11月24日 第7回
題材:佐藤慎一(人文社会系研究科教授)「中国20世紀革命論の射程」
担当:吉田豊子(東アジア歴史社会博士課程1年)

 本報告は、1900年代の中国人の革命に関する言説を素材に、当時の中国人が来るべき革命(結果としては辛亥革命になる)について、多様な考え方があったことを、明らかにしたものである。従来のような「革命派」と「改革派」という枠組みに拘らずに、様々な論者個々人、あるいは彼らの思想の相互関連にも注意を払うことによって、当時の中国人の「革命観」に関して、新たな全体像を提示しようとしている。また、単にブルジョア革命だと評価していきた「辛亥革命」の性格は、再検討すべきだという問題的もなされている。

 担当者は、梁啓超は「種族」をどのように考えていたのか? 多くの論者は、当時の中国の民衆がかなり「自由」・「平等」であると考えているいるが、逆に「不自由」・「不平等」という認識がなかったのか(辛亥革命の捉え方に関わるもの)、の二点を質問し回答を得た。また第8節のタイトルに異議を出してみたが、これは竹越與三郎の著作の影響であることが確認された。

 全体討論では、当時の中国人がright(権利)をどのように考えていたのか、中国における法治観念の欠如あるいは西洋社会との法の観念の違い、自由の問題に関連して民国をもう少し長いスパンで研究する必要性、文革以後の革命という語の多様なイメージの問題、などが議論された。
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