゴル時代の中央チベットにおける軍隊と俗官」では、14世紀に編纂された『ラン・ポティセル(Rlangs kyi po ti bse ru)』を中心とするチベット語典籍史料を用いて、特に中央チベットの在地氏族集団が、1)チベットに駐留したモンゴル軍といかに関わったか、2)チベットに設置されたモンゴル政権の行政機関にいかに参画したかについて考察が行われた。 最後に塩谷哲史(筑波大学・助教)による研究発表「ハン、企業家、帝国−ラウザーン運河をめぐるロシア=ヒヴァ・ハン国関係の変遷 一八七三‐一九一七年−」では、1913年6月からヒヴァ・ハン国領内のラウザーン運河周辺で計画された農園(ラウザーン農園)設立に焦点をあて、1830年代以降の同運河の歴史を踏まえた上で、農園設立の当事者たちの活動とその背景にある政策や経営戦略が明らかにされた。 以上の最新の研究成果を受けて、参加者による活発な議論が交わされ、盛会の内に本大会は終了した。 |