2008年度 夏学期 現代文芸論研究室授業内容


ラテンアメリカ文学概説)」【学・院共通】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
野谷 文昭
2単位
火・2

 すでに21世紀を迎えながらも、日本でのラテンアメリカ文学の紹介は相変わらず1960年代の<ブーム>期の作家とその作品を中心にして行われている。それは1960年代があまりにも豊饒だったことの証とも言えるだろう。この講義では、その<ブーム>期を生んだ背景、中心となった作家・作品の特徴、世代・地域による相違などに焦点を当てながら、ラテンアメリカの<新小説>を講義の形で概観する。したがって、受講者のスペイン語学習歴は問われない。

 具体的なシラバスは、ガイダンスを兼ねる初回授業時に提示する。その際に参考文献も指示する。




ラテンアメリカ文学概説)」【学・院共通】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
野谷 文昭
2単位
火・2

 この講義では、ガルシア= マルケス、コルタサル、バルガス=リョサ、フエンテスら1960年代の<ブーム>の中心となった作家の時の経過にともなう作風の変化、および<ポスト・ブーム>の作家とその作品の傾向について検討する。また独自の動きを見せるキューバの新世代についても考えてみたい。受講者のスペイン語学習歴は問われない。

 具体的なシラバスは、ガイダンスを兼ねる初回授業時に提示する。その際に参考文献も指示する。冬学期からの参加も可とする。



ラテンアメリカ文学研究)」【学・院共通】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
野谷 文昭
2単位
火・4

 ガルシア=マルケスやボルヘスの初期の短篇と後期の短篇の作風の違いなどを、実際の作品を読みながら検討するが、受講者は発言を求められる。また受講者にスペイン語学習歴があればそれに越したことはないが、なくてもかまわない。テキストは主に翻訳を使用する。

 具体的なシラバスは、ガイダンスを兼ねる初回授業時に提示する。その際に参考文献も指示する。



ラテンアメリカ文学研究)」【学・院共通】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
野谷 文昭
2単位
火・4

 ガルシア=マルケスらの作品の面白さを、フエンテス、大江健三郎ら内外の作家・批評家の評論やバフチンの理論などを参考にしながら分析する。受講者にスペイン語学習歴があればそれに越したことはないが、なくてもかまわない。テキストは主に翻訳を使用する。

 毎回受講者が調べたことを報告し、それをもとにディスカッションを行う。冬学期からの参加も可とする。

 具体的なシラバスは、ガイダンスを兼ねる初回授業時に提示する。その際に参考文献も指示する。



ガルシア=マルケスを読む【学部・原典を読む】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
野谷 文昭
2単位
水・5

 ガルシア=マルケスの作品を、短篇を中心に読む。テキストは基本的にスペイン語だが、英訳を参照する場合もある。『青い犬の目』、『ママ・グランデ゙の葬儀』、『エレンディラ』、『十二の遍歴の物語』から抜粋するほか、中長篇の一節などもテキストとして用い、この作家独特の文体に直に触れ、その魅力を味わう。

具体的なシラバスは、ガイダンスを兼ねる初回授業時に提示する。テキストはプリントを配布する。




翻訳演習)」【学部】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柴田 元幸
2単位
月・2

 毎回、英語で書かれた2〜3ページの小説・エッセイを全員が訳す。授業では、何人かの訳文を叩き台にして、翻訳上の問題点などについて話しあう。毎回レポート提出、期末試験はなし。レポートは毎回添削して返却する。評価の根拠は一に授業参加度(発言・質問)、二にレポートの出来。これまでは、以前この授業で単位を取得した人の履修は認めなかったが、悪評につき今年から認めることにする。が、人数があまりに多くなった場合は何らかの形で選抜する可能性もある。4月14日開始。




現代文学短篇講読【学部】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柴田 元幸
2単位
月・2

 20世紀末〜21世紀に刊行された、英語で書かれた/英語に訳された短篇小説を毎回1本読む。世界でいまどんな小説が書かれているかを少しでも知ることと、小説を英語で味わえる語学力をつけることをめざす。毎回レポート提出、簡単な発表1回。発言・質問など授業参加度を重視する。テキストは、プリントを用意する。




現代の世界文学【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柴田 元幸
2単位
金・3

 「どこにもない場所」を描いた現代文学を、主として英語で読む。Paul LaFarge, The Artist of the Missing, Magdalena Tulli, Dreams and Stones, Magnus Mills, Three to See the King, カルヴィーノ『見えない都市』などを読む予定。テキストは東大生協に注文する予定。4月11日は入学式なので、4月18日に開始する。




翻訳の理論と実践)」【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柴田 元幸
2単位
金・3

 英語で書かれた文学作品を日本語に訳す。各自が訳したい作品を持ち寄り、訳文を教室で討議し、作品として読むに耐える質の達成をめざす。それと並行して、翻訳に関する古典的な批評も読むが、重点は実践の方にある。




19世紀短篇小説を英語で読む【学部・原典を読む
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柴田 元幸
2単位
月・5

 毎回、10ページ程度の短篇小説を読む。どういうものを読むか、詳しくは、参加者の顔を見ながら考えるが、さしあたってNathaniel Hawthorne, “Wakefield”, W. W. Jacobs, “The Monkey's Paw”, Walter de la Mare, “The Riddle”などを考えている。テキストは、プリントを用意する。




越境文学研究)」【学部】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
2単位
水・2

 文学にとって、作家が一国一言語の枠を超えて活動・執筆することの意味を、様々な角度から検討する。革命・戦争・全体主義体制などに追われて亡命者となった作家はもちろんのこと、それ以外の越境的ないし跨境的現象として、文学作品の翻訳や、外国文学の受容、日本文学の国際的な人気、純文学とエンターテインメントといったジャンル分けの曖昧化、などのトピックを取り上げる予定。コンラッド、クンデラ、ミウォシュ、ブロツキー、ゴンブロヴィッチ、ナボコフ、ブロツキーなどの作品を取り上げる他、ジノヴィイ・ジニク、ユゼフ・ヴィトリン、サイードなどの亡命論を講読する予定。




ことばと文化)」【学部】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
2単位
水・2

 言語と文化はどんな関係にあるのか。言語はその話者の世界観や民族的アイデンティティにどのような影響を与えるのか。文学的表現はどのくらいそれが書かれる言語に規定され、その程度翻訳可能なのか。そういった原理的問題をつねに念頭に置きながら、現代の世界文学を広い視野から研究するためのイントロダクションとする。昨年度の同名の授業とほぼ同じ趣旨だが、具体的なトピックや取り上げる作品は全面的に変えるので、続けて受講することも可とする。今年度は特に、(1)文学の翻訳――「同化」と「異化」、新訳の意味、(2)ナショナルな文学と世界文学、(3)亡命と越境、(4)言語的世界像と翻訳可能性、といった話題に焦点をあてる。




世界文学へのアプローチ【学部/持ち出し4学期】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
2単位
金・3

 言語と文化はどんな関係にあるのか。言語はその話者の世界観や民族的アイデンティティにどのような影響を与えるのか。文学的表現はどのくらいそれが書かれる言語に規定され、その程度翻訳可能なのか。そういった原理的問題をつねに念頭に置きながら、現代の世界文学を広い視野から研究するためのイントロダクションとする。昨年度の同名の授業とほぼ同じ趣旨だが、具体的なトピックや取り上げる作品は全面的に変えるので、続けて受講することも可とする。今年度は特に、(1)文学の翻訳――「同化」と「異化」、新訳の意味、(2)ナショナルな文学と世界文学、(3)亡命と越境、(4)言語的世界像と翻訳可能性、といった話題に焦点をあてる。




ナボコフ研究【学部】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義・毛利 公美
2単位
金・5

 20世紀は「映像の世紀」「亡命の世紀」といわれる。その20世紀を代表する作家の一人ナボコフの作品を通し、多文化的状況における文学のあり方を考える。前半は映像資料を交えながら講義形式で行い、時代背景や作品の特徴、研究史、読解のための鍵となるテーマや問題点を整理した上で、後半の授業では短編を中心にナボコフの作品を読んでディスカッションを行う予定。前半の講義は沼野および毛利が分担、後半のテキスト講読は主に毛利が担当する。テキストは主として英語版を用い、邦訳およびロシア語版も参照する。ロシア語の知識がなくても受講可。




世界文学へのアプローチ)」【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
2単位
水・4

 世界の文学を広い視野から(日本文学も視野に入れて)研究していくための様々なアプローチを考え、特にこれから大学院で本格的な研究を始めようとする者のための研究入門的ゼミとしたい。まず(1)翻訳の可能性と限界、(2)グローバリゼーションvs言語と「場所」の固有性、(3)日本文学の世界での受容、(4)越境性と民族性、(5)ヨーロッパ周縁の文学、といったトピックを念頭に置きながら、現代において「世界文学」の概念がどのような可能性を持つか検討したうえで、参加者が専門的関心を持つ作家や作品の読解に具体的に応用していく。様々な専門の立場からの報告と議論が活発に行なわれることを期待する。ゲストスピーカー(外国の研究者や作家など)も随時招く予定。平成19年度の同名の授業と趣旨はほぼ同じだが、テキストや具体的な題材は全面的に変えるので、引き続き受講することは可能。




世界文学へのアプローチ)」【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
2単位
水・4

 夏学期「世界文学へのアプローチ3」と同じ趣旨の演習で、内容的にはその継続となるが、冬学期のみの履修も可能になるよう配慮する。




文学批評理論【学部】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
大橋 洋一
2単位
月・4

 現代の批評理論について概説する。ヨーロッパ系の批評理論を、英米圏での受容の実際を通してみるので、批評理論のなかで、失われる部分もあるが、有効性を増し適用可能性を高める部分もあるので、そこに焦点を絞りながら、構造主義、ポスト構造主義、精神分析、フェミニズム、ジェンダー、新歴史主義、ポストコロニアリズムなどを、理論の全体像とその可能性を考えてゆく。講義中心の授業だが、メールやホームページを通してコミュニケーションの場は確保したい。予備知識は必要としない。教科書はない。授業時はプリントを配布。関連文献はその都度提示する。




批評理論演習)」【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
大橋 洋一
2単位
火・3

 Lois Tyson, Critical Theory Today は、英米の学部レベルの学生を対象としたもので、大学院の教材としては物足らないところがあるが、基本概念に関する丁寧な説明と、多様な方法で一作品を多角的に読解する実践例によって、入門書としては高い評価を得ている(2006年には第二版が出版された)。演習では、本書を出発点として、具体的な文学・文化テクストに理論を適用するときの実践的な手順などを考察・確認する。参加者に予備知識は必要ない。参加者には、特定のテクスト(参加者自身が選択したもの)に対して、特定の方法に依拠する読解を求めるが、その読解から、個々の理論の限界と可能性の中心とが確認できればと考える。

教科書として、Lois Tyson, Critical Theory Today, Second Edition (Routeldge, 2006)を指定するので、第二版を、各自入手しておくのが望ましい。



日本近代文学の特質と課題3)」【学・院共通】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
安藤 宏
2単位
火・5

 昨年度に引き続き、「自我」「自然」「写実」「言文一致」など、日本の近代文学を支配した理念を時間ごとに取り上げ、問題点を明らかにしていく。適宜、基本事項を含めた解説を織り込んで行く予定。さらに文学作品を分析していく基本的な方法論を、具体的な作品を取り上げながら実践的に講じて行きたい。人数によっては、適宜、調査、発表形式も取り入れていく予定。適宜文庫本などのテキストを指定しながら、プリント資料を配布することとする。




日本近代文学の特質と課題)」【学・院共通】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
安藤 宏
2単位
火・5

夏学期「日本近代文学の特質と課題(3)」の継続。ただし冬学期からの履修も認める。




マニエリスム文学と現代【学・院共通】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
高山 宏
2単位
水・3

  マニエリスム(Mannerism)は現代のような価値拡散の苦しい世界での「絶望と確信」(G.R.ホッケ)の身振りとされるが、それを文学から見る。(1)マニエリスム研究史(精神史・観念史・文化史)概説と(2)「驚異」、「組合せ」、「逆説趣味」などマニエリスム的な感覚・テーマの一覧を、(3)ダンの恋愛詩からドストエフスキー『作家の日記』へ、チェンバーズの百科事典から漱石『夢十夜』へ、E.A.ポー『モルグ街の殺人』からカルヴィーノ『運命の交わる城』へ、常套ジャンルを無視して一つの反通俗的系譜を追う作業と巧く混ぜて喋る。




ビートとその流れ【学部】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
佐藤 良明
2単位
木・2

 アメリカの20世紀後半の文学作品を、ビート文学を起点にし、ビート的感性の広がりという見地から、毎回1編ずつ読んでいく。扱うテクストは、短編読み切りの場合も、長編の一部の場合もあるが、各回、10〜20ページの英文と格闘するする構えで参加してほしい。講師は、映画や音楽の変遷をからめた文明史的な話をすることになるが、各自、自由に、主体的にテクストと向かい合うことが肝心。扱う作品は、2週間先まで決めておくというやり方で、クラスの反応を見ながら進めよう。資料の指示や、参加者のディスカッションのための電子掲示板を設けて、インターラクティブに進めたいので、レポートだけで単位にしたい人には不向き。




ことばと芸術西と東【学・院共通】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
中島 由美
2単位
月・3

 言語芸術を言語の側から見てみようという試みです。まず、いろいろな言語ごとにどのような言語材料の活用が見られるのか、とくに歌謡における言語の活用と音楽との関係などについて観察します。取り上げる対象はさまざまなものになりますが、今回は日本の伝統芸能におけることばと音楽の関係、印欧諸語における場合との比較や、ことばとしては日本語と同系でありながら異なる様相を持つ沖縄の伝統音楽、またそれらを背景にした新しい歌謡の展開、外国語の影響の受容などを中心に見ていきます。なお、いろいろな分野で伝統芸能の継承とその新しい展開に挑戦しておられる方々をゲストにお招きする予定です。理論的枠組みに沿った内容ではなく、実際に作詞、もしくは作曲を実践してみて、音楽における言語の問題を考えていただければと思います。




東欧ユダヤ人の言語と文化【学・院共通】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
高尾 千津子
2単位
月・4

 東欧ユダヤ人の日常語であったイディッシュ語は、アシュケナジ系ユダヤ人の歴史や文化を知るうえで欠かせない言語である。イディッシュ語はドイツ語と多くの共通点を持つが、スラブ語、ヘブライ語などの語彙が混成した言語で、表記はヘブライ文字を用いる。授業ではアルファベットの習得から始めてイディッシュ語の基礎を学ぶ。また並行して東欧ユダヤ人の歴史と文化に関する講義も6回程度おこなう予定である。テキストは上田和夫著『エクスプレス・イディッシュ語』(白水社)を用いる。随時プリントを配布する。




サイエンスフィクション研究【学部】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
巽 孝之
2単位
木・5

 SFの種子が蒔かれたのは19世紀、SFというジャンルが産声をあげたのは20世紀。その想像力は当初、未来への夢とともに新しい文学の到来を告げたが、やがて核戦争による地球壊滅可能性という危機的な悪夢をも現実に招く。以後半世紀近く、大衆文学として出発したSF(science fiction)は、いまでは現代文学が広く共有するSF(speculative fiction)として命脈を保つ。講義では外宇宙から内宇宙へ、性差宇宙へ、電脳宇宙へと拡張してきたSF的想像力を読みなおし、21世紀のソフトパワーの可能性を考える。教科書としては巽編『日本SF論争史』(勁草書房)、参考文献は初日にリストを配布する。テーマに即した英語文献のプリントも毎週用意する。

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英米の児童文学【学部】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
安達 まみ
2単位
木・4

 英語圏の児童文学は19世紀イギリスに誕生したとされるが、本講義では時代をさらにさかのぼり、英語文学における子どものイメージの形成から現代の表象にいたるまで、イギリスを中心に検討していく。主要作家や作品を概観するのではなく、特徴的な子どものイメージを提示する作品やそれらの再話に焦点を当て、時代の思想や(おとなの)文学全般の脈絡のなかで分析する。英語圏の作品と影響関係にある北欧の児童文学にも言及する。講義は英語で行い、作品も原則として英語で読む。




文学と音楽)」【学部・多分野講義】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
小沼 純一
2単位
金・4

 文学と音楽と関係はさまざまに、そして密接にあります。ここではその概要についてお話ししながら、特に、文学において表象された音楽を中心に進めたいと考えています。

参考書などは特になし。随時挙げます。