4 研究費の受け入れ

(1) 科学研究費補助金

2006(平成18)年度


2007(平成19)年度



(2) 奨学寄附金

2006(平成18)年度


2007(平成19)年度




(3) グローバルCOE「死生学の展開と組織化」

 2007年度より5年間の計画でグローバルCOEプログラム「死生学の展開と組織化」(Development and Organization of Death and Life Studies)の支援を受け、教育研究拠点形成活動を行っている。これは、「国際的に卓越した教育研究拠点のための重点的支援」として選ばれたもので、2002年度から2006年度にかけて行われた、21世紀COEプログラム「生命の文化・価値をめぐる死生学の構築」(Construction of Death and Life Studies concerning Culture and Value of Life)を引き継ぐものである。
 この教育研究プログラムは、死生の文化が諸文明において多様な形をとってきた事実を尊重しつつ、死生のケアや意思決定をめぐる喫緊の諸問題に対して、それをとりまく状況全体のなかで応答しようとするものである。死にゆく人びとのケアの場において死をめぐる伝統的文化装置が機能しなくなり、それに代わる知や制度、実践のシステムが必要とされているという現在の問題は、過去の歴史を踏まえて成立するそれぞれの社会におけるケア、臨床、養育をめぐる問題全体の現れであり、死に向かう側面のみを孤立的に考察しても解決しうるものではない。
 この困難を超えるためには、(1)世界の諸文明において死生の知や実践がいかなる形を取ってきたかについての文明史的な比較研究を進め、同時に(2)倫理や実践規範に関わる理論的哲学的考察をなした上で、(3)現代世界の新たな問題に応答しうる学知を展開・組織化しなければならない。(1)は地域の限定を超えて、思想、歴史、言語、行動文化等、人文社会科学全体が深く広く関与してきた領域であり、(2)は生命倫理をはじめとする応用倫理が直面する諸問題に死生学の立場から寄与することを目指すことから、哲学、倫理学はもとより、法学との対話も必要となる。(3)は、医療や終末ケアの問題にとどまらず広く「人を養育する場」において解決が模索されている諸課題への応答を含むことから、医学、看護学、教育学、法学等との連携は不可避である。  この拠点形成のプログラムは多方面から注目され、2007年度より次世代人文学開発センター創成部門に上廣死生学講座が設置されることとなった。グローバルCOEプログラム「死生学の展開と組織化」は、この上廣死生学講座と連携しながら死生学の発展、充実のための諸活動を行っている。また、応用倫理プログラムとも連携しながら、教育・研究体制を作りあげてきており、市民生活と直結した領域に取り組むなかで、人文学を活性化し、次世代における人文学の展開の一翼を担おうとする意欲をもつ。欧米の死生学がキリスト教的、近代西洋文化的な前提をなかなか超えられない状況を見すえつつ、より広い死生学を構築して、日本から世界への学問的発信を行おうとする野心も含まれている。
 教育の側面では、大学院を終えて博士号を取得したPD(ポスドク研究員)を中心に博士課程の大学院生が加わり、学際的、かつ国際的な研究推進の訓練を行ってきている。大学や医療機関等で死生学や生命倫理を教える専門家が求められていることに応じようとするものである。まだ専攻とはなっていないが、2007年度より大学院修士課程・博士課程で本格的に死生学を学ぶことができるようになるし、学部段階のクラスも一段と充実したものとなってきており、学部・大学院双方のレベルで教育効果を上げてきている。





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