[日時]7月6日(日)〜7月7日(月)
[場所]岐阜市
[日程]
7月6日(日)
[参考資料]
21世紀という時代は、世界的な広がりを持つ情報ネットワークに、世界の隅々から情報を発信し、あるいはアクセスすることが出来る時代であると同時に、開発という物理的な変化の波が地球上のあらゆる地点におよび、その中で、人権、貧困、福祉、ジェンダー、医療、エスニシティー、環境などの問題がますます重要になってくる時代であると思われます。開発という世界的現象に対して、個々人は何らかの対応を否応なしにしていくことになりますが、その開発という現象の普遍性のゆえに、他の諸個人と何らかの共同性を見いだし、あるいは創りだし、それを基盤にして運動や組織を創り上げていかざるを得ないことになるでしょう。実際、既にアジア・アフリカの多くの地域で、個人と国家(外部世界)の間のレベルに、社会のあり方を組み替えることを目指す様々な形態の運動や諸組織、共同体が生まれ、あるいは生みだされつつあるようです。
私がとりわけ注目したいのは、特定の空間を共有する人々が、切り離された個と個との関係を組み替え、緊密な関係を築き上げようとするローカルなレベルの動きです。それらの運動自体は、通常、極めて局地的な空間が舞台となっているために、必ずしも共通の展開を示しているわけではなく、またその核には、掘り起こされ、再生され、創造された「固有の」伝統をはじめとする独自の、場合によっては排他的な理念 がおかれていることもありえます。私が期待するのは、それらの多様性と複雑さの中に、実は21世紀の人類が共有することの可能な普遍的な共同原理というものが潜んでいるのではないかという点です。
こうした期待から、私は、「社会開発とイスラーム」グループで、アジア・アフリカ世界においてローカルな運動理念やローカルな共同原理によって生みだされ、維持され、あるいは崩壊していった運動体、共同体、即ち個性をもった社会というものを各地域・各時代について掘り起こし、ケーススタディーを重ね、それらを分類・比較するという作業をまず行ってみたいと思います。そして、それらの作業の中で、イスラームが果たしてきた正負両方の役割と意義を解明してみたいと考えています。(文責:水島 司)