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会話(ロールプレイ) ─奈良田─

3. 祝い ▶再生

1Aおめでとー ごいすよ。おめでとう ございますよ。
2まごか゜ー たんじょーしとーちゅー ことー きーとーどーで孫が 誕生したという ことを 聞いたので
3おいわいの しなー もって きとーどーか゜お祝いの 品を 持って 来たのだが
4うけとって くりょー。受け取って くれ。
5Bまー そりゃー わるい こんだ。まあ それは 悪い ことだ。
6Aいくにんめの まこ゜どーか[1]何人目の 孫か?
7Bそりゃー さんにんめの まこ゜で おとこの こどーよ。それは 三人目の 孫で 男の 子だよ。
8Aそりゃー まー めでたい ことだったなー。それは まあ めでたい ことだったなあ。
9Bよかったよ。 うれしー ことだったよ。良かったよ。 嬉しい ことだったよ。
10Aうらか゜ いでもー[2] ひこか゜ ふたり でて[3]私の 家でも 曾孫が 二人 できて
11まだー みっつばかどーで[4] うらか゜ えーさ[5] きてもまだ 三つくらいなので 私の 家に 来ても
12ひーじーにも[6] なんにも いーえーのーどーに[7]曾爺にも 何にも 言えないんだよ。
13Bほーかー。 (い) じゃ いま にさんねん たてば ゆーらに。そうか。 (い) じゃあ 今から 二三年 経てば 言うだろうよ。
14Aそーだよ。 そー すればそうだよ。 そう すれば
15うんと (かわい) かわいく なるどーか゜な。うんと (かわい) 可愛く なるんだがな。
16Bそーだよ。そうだよ。
17Aうん。うん。
18それじゃー おりゃー かえるでそれでは 私は 帰るから
19まこ゜の えーさも よろしく いって くりょー。孫の 家にも よろしく 言って くれ。
20Bはいよー。はいよ。
21(お) じゃー ま おごっそーだったよ[8](お) じゃあ まあ ご馳走だったよ。
22Aはい はい。はい はい。
23Bだいじに いかでよ[9]安全に 行ってくださいよ。
24Aはいよー。 はい はい。はいよ。 はい はい。
25Bまた こでー[10]また 来てください。
26Aはいよ。 また くるよ。はいよ。 また 来るよ。

[1] まこ゜どーか:逐語的には「まごだか」。

[2] うらか゜ い:「うら」はもとは1人称複数だが、1人称単数でも使われる。特にこの例のように「私の家」に当たる場合には「うら」が使われることが多い。「うらか゜い」で一語の可能性があるが、少し後に明瞭に「うらか゜ えー」と発話しているので、ここでも単語境界があるとみなした。

[3] でて:「でる」が「できる」の意味を表す。

[4] みっつばかどーで:「みっつ」と「ばか」の間に休止がある。

[5] えーさ:移動の着点を表す助詞「さ」は前接音が重音節(長音・撥音・二重母音)の場合にのみ使われる。

[6] ひーじー:話者自身のこと。

[7] いーえーのー:「~えーのー」は能力不可能(動作主体に能力がないことにより動作が不可能な場合)に使われやすい。

[8] おごっそーだった:「おごっそー」は「ごちそう」の意。ここでは物をもらった感謝の表現。

[9] いかでよ:「いかで」は目上に対して使える丁寧な命令形。待遇的には共通語の「行ってください」に相当するが「ください」にあたる話し手受益の要素は含んでいない。

[10] こでー:注9参照。