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公開シンポジウム
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人文社会系研究科・文学部の21世紀COEプログラム「死生学の構築」が主催する国際研究会議「死とその向こう側」が、2月18日(土)、19日(日)の両日、文学部一番大教室において開催された。この研究会議は、フランスの二つの研究機関、すなわちフランス極東学院とトゥルーズ人類学研究所と共同で開催されたもので、フランスからはそれぞれの機関の代表者を含め計九名の研究者が参加した。司会まで含めると、登壇者が二十名にも及ぶ、きわめて大規模な会議であった。
全体は、基調講演を中心とする公開シンポジウムを軸に、「進んで死を迎える」「非業の死を受け止める」「死者とともに生きる」と題する三つのワークショップから構成され、最後に「総合討論」が置かれた。大盛況の中、有意義な発表及び討論を重ねることができた。
発表内容は、地域的には日本・中国・インド・南米・ヨーロッパ、時間的には太古から現代にまで及び、多様な議論が展開された。広い意味での生者と死者との交流のありかたを考えることが、今回の会議の中心であった。
基調講演は、フランシスキュス・ヴェレレン氏(フランス極東学院院長)が、中国道教の思想の中で、死者がどのような存在と見られていたかについて論じ、そこから祖霊の祟りをいかに鎮めるか、という問題を提起した。またジャン=ピエール・アルベール氏(トゥルーズ人類学研究所所長)が、自発死の問題を取り上げた。殉教的な死(あるいは英雄的な死)をどう見るか、それは自殺とどう違うのか、という問題を提起した。
以下、「進んで死を迎える」では、よりよい死を迎える方法が、「非業の死を受け止める」では、非業の死者が生者に幸いをもたらす存在へと移行するプロセスが、「死者とともに生きる」では、死者の存在を身近に感じる多様な文化のありかたが、それぞれ議論された。今後も日本とフランスの間で、このテーマをさらに深めていくことを確認して、成功裏に終了した。