11月17日 第4回
題材:坪井善明(早稲田大学教授)
「20世紀のアジア―ガンジー・毛沢東・ホーチミン」
担当:渡辺美季(東アジア歴史社会修士課程1年)


(要旨)
 アジアにとっての20世紀とは、西欧近代への「対抗・抵抗・受容」の世紀であり、この葛藤の中から「非暴力抵抗(ガンジー)」・「農民主体の社会主義革命(毛沢東)」・「『小国』の異議申し立て(ホーチミン)」が生み出された。そこでこの三人の人物を取り上げ、「20世紀においてアジアが世界に対してどういう形で貢献したか」という観点で、「20世紀におけるアジアの意味」を考える。

(コメント)
 比較検討すべき三人の側面は、少なくとも(1)実際の各自の言動、(2)外国(≒世界)における同時代/現在の評価、(3)自国における同時代/現在の評価、といった風にもっと分けて考える必要があるように思われる。また報告のスタンスは「日本とアジアの関係を考える上で」という点にあったが、一般に日本人が触れることのできる「三人像(研究書等)」には相当のバイアスが掛かっている点には留意すべきであろう。

(討論)
 各地域を専門的に研究する諸氏からより多角的な「三人評価」への示唆があった。またアメリカ合衆国の公民権運動の効用からガンジーの再評価が起こったことなどを挙げて、坪井氏の設定した「西欧対アジア」の枠組みへの異議も唱えられた。当日の討論自体は大いに盛り上がったものの、「無謀なことは百も承知だが、良心的な史学とどう噛み合わせて、《大きな流れ》にさらわれないようにするか」と問いかける坪井氏に、正面から切り込んでいくような意見は、全体として出なかったように思われる


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