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2013年度第2回「中東・イスラーム諸国の民主化」研究会
長沢栄治(東京大学東洋文化研究所)

 概要

  • 日時:2013年8月5日(月) 14:00-16:00
  • 会場:東京大学 本郷キャンパス 東洋文化研究所3階 第一会議室
  • 主催:
    • イスラーム地域研究 東京大学拠点「中東・イスラーム諸国の民主化」研究班
    • 科研費プロジェクト「アラブ革命と中東政治の構造変動に関する基礎研究」
  • 講演者:マスウード・ダーヘル教授(レバノン大学、ベイルート)/Professor Massoud Daher(The Lebanese University)
  • 講演題目:「新アラブ革命の時代におけるレバノン・シリア国家の将来」/The Future of the Lebanese and Syrian States in the Age of the New Arab Uprisings”

 報告

2011年1月に始まるアラブ革命が、シリア・レバノンに与えた影響と今後の国家と社会の姿について、東アラブ社会史研究の権威であるマスウード・ダーヘル教授に講演をいただき、その後活発な議論が行われた。講演では、まずシリアとレバノンの特徴と相違点が概説された後、シリアの内戦による難民問題の深刻さを訴えた。しかし、「歴史の終わり」あるいは「文明の衝突」論に示されるような誤った歴史観にもとづく欧米の中東認識に見られるように、シリアの内戦が宗派ごとに分断されたミニ国家の乱立を導くようなことは考えられないとする。重要なのは、国民統合における軍の役割であるとして、レバノンにおけるヒズボッラーに対する欧米の偏見的な見方を批判し、また最近のエジプトの政変における軍の積極的な役割を評価する見方を示した。講演に対する質問では、軍には民族主義的な側面と米国の覇権体制に従属する側面という二面性があるのではないか、シリア内戦などがパレスチナ問題にどのような影響を与えるかなどがあった。
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