主査:小 島 毅 冬 2単位 水曜5・6限
冬学期に毎週開かれる本プロジェクトの今年度の演習も、全11回をもって無事終了した。参加者は毎回20名を超え、多分野演習室では手狭なため、215番教室を使用した。ただ、いささか残念に思えたのは、参加者が多いがゆえの弊害だろうか、全員が討論にまんべんなく参加するという形にはならなかったことである。場は「教官のサロン」と化し、学生たちはことばの饗宴を観戦するだけ、という傾向も若干見受けられた。もちろん、教官側からは、「学生も対等に議論に参加せよ」との、勧誘とも脅迫ともつかぬ呼びかけがたびたびなされたが、普段の権力関係(悪い意味でなく)や、情報量の差(驕るわけでなく)があって、なかなかそうはいかない。進行役に人を得ていれば、適宜、話を「控えめな出席者」に振って発言をうながすこともできたのだろうが、あいにく、私(小島)はその資質を欠いていた。 しかし、一部参加者は演習後に場所を変えて議論の続きを自分たちで楽しんでいたようだし、10名ほどの学生は毎回常連として演習に出席していたことから推測するに、各自がそれなりに楽しんでくれたのだろう。もちろん、自分たちが「楽しむ」だけでなく、共同討論の成果を対外的に発信する責務も、我々は負うのであろうが。