日時 | 2005年11月3日(木)-5日(土) |
場所 | 和歌山県白浜・熊野 |
全体会報告 |
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報告者 |
カール・ベッカー(京都大学)
前川健一(東京大学)**
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コメンテーター | 飯田篤志(鎌倉女子大学) 古澤有峰(東京大学)** |
司会 | 下田正弘*(東京大学) |
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*推進担当者
**特任研究員・リサーチアシスタント
11月3日から5日まで、和歌山県の白浜・熊野にて「次世代死生学研究会議」が開催された。本COEの研究員・RA・若手支援費受給者計28名に、京大院生等7名(カール・ベッカー教授のゼミ生)を加え、教官やかつて本COE在籍の若手研究者等、総勢46名である。
3日間の日程で、研究部会、全体会、熊野霊地見学が行われた。研究部会では、35名の報告者が、8つの部会に分かれ発表した。全体会では、まず京都大学のベッカー教授が、「次世代のための死生学教育」について報告され、現代日本の死生学教育の必要を指摘、その上で、極めて具体的な提言をされた。非常に内容豊かで、個々の参加者に実践的な課題を問いかける報告であった。続いて本COEの前川健一氏(拠点形成特任研究員・仏教学)が、「日本の死生観」の一つの事例として「熊野における死生観の展開」を報告、一遍と熊野の出会いの背景について実証的に解明され、それがもつ宗教史的な意義について精緻な考察がなされた。飯田篤司助教授(鎌倉女子大学)と古澤有峰氏(本COEのRA・宗教学)のコメントを得た上で、突っ込んだ総合討議が行われた。
最終日には、牛馬童子像や本宮大社などの見学が行われ、熊野という霊地で育まれてきた死生観の一端を学習して、全日程を終えた。
成果として、部会報告と全体会報告を基にした『次世代死生学研究会議・論文集』が刊行される。また、次号の『死生学研究』にも本会議の報告と議論をもとにした論文が多く掲載される予定である。これらの刊行物等が重要な成果であることは言うまでもないが、3日間の濃密な議論を通じて若手研究員・院生等の間に構築された学際的なネットワークこそ、目には見えないが最大の成果であり、死生学の今後の発展に大きな財産となるであろうことは疑いない。