21  ドイツ語ドイツ文学

 教授 平野 嘉彦  HIRANO, Yoshihiko

1.略歴
 1967年 3月  京都大学文学部文学科卒業(文学士)
 1969年 3月  同大学院文学研究科ドイツ語学ドイツ文学専攻修士課程修了(文学修士)
 1971年 3月  同博士課程退学
 1971年 4月  大阪府立大学教養部助手(ドイツ語)
 1975年 4月  同志社大学文学部専任講師(ドイツ語)
 1975年 7月  ドイツ学術交流会 (DAAD) の奨学生として、ドイツ連邦共和国ボン大学およびエアランゲン=ニュルンベルク大学で在外研究に従事(1976年9月まで)
 1979年 4月  同志社大学文学部助教授(ドイツ語)
 1988年 4月  京都大学教養部助教授(ドイツ語)
 1992年10月  改組により京都大学総合人間学部教授(文化構造論、ドイツ語)
 1993年 4月  京都大学大学院人間・環境学研究科教授 [協力講座](文化記号論)
 1997年 4月  東京大学大学院人文社会系研究科教授(ドイツ語ドイツ文学)
  2003年4月  日本学術振興会の特定国派遣研究者として、オーストリア共和国グラーツ大学で(2003年11月まで)、またドイツ学術交流会の再招待によりミュンヘン大学で(2004年3月まで)、海外研修に従事

2.主な研究活動
 a 専門分野 と b 研究課題
   従来から主として以下の三つのテーマのもとに、研究活動を遂行してきた。すなわち、1) ボードレールにはじまる象徴主義抒情詩のドイツ語圏における展開として、リルケ、およびツェラーンの詩作品を、とりあえずは作品内在的に読みながら、同時に、作品と解釈に共通している自立的ないし自閉的な構造を相対化して、その限界を見極めること、2)「近代」と対峙するいまひとつの志向としてのフランクフルト学派、なかんずくベンヤミン、アドルノをとりあげて、たとえば若きベンヤミンにたいするゲオルゲの影響を、象徴主義(ないしユーゲント様式)と広義のフランクフルト学派の結節点として理解し、「美的近代」に内在する位相から「社会的近代」へと批判的に超越していく、その道筋をたどること、 3) 空間的、地理的な布置において、西欧「近代」に「遅れ」をとった中欧ないし東欧における「近代」に着目して、そのドイツ語による文学を、とりわけユダヤ人問題に留意しながら、都市論ないし地域研究の手法に学ぶことによって、構造的に把握すること、である。ゆるやかな歩みながら、着実に成果をあげてきたと自負している。
 c 主要業績
 (1) 著書
 単著、「ホフマンと乱歩 人形と光学器械のエロス」、みすず書房、2006
 (2) 論文
「『屋根裏の散歩者』から『猫町』へ 『群衆と観相学/群衆の観相学』の序にかえて」、ドイツ文学、130号、1-14頁、2006
「Malte Menge Masse. Notizen zu Interieur, Gesicht und Zahl」、ドイツ文学、130号、67-81頁、2006
「Auschwitz Berlin Ukraine. Einige Kapitelanfange zu einem kommenden Celan-Buch: Toponym als U-topie“」、詩・言語、66号、11-21頁、2006



 教授 松浦 純  MATSUURA, Jun

1.略歴
 1968年 3月  東京都立新宿高校卒業
 1968年 4月  東京大学文科三類入学
 1971年10月  サンケイスカラシップによりドイツ連邦共和国テュービンゲン大学留学(1973. 4帰国)
 1974年 3月  東京大学教養学部教養学科「ドイツの文化と社会」分科卒業
 1976年 3月  東京大学大学院人文科学研究科独語独文学専攻修士課程修了
 1976年 4月  東京大学文学部助手(ドイツ語ドイツ文学)
 1977年 9月  ドイツ連邦共和国テュービンゲン大学後期中世・宗教改革研究所にて在外研究(1980.3帰国)
 1980年 4月  東京都立大学人文学部講師(ドイツ語ドイツ文学)
 1983年 4月  同         助教授
 1985年 4月  東京大学文学部助教授(ドイツ語ドイツ文学)
 1985年 5月  ドイツ語学文学振興会賞受賞
 1985年7-9月  ドイツ学術交流会(DAAD)の招待によりドイツ連邦共和国へ研究出張
 1986年7-9月  東京大学学術基金によりドイツ連邦共和国へ研究出張
 1989年10月  ドイツ連邦共和国アレクサンダー・フォン・フンボルト研究財団の招待によりテュービンゲン大学ドイツ文学科および後期中世・宗教改革研究所にて在外研究(1991. 9帰国)
 1994年12月  東京大学文学部教授(ドイツ語ドイツ文学)
 1995年 4月  学部改編により東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授
 1995年 7月  ドイツ連邦共和国大統領より Philipp Franz von Siebold-Preis 受賞(同賞により1995、1997、1998、1999の各年度夏期休暇時、ドイツ連邦共和国ほかへ研究出張)
 2001年 4月  国際交流基金助成により、ドイツ連邦共和国ミュンヘン大学にて、同大ラインハルト・シュヴァルツ名誉教授と共同研究(2002. 3 帰国)
 2005年7-9月  ドイツ連邦共和国アレクサンダー・フォン・フンボルト研究財団の受賞者再招待により、テュービンゲン大学後期中世・宗教改革研究所ほかへ研究出張

2.研究活動
 a 専門分野 と 研究課題
     概要と自己評価
   研究分野としては、ルター研究と中世文学・中世思想研究を重点としている。
   まず前者については、西欧思想史の中で、伝統的キリスト教思想を革新するとともに近代への発展の関与が問題にされ、また特にドイツ思想史上まれな独自性と影響力を兼ね備えた思想家、ルターの思想を、完成した教義としてでなく、中世思想の伝統やアクチュアルな状況との関係の中で運動としてとらえ、日本人にとってのあらたな理解の地平を開くことを課題としている。着任直前の1983年からは、そのための第一の基盤研究として、最初期にあたるエルフルト修道院時代の資料探索・校訂・注解の細かい作業が続いている。そのきっかけとなったのが、1983年夏期、国際ルター学会参加の機会にエルフルト、東ベルリン(当時)、西ベルリン(当時)での資料調査によって発見することのできた、ルターのオッカムへの書き込みであった。その結果、ドイツのルター全集刊行委員会との連絡のもと、その後の新発見資料を含め、エルフルト時代の全自筆資料について校訂・新校訂の作業を行うことになった。20年を越える歳月をかけることになってしまったことについて、自分としても様々な評価が入り混じるが、この報告執筆時点(2005年7月末)では、本年の出張によって完成を目指している。
   後者については、この分野での大学院演習に加えて1997年度から講義でドイツ中世叙事文学を講じてきたが、2001年度の在外研究、2002年度教養学部講義担当による休止をはさんで、2003年度は、中世のトリスタン物語を、ドイツでの2大代表作であるアイルハルト・フォン・オーベルクの作品(12世紀後半)とゴットフリート・フォン・シュトラスブルクの作品(13世紀初頭)の作品を中心に、フランスないしアングロ・ノルマンの諸作品をも参照しつつ講じている。また、2000年度までに講じたアーサー王物語の構造の問題は、ドイツ中世文学研究の中でも最重要テーマのひとつであるが、2002~2003年度にはこのテーマを引き継いだ大学院演習を行なっており、その後、これまでの研究の検証と独自の分析を公刊してゆきたいと考えている。
 c 主要業績
 (1) 研究報告書
「ドイツ文学における記憶」、2007.3

3.主な社会活動
 (1) 学外組織(学協会、省庁を除く)委員・役員
「日本学術会議」、連携会員、2006.10~
 (2) 学会 ドイツ語作文コンクール審査委員会、名誉委員長、~2006.3 日本独文学会、委員、~2007.6


 教授 重藤 実  SHIGETO,Minoru

1.略歴
  1974年3月 東京大学文学部第3類(言語学専修課程)卒業(文学士)
 1974年4月 同   大学院人文科学研究科独語独文学専門課程修士課程進学
(1975年7月~1977年9月 ドイツ学術交流会(DAAD)奨学金によりドイツ連邦共和国ボン大学、シュトゥットガルト大学に留学)
 1978年3月 東京大学大学院人文科学研究科独語独文学専門課程修士課程修了(文学修士)
 1978年4月 同   大学院人文科学研究科独語独文学専門課程博士課程進学
 1979年4月 同   教養学部助手
 1980年4月 一橋大学経済学部講師
 1984年4月 東京大学教養学部助教授
(1984年4月~85年3月 一橋大学経済学部併任)
(1991年10月~93年3月 アレクサンダー・フォン・フンボルト財団研究奨学金によりドイツ連邦共和国テュービンゲン大学に研究滞在)
 1996年4月 東京大学大学院総合文化研究科助教授
(1996年4月~97年3月 東京大学大学院人文社会系研究科併任)
 1997年4月 東京大学大学院人文社会系研究科助教授
 2004年10月 東京大学大学院人文社会系研究科教授

2.主な研究活動
 a 専門分野
ドイツ語学
 b 研究課題と自己評価
現代ドイツ語の記述、また現代ドイツ語を生み出したドイツ語史の記述を研究の目標と考えている。背景となる言語理論や言語変化についての理論についての考察も必要となる。
   ここ数年、研究では一般言語学の言語理論に関することとドイツ語史に関することに重点があった。ドイツ語で発表する機会が増えたのは、日本における学問の国際化にふさわしく、いい傾向だと思っている。
   授業は現代ドイツ語文法理論と中高ドイツ語を中心としている。
 c 主要業績
 (1) 論文
「Der deutsche Plural」、"getriwe an alles wenken" Festschrift fur Shoko Kishitani zum 75. Geburtstag" (Hrsg. von Roland Harweg, Franz Hundsnurscher, Eijiro Iwasaki)、pp188-195、2006
「ドイツ語の名詞複数形と生産性」、『日本独文学会研究叢書』、№52 「歴史的に見た現代ドイツ語」pp.16-23、2007
 (2) 学会発表
 「名詞の複数形と生産性」、日本独文学会秋季研究発表会、九州産業大学、2006.10.14

3.主な社会活動
 (1) 他機関での講義等
学習院大学文学部非常勤講師>br> 九州大学文学部非常勤講師、2006.12~2006.12
明治大学文学部非常勤講師、2007.4~
 (1) その他
日本独文学会庶務担当理事、~2007.6




 准教授 宮田 眞治  MIYTA,Shinji

1.略歴
2007年4月東京大学大学院人文社会系研究科准教授


2.主な研究活動
 a 専門分野
近現代ドイツ文学
b 主要業績(2007年度)
 (1) 論文
  <実験>のゆくえ―A.v.アルニム、J.W.リッターの場合―シェリング年報2007.12年
 (2) 学会発表
 「二つの<回帰>-『芸術の哲学』における小説論をめぐって」、日本シェリング協会大会、日本女子大学、2007.12.8
 (3) 会議主催、チェア他(会議運営に関する貢献で、発表を伴わないもの)
  ドイツ文化ゼミナール 実行委員 2007年
 

4.主な社会活動
 (1) 学会
   日本独文学会文化ゼミナール担当委員2007.10
   日本シェリング協会理事




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