5 教育・研究支援組織

(1) 図書室

■蔵書数(2008年3月末現在)     平成8年度から本研究科・学部の予算措置による図書重点整備・充実を図っている。
     図書       991,867冊(うち洋書 519,276冊)
     年間受入図書冊数  18,768冊(うち洋書   8,336冊)(平成19年度)
     所蔵雑誌種数    10,309種(うち洋雑誌  4,005種)
     年間受入雑誌種数   1,713種(うち洋雑誌  1,242種)(平成19年度)
■図書資料の蔵置
  図書委員会の管理・運営の下で、蔵書を以下の数カ所に分散配架しているが、将来に向けて集中化が懸案となっている。
  また、以下の書庫や研究室は、いずれも書架スペースの狭隘化問題を抱えている。教育・研究の基本的な要素として構築した貴重な知的財産を有効に活用し、これらを後世に引き継ぐためにも書架スペースの狭隘化を早急に解決しなければならない。
1)2号館図書室
  おもに雑誌のバックナンバー、参考図書、本研究科授与の新制(1991年度~)博士論文(課程博士)、マイクロ資料を配架。
2)3号館図書室
  研究室図書の一部と叢書全集・史資料、3号館7研究室の図書を配架。
3)貴重書庫室(法文2号館書庫内)
  宗教学宗教史学・美学芸術学・日本史学・日本語日本文学(国語学・国文学)・インド哲学仏教学の各研究室の貴重書を配架。各研究室等でも相当数の貴重書を保存。
  平成15年度に新貴重書庫・準貴重書庫を新設し、スペース不足は解消されたが、新・旧貴重書庫ともに、保存環境に問題が多く、保存環境整備が重要な課題である。
4)各研究室
  3号館7研究室を除く研究室の図書資料は、法文1号館・法文2号館・総合研究棟(弥生地区)、アネックス(浅野地区)、赤門総合研究棟の各研究室に配架。
5)法文1号館書庫
  稀用図書、考古学関係の発掘調査書、宗教学・社会学研究室の調査資料、一部研究室の卒業論文等を配架。
6)マイクロ資料室(法文1号館書庫内)
  中国思想文化学・インド哲学仏教学・日本史学・東洋史学・西洋史学・日本語日本文学(国語学・国文学)・中国語中国文学・インド語インド文学・スラヴ語スラヴ文学・文化交流施設の各研究室のマイクロ資料を配架。
■サービス対応
1)3号館図書室
  総合受付サービス窓口で、文献複写・現物貸借依頼・受付、他大学・機関への紹介状の発行、各種申請の受付、及びレファレンスサービス等を行っている。
  開室時間は、休館日・短縮期間を除く午前9時~午後9時。
  ただし、午後5時以降は本学学内者の貸出・返却のみ受付(午後8時半受付終了)。
  OPAC(オンライン蔵書目録)・データベース検索用パソコン5台、複写機2台を設置。
2)2号館図書室
  サービスカウンターは、主として2号館図書室に配架された資料の貸出・返却サービスを行っている。
  開室時間は、休館日を除く午前9時~午後5時。
  OPAC(オンライン蔵書目録)・データベース検索用パソコン4台、複写機2台、本研究科・学部のカード目録(電子化以前に受入れた図書)を設置。
  ここに本研究科・学部の図書業務(図書資料の受入・登録・製本・目録)を行う事務室がある。
■最近のサービス活動
  本研究科・学部の遡及入力予算措置、及び全学の遡及入力事業への参加によって、平成14年度末で3号館図書室等の遡及入力(約37,6千冊)が完了し、平成16年1月から3号館図書室の機械貸出を開始し、貸出・返却処理が迅速に行えるようになった。未だ膨大な量の未遡及資料があるが、平成15年度から特殊文字資料(アラビア文字・ハングルなど)の遡及入力が可能になり、学部予算及び国立情報学研究所の事業への参加により遡及入力が進行中である。平成15年度の附属図書館図書受入業務システムの導入によって、受入図書業務の効率化・資料の管理対策、及びサービスの促進・拡大が図れた。より一層のサービス拡充のため、学内キャンパス間および国内外の文献複写・ILLへの対応を順次拡大し、サービスに関連する全学的なWGへの参加も積極的に行っている。


(2) 漢籍コーナー

     文学部研究室が所蔵する「漢籍」(中国前近代資料)を集中配架、共同利用するために1967(昭和42)年法文2号館2階に設置された(利用開始は1970年)。2004年2月に赤門総合研究棟6階に移転。中国思想文化学・中国文学・東洋史学・インド哲学仏教学・言語学・韓国朝鮮文化研究室などが所蔵・購入する漢籍を受け入れ、現在の蔵書数は10万冊を超える(一部日本、朝鮮関係資料などを含む)。その中には孤本、稀覯本など貴重な資料が多数含まれており、小倉文庫(朝鮮語資料・朝鮮漢籍)、瀧田文庫(日本禅籍)といったコレクションも収蔵している。
     漢籍を伝統的四部分類法で配列した書庫と貴重書を別置した貴重書庫の他、参考図書や利用者用PC、複写機などを備えた閲覧室があり、研究・教育・学習の場として活用されている。漢籍は中国学のみならず様々な学問分野において研究資料となるものであり、それ故漢籍コーナーの利用者も中国学専攻者に限定されず、多様、広範囲である。他学部、他部局、学外から利用者も多く、特に近年は遡及入力が進められOPAC、Web-Catでの図書検索が可能になってきたことで外部利用者が増加している。
     運営・管理は中国思想文化学・中国文学・東洋史学・インド哲学・韓国朝鮮文化・言語学研究室の代表教員などで構成される漢籍コーナー運営委員会が行い、業務全般は助手が担当している。
     これだけの量と質を備えた漢籍専門図書室を学部内に持つというのは全国でも稀であり、明治以来の中国学の伝統がありアジア研究に力を入れてきた本学部ならではの特色ある施設である。今後も引き続き文学部の研究教育拠点として整備、充実に努めていくが、出版数の増加、電子化資料の普及など「漢籍」の状況も変化しており、またWeb検索や利用者(特に外部利用者)の増加など漢籍コーナー自体の状況も変化してきている。こうした状況の変化の中、漢籍コーナー自体の整備・充実とともに、漢籍という貴重な文化資産を保全し、なおかつそれを文化資源として研究・教育に活用していくという二つの責務をどう両立させ果たしていくかが今後の課題となるだろう。


 助手 石川 洋  ISHIKAWA, Hiroshi
1.略歴
     1986年3月 東京大学文学部東洋史学専修課程 卒業
     1986年4月 東京大学大学院人文科学研究科東洋史学専攻修士課程入学
     1989年3月 東京大学大学院人文科学研究科東洋史学専攻修士課程修了
     1989年4月 東京大学大学院人文科学研究科東洋史学専攻博士課程進学
     1994年3月 東京大学大学院人文科学研究科東洋史学専攻博士課程単位取得のうえ退学
     1994年4月 東京大学文学部助手
     1995年4月 東京大学大学院人文社会系研究科助手 ~現在
     1995年4月 関東学院大学非常勤講師(法学部教職課程外国史担当) ~現在

2.主要業績
   「師復と無政府主義――その論理と価値観を中心に――」(『史学雑誌』第102編8号、1993年8月)
   「師復の革命論――平民革命と無政府主義――」(『中国哲学研究』(東京大学中国哲学研究会)第8号、1994年7月)
   「『新世紀』の李石曽――公と進化のアナキズム――」(『中国哲学研究』(東京大学中国哲学研究会)第16号、2001年6月)
   「平等と嫉忌心――劉師培のアナキズムについての一考察――」(『中国哲学研究』(東京大学中国哲学研究会)第21号、2005年11月)

(3) 視聴覚教育センター

  研究・教育を支えるための資料は多様であるが、近年、活字によらない映像や音声などのコンテンツも頓に増加の一途を辿っている。これはインターネットの急速な普及によって、さまざまなコンテンツが爆発的に増加したことがその背景にあるが、視聴覚教育センターは1964年以来、6200点近くに及ぶ映像・音声資料を蓄積し、多くの教員や学生に提供しつづけてきた。こうしたコンテンツは、現在、以下に述べるようにデジタル・アーカイブ化への努力がなされつつある。また、視聴覚教育センターの役割には、研究・教育を支える教室設備の計画推進やその整備・サポート、各種メディアの制作・活用支援、コンピュータを教育へ活用するための計画策定や実施支援まで、幅広い活動が含まれる。この2年間をまとめると、以下のようなことが特徴としてあげられよう。
  第一に、講義、演習などへの支援体制を強化したことである。これは、教室でのコンピュータを含めた教室機器などの使用をサポートすることであり、また、映像・音声などのソフト面での制作、活用の支援である。ことに前者は、28教室(演習室)に備えつけの機器類が講義等で正常に使用できるようにするため、要員の配置を含め体制の強化を図った。
  第二に、講義などでコンピュータを活用する便宜の幅を広げていることである。これは、語学講義などで従来活用してきたLLを変更し、ノートパソコンによる簡易CALLシステムの構築を図った。このことで、学生の自学自習環境が、自宅を含めて広がりをもつことを可能にした。
  第三に、コンピュータ演習などの講義に使われる情報基盤センターの端末を、計52台設置することを可能にした。このことで、講義・演習ばかりでなく、学生が日常的な端末を利用するうえで、大いに役立っている。
  第四に、21世紀G-COE「死生学の展開と組織化」や各種講演会、シンポジウムなどにおける映像、音声のデジタル・アーカイブ化を積極的に進める一方で、国際的な会議に対応を図るために同時通訳装置の拡充も行った。
  第五に、国際会議等でも使用される文学部1番大教室のシステムを見直し、全面的な改修を実施した。このことで同教室の使用頻度は高まり、講演会、シンポジウムなど、年間をとおして活発に使用される状況をつくり出している。
  第六に、音声・映像コンテンツを研究・教育へ活用するための活動であるが、映像資料を中心に毎年300~400点近く蓄積されている。これらの資料は、オフラインでデータ検索が行える部内データベースを構築し、利用者への活用に便宜を図っている。しかし、このデータは図書とは異なるために、独自の分類仕様になっており、オンラインの公開にはまだ多くの問題が残されている。また、近年のデジタル技術に支えられた映像処理技術の発達には目覚ましいものがあり、デジタルハイビジョン映像を教育分野で使用することも始まりつつある。また同時に、フィルムやビデオなどでのアナログ技術で記録された映像・音声資料等も研究・教育にとっては貴重なものである。デジタル化への対応だけではなく、アナログ資料が使える環境を確保するために、古い機材のオーバーホールなどを図ることも必要である。

(4) 認知科学研究室

  1946年に本学の航空研究所が廃止され、その航空心理部門が文学部に移管されて、能率研究室に改組された。その後、1992年に改称されて現在の認知科学研究室となっている。   能率研究室は、当初、心理学研究室の教官1名が兼任し、助手1名と共に、作業適正や職務分析を中心とした応用心理学の研究を行っていた。1954年に助手の定員割り当てがなくなり、以後、心理学研究室の内部組織として運営されてきた。認知科学研究室となってからも、同じ形態で運営されている。
  心理学研究室は、実験心理学を心理学の基礎領域として教育・研究の中心に据えてきたが、同時に、応用心理学の名のもとに周辺科学との交流を展開していた。初期の能率研究は、応用実験心理学の象徴のような領域であった。しかし、サイバネティクスやコミュニケーションの研究に始まって、学際性が強く意識されるようになると、基礎と応用を対立的に捉える考え方は次第に廃れていった。
  1960年代に入ると、心理学では、情報処理アプローチが興隆し、認知心理学という分野が成立した。知覚心理学や学習心理学も、認知心理学との関連で再体制化されるようになり、その一方で、認知心理学は、コンピューター・サイエンス、神経科学、言語学、哲学などと共に認知科学と呼ばれる新たな学際領域を形成するようになった。心理学研究室における教育・研究活動も認知科学と密接な関連を持つようになったため、認知科学研究室と改称することになった。
  現在、心理学研究室に所属する教員は、認知心理学を専門とする2名を含め、全員が認知科学と深い研究上の関連を持っており、認知科学の他領域とも連携をとりながら教育・研究活動を行っている。高度に情報化した現代社会においては、人間が行なう情報処理を解明する必要性はいよいよ高くなってきており、認知科学研究室の担う役割も大きなものになってきていると言えよう。


(5) 国際交流室

 1975年(昭和50年)4月、年々増加する外国人留学生に対応するため、文学部に「外国人留学生相談室」が開設され、留学生指導担当の外国人留学生アドバイザーが就任した。当時、東大の中でこのような施設を有していたのは、文学部のみであった。その後、国際交流の気運が高まるにつれ、全学レベルで国際交流委員会が設置された。これにともない、1985年(昭和60年)に、「外国人留学生相談室」は「国際交流室」と改称されて、文学部の国際交流委員会に所属することとなった。また、1992年4月には日本語教育が開始された。
 2005年4月現在、国際交流室は、留学生指導担当講師1名、日本語教育担当専任講師1名、同非常勤講師2名及び事務補佐員2名の計6名で構成され、人文社会系研究科・文学部に在籍する176名の外国人留学生ならびに39名の外国人研究員に対して、研究・修学に関する一般的な指導と助言を行うとともに、日常生活上のさまざまな相談にも応じている。
 2007年4月現在、人文社会系研究科の博士課程に77名、修士課程に36名、研究生として51名、文学部に学部正規生11名、研究生として1名の外国人留学生が在籍している。国籍・地域別にみると、その数は35ヶ国に及び、人数の内訳は韓国65名、中国36名、台湾25名、アメリカ合衆国7名、イタリア、ハンガリー及びポーランド各3名、イギリス、カナダ、ドイツ、フランス、マレーシア及びルーマニア各2名、アルゼンチン、イスラエル、インドネシア、ウクライナ、ウズベキスタン、エジプト、オーストラリア、シンガポール、スイス、スウェーデン、スペイン、スリランカ、スロベニア、セルビア、タイ、中国(香港)、トルコ、ニュージーランド、ブラジル、ブルガリア、モンゴル及びロシア各1名となっている。

 人文社会系研究科における留学生の多様化に対応するため、国際交流委員会及び国際交流室が準備しなければならない課題は、多数あり、かつ重大である。現在に至るまで、国際交流委員会及び国際交流室はこれらの課題に取り組んできたが、未解決の難問はまだまだ少なくない。以下に、それらの課題の一部を列挙しておく。
 1.留学生受け入れのための規則の改正(定員等)、指導教官の負担の問題。
 2.宿舎確保の問題、奨学金問題の改善。
 3.帰国留学生へのアフター・ケア及びその準備段階としての留学生に関するデータの整理、留学生の組織化、同窓会名簿の作成、同窓会海外支部作り等。
 4.日本語教育の充実、日本語担当教官の定員増。
 
[国際交流室分室の活動]
 大学院人文社会系研究科に属する外国人留学生の日本語教育に関する業務を行っている。具体的には新規の外国人研究生に対する学力試験の実施、日本語のクラス授業(中級以上)、個人指導、作文集の作成、日本語関係の図書の管理等に当たっている。
 主な活動である日本語のクラス授業は年2回(夏学期、冬学期)の研究生募集時期に合わせて補講授業として開講している。大学院の講義に合わせた時間帯で実施しており、年によって多少の変化はあるが、それぞれ独立した科目を週1コマずつとし、学生が受講しやすいように配慮している。また、夏には1週間の集中授業を行い、平常の授業を受講できない学習者にも受講機会を与えている。
 学習レベルについては、当研究科の性質上、高度の文献研究に資することを目的とし、中級レベル以上の学習者を対象としている。非常勤講師を含め、講師3名が必要に応じて会議を持ち、連携して指導に当たっている。
 受講者は大学院人文社会系研究科・文学部に属する外国人研究生、大学院生が中心であるが、レベルが合うクラスがあれば、当研究科所属の外国人研究員、外国人教師及び学生や研究員の家族も受け入れている。また、時には所属の異なる研究科の外国人研究生の聴講を許可することもある。

 講師 寺田 徳子  TERADA, Noriko
1.略歴
      1972年 3月  立教大学文学部史学科卒業
      1978年    朝日カルチャーセンター日本語講師養成講座修了
      1980年    日本語教育学会日本語講師養成講座修了
      1980年 4月  日本語教育学会日本語講師養成講座教務担当 ~1981年3月
      1980年 9月  国際学友会日本語学校非常勤講師 ~1983年9月
      1980年10月  拓殖大学語学センター日本語コース非常勤講師 ~1983年9月
      1983年10月  マドラス大学印日センター客員教授(国際交流基金より派遣) ~1986年6月
      1986年 8月  アジア学生文化協会留学生日本語コース非常勤講師 ~1989年3月
      1986年 9月  外務省アジア太平洋地域外交官日本語研修計画非常勤講師 ~1989年7月
      1989年 4月  大東文化大学別科非常勤講師 ~1992年3月
      1989年 9月  国際交流基金日本語国際センター外交官コース非常勤講師 ~1997年6月
      1992年 4月  東京大学文学部・人文社会系研究科講師 ~現在

2.主な研究活動
     主要業績
      著書 『しっかり学ぼう日本語基礎』山下暁美氏と共著・双文社 467頁 1997.

3.主な教育活動
    (1) 日本語教育に関する業務一般
      1) 日本語授業の授業計画の作成
       各学期の授業及び集中授業の計画を作成する。
      2) 新規外国人留学生への学力試験の実施
       当研究科の外国人研究生の日本語力をはかるため、当日本語教室独自の試験を実施している。
      3) 個人指導
       日本語の勉学に関して、個人的に指導する。日本語の授業を受講していなくても、留学生として在籍している学生は利用できる。取り扱う内容は日本語に関することなら、授業に関する質問から、小説の読解、レポートの添削まで様々である。
      4) スピーチ発表会の開催
       「口頭表現」授業の発表の場として、1993年度より夏学期にはスピーチ発表会を開催している。日頃日本人と個人的に接触する機会が少ない留学生の場合には、日本人との交流の場となり、日本人にとっては留学生の心境を知るよい機会となることを期待している。ただし、2003年度は都合により、開催を見合わせた。
      5) 作文集の作成
       毎学期の作文、スピーチ原稿等を『ぎんなん』という冊子にまとめ、希望する学生及び関係者に配布している。勉強の成果を公表する場ともなっている。
      6) 講師会の開催
       日本語の授業では、それぞれの授業の担当者の連携が大切であるため、定期的に非常勤講師と話し合う講師会を開き、そこで話し合ったことを授業計画に生かすようにしている。
      7) その他
       日本語の図書、テープ等の貸出、学習の相談。
    (2) 日本語授業
       外国人研究生の数が増えるにつれ、能力格差も開きつつある。授業は能力レベル別に開講しており、下記の授業以外の授業は非常勤講師が担当している。専門分野と並行して行われるために柔軟な対応を心がけているが、学習意欲を高める意味で評価も行っている。
      1) 平常授業
       学期ごとに行う。2003年度現在担当は以下の通り。(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲはレベルを表す。)
      ① 読解I   中級レベルの読解能力の養成と初級知識の復習、定着を目的とする。特にレポート・論文に必要な語彙・文法の定着、文型の応用に力を入れている。
      ② 読解II  読解Ⅰを発展させる形で、論理的な長い文に慣れ、書き言葉や漢字語彙を身につけることをめざす。
      ③ 読解III  自然な日本語の文章に触れ、読解力を高めることを目的とする。
      ④ 文章表現I 日本語でまとまった文を書くことに不慣れな学生に、作文の基本的な知識を教え、レポートなどを意識しながら、正しい文が書けるように指導する。
      ⑤ 漢字学習 非漢字圏の学生はもとより漢字圏の学生にも日本語としての漢字の読み書き、漢語の使い方等を定着させる。
      ⑥ 文法   基本的で混乱しやすい文法や文章によく使われる慣用的言い回し等が正しく使えるように指導する。
      ⑦ 読解練習 昨今はほとんどの外国人研究生が大学院への進学を考えており、その準備クラスとして設けている。(冬学期のみ)
     2) 夏期集中授業
       夏休みに一週間行う。
      2002年度 ① 表現    テーマを決めて、それに関するテキストを基に話し合い、さらにその結果を文章化する授業を行った。
           ② 読解Ⅰ   様々な種類の文章を取り上げ、その内容の理解と、語彙の使い方などを指導した。
      2003年度 ① 表現    日本文化や言葉に関するテキストやビデオ教材を基に話し合い、さらにその結果を文章化する授業を行った。
           ② 読解I   現代日本社会に関する文章を取り上げ、その内容の理解と、語彙の使い方などを指導した。

    ◇ 主要学内委員
      国際交流委員会委員



 講師 安田 京子  YASUDA, Kyoko
1.略歴
      1978年3月        早稲田大学法学部卒業
      1981年6月        ハーバード・ロー・スクールLL. M.コース修了
      1991年2月~1994年3月  東京大学留学生センター留学生相談室非常勤相談員
      1996年4月~1997年3月  東京大学文学部国際交流室教務補佐員
      1997年4月        東京大学文学部講師(外国人留学生アドバイザー)

2.主な教育活動
    (1) 留学生等相談関係
      1) 勉学関係
       大学院進学に関する相談、休学に関する相談、入学希望者の来室・電話・手紙・e-mail等による相談、教官からの大学院研究生及びび外国人研究員受け入れに関する相談、国費留学生の転学、転科、帰国に関する相談、等
      2) 生活関係
       奨学金に関する相談、授業料納入に関する相談、 宿舎に関する相談、ビザ取得及びビザ変更に関する相談、等
    (2) 教務関係
      1) 留学生全般関係
       外国人留学生名簿作成、奨学金申請用紙の配布及び申請の取りまとめ、各種留学生用宿舎の入居申請書の配布及び申請の取りまとめ、見学旅行・懇親会の通知発送及び参加申し込みの取りまとめ、等
      2) 大学院外国人研究生関係
       入学願書配布及び受け付け、審査結果通知発送、入学手続き(4月及び10月)、入学ガイダンスの実施(4月及び10月)、研究期間延長手続き、研究事項証明書発行、チューターの選定依頼及びその取りまとめ、等
      3) 国費留学生関係
       大学推薦・国内採用による国費留学生の申請手続き、各種手続き等
      4) 外国人研究員関係
       外国人研究員の申請受け付け・許可証明書及び身分証明書の発行、研究者用宿舎の入居申請書の配布及び申請の取りまとめ、等
    (3) その他
      外国人留学生・外国人研究員との懇親会(6月)、外国人留学生見学旅行の引率(11月)、国費留学生及び学習奨励費受給者の在籍簿取りまとめ(毎月)、在留資格認定証明書交付申請用紙の配布及び取りまとめ、資格外活動申請用紙の配布及び取りまとめ、等

    ◇ 主要学内委員
      国際交流委員会委員
    

(6) 情報メディア室
l_cnc@l.u-tokyo.ac.jp
WEB:http://www.l.u-tokyo.ac.jp/MediaCenter/

 情報メディア室は、文学部の計算機システムおよびキャンパスLANの運用管理を行うことを目的として、1996年に設立された。現在、情報メディア室では、次の2つの業務を行っている。
 1. 文学部内の情報システムに関する運用管理
 2. 多分野交流演習事務局

1. 情報システムの運用管理
 情報メディア室は、視聴覚センターと協力して、文学部の教育・研究用計算機システム、キャンパスLANシステムの運用管理を行っている。
 1) 教育・研究用計算機システムの運用
  文学部は、教育研究用計算機システムとして、IBM eServer×2台、Sun Enterprise Server×1台、Sun Ultra WS×3台を管理・運用し、文学部・大学院人文社会系研究科構成員に対して、電子メールサービス、ホームページサービスをはじめとする一般的なUnixアカウントサービスを提供している。本システムは、約600ユーザを抱えるに至っている。
 2) 文学部WWWサーバの運用
  情報メディア室では、文学部全体のWWWサーバシステムの運用を行っている。WWWサーバからは、事務局や広報委員会、また個々の各研究室・教官・学生からの発信情報があり、これらに対して共通の情報発信システムを提供している。
 3) 文学部LANのNOC(Network Operation Center)機能
  情報メディア室では、文学部のネットワーク運用センター(NOC: Network Operation Center)機能として、以下の業務を行っている。
  (a) 基幹ネットワークの良好な通信状態の維持
  (b) webmaster/postmaster機能
  (c) ネームサーバの運用
  (d) DHCPによるIPアドレス自動割当サービス
  (e) 電話アクセスポイントサービス
 を行っている。
  (a) 基幹ネットワークの運用
   情報メディア室では、文学部の構成員が居住する主要な建物である、法文1号館、法文2号館、文学部3号館、農学部総合研究棟、アネックス、赤門総合研究棟におけるローカルエリアネットワークの基幹部分(研究室や教官居室の外部)の管理運用を担当している。これらの建物における、物理的なネットワーク配線、ネットワーク通信を中継するために設置されたハブやスイッチなどの機器を運用管理し、研究室からキャンパスLANであるUTnetまでの通信経路における良好な通信サービス提供のための活動を行っている。
  (b) webmaster/postmaster機能
   情報メディア室では、広報委員会および事務局と協力し、インターネット上の文学部の問い合わせ、苦情等の窓口業務を行っている。文学部が提供する各種情報に関する問い合わせは、web-master[at]l.u-tokyo.ac.jp宛に届くことが多い。このメールを、学部内の担当部署への転送、広報委員会への連絡業務を行っている。また、セキュリティー上の問題や、文学部内から外部に向けてなんらかの被害をもたらす動作を行った場合の苦情等は、postmaster@l.u-tokyo.ac.jp宛に届くことが多いが、ここに届いた連絡事項の対応も行っている。
  (c) ネームサーバサービス
   文学部LANが機能するために必要な、ネームサーバ(DNS: Domain Name Server)の運用を行っている。
  (d) DHCPによるIPアドレス自動割当サービス
   文学部LANに接続するコンピュータに対して、IPアドレスの自動割当サービスを、すべての建物において実施している。これによって、コンピュータに明示的なアドレス割当を行わなずとも、文学部LANに接続して利用できる利便性を提供している。
  (e) 電話アクセスポイントサービス
   文学部LANに対して、自宅等から電話回線によってアクセスする環境を提供している。現在、ISDN、PHS(PIAFS32,PIAFS64)、56Kアナログモデムによるアクセスを提供している。
 4) 文学部LANのNIC (Network Information Center) 機能
  情報メディア室では、文学部LANのネットワーク情報センター(NIC: Network Information Center)機能として、l.u-tokyo.ac.jp以下のドメイン名割当管理、IPアドレス割当管理を行っている。
 5) セキュリティー対応
  近年、大学内もインターネット経由による不正アクセス等が多くあり、学部内でも多くの被害がでている。そのため、
    ・文学部のメールサーバにウィルスチェックソフトウェアを導入し運用
    ・文学部LAN全体を囲むファイアウォールを設置・運用
    ・各種セキュリティー対策情報を学部内に配布
  など、セキュリティー対応業務を行っている。
 6) 文学部内の研究活動支援
  情報メディア室では、文学部構成員全体への情報サービスだけでなく、文学部の各教官の研究教育活動の支援として、各研究プロジェクトの情報発信支援、研究用コンピュータの運用管理、連絡用のメーリングリストの提供なども積極的に行っている。
 7) 文学部内データセンタの運用   各教員の教育実績や研究業績をまとめ、点検評価に用いるためのデータベースシステムの運用管理を行っている。

2. 多分野交流演習事務局
 情報メディア室では、多分野交流演習の事務局を担当し、多分野交流演習の予算管理・執行業務、多分野交流演習室の予約管理、多分野交流演習ニューズレターを定期的に発行している。


3. 助教の活動
 助教 紙名 哲生  KAMINA, Tetsuo
在職期間 2006年4月―現在
研究領域 プログラミング言語・ソフトウェア工学・ユビキタスコンピューティング
主要業績
・T. Kamina and T. Tamai: Lightweight Scalable Components. In Proc. GPCE’08, ACM Press, pp.145-154, 2007.
・T. Kamina, T. Aoki, Y. Eto, N. Koshizuka, J. Yamada, and K. Sakamura: Verifying Identifier-Authenticity in Ubiquitous Computing Environment. In Proc. UCI-07, IEEE CS, vol.2, pp.403-308, 2007



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