トップ > 日本語方言の情報 > 早川町のことば > 会話:奈良田 3. 祝い
1 | A | おめでとー ごいすよ。 | おめでとう ございますよ。 |
2 | まごか゜ー たんじょーしとーちゅー ことー きーとーどーで | 孫が 誕生したという ことを 聞いたので | |
3 | おいわいの しなー もって きとーどーか゜ | お祝いの 品を 持って 来たのだが | |
4 | うけとって くりょー。 | 受け取って くれ。 | |
5 | B | まー そりゃー わるい こんだ。 | まあ それは 悪い ことだ。 |
6 | A | いくにんめの まこ゜どーか[1]。 | 何人目の 孫か? |
7 | B | そりゃー さんにんめの まこ゜で おとこの こどーよ。 | それは 三人目の 孫で 男の 子だよ。 |
8 | A | そりゃー まー めでたい ことだったなー。 | それは まあ めでたい ことだったなあ。 |
9 | B | よかったよ。 うれしー ことだったよ。 | 良かったよ。 嬉しい ことだったよ。 |
10 | A | うらか゜ いでもー[2] ひこか゜ ふたり でて[3] | 私の 家でも 曾孫が 二人 できて |
11 | まだー みっつばかどーで[4] うらか゜ えーさ[5] きても | まだ 三つくらいなので 私の 家に 来ても | |
12 | ひーじーにも[6] なんにも いーえーのーどーに[7]。 | 曾爺にも 何にも 言えないんだよ。 | |
13 | B | ほーかー。 (い) じゃ いま にさんねん たてば ゆーらに。 | そうか。 (い) じゃあ 今から 二三年 経てば 言うだろうよ。 |
14 | A | そーだよ。 そー すれば | そうだよ。 そう すれば |
15 | うんと (かわい) かわいく なるどーか゜な。 | うんと (かわい) 可愛く なるんだがな。 | |
16 | B | そーだよ。 | そうだよ。 |
17 | A | うん。 | うん。 |
18 | それじゃー おりゃー かえるで | それでは 私は 帰るから | |
19 | まこ゜の えーさも よろしく いって くりょー。 | 孫の 家にも よろしく 言って くれ。 | |
20 | B | はいよー。 | はいよ。 |
21 | (お) じゃー ま おごっそーだったよ[8]。 | (お) じゃあ まあ ご馳走だったよ。 | |
22 | A | はい はい。 | はい はい。 |
23 | B | だいじに いかでよ[9]。 | 安全に 行ってくださいよ。 |
24 | A | はいよー。 はい はい。 | はいよ。 はい はい。 |
25 | B | また こでー[10]。 | また 来てください。 |
26 | A | はいよ。 また くるよ。 | はいよ。 また 来るよ。 |
[1] まこ゜どーか:逐語的には「まごだか」。
[2] うらか゜ い:「うら」はもとは1人称複数だが、1人称単数でも使われる。特にこの例のように「私の家」に当たる場合には「うら」が使われることが多い。「うらか゜い」で一語の可能性があるが、少し後に明瞭に「うらか゜ えー」と発話しているので、ここでも単語境界があるとみなした。
[3] でて:「でる」が「できる」の意味を表す。
[4] みっつばかどーで:「みっつ」と「ばか」の間に休止がある。
[5] えーさ:移動の着点を表す助詞「さ」は前接音が重音節(長音・撥音・二重母音)の場合にのみ使われる。
[6] ひーじー:話者自身のこと。
[7] いーえーのー:「~えーのー」は能力不可能(動作主体に能力がないことにより動作が不可能な場合)に使われやすい。
[8] おごっそーだった:「おごっそー」は「ごちそう」の意。ここでは物をもらった感謝の表現。
[9] いかでよ:「いかで」は目上に対して使える丁寧な命令形。待遇的には共通語の「行ってください」に相当するが「ください」にあたる話し手受益の要素は含んでいない。
[10] こでー:注9参照。