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会話(ロールプレイ) ─奈良田─

1. 勧誘 ▶再生

1Aひさしぶりだなー。久しぶりだなあ。
2おりゃー おいしに たのみか゜ あって きとーどーか゜私は あなたに 頼みが あって 来たのだが
3こんどの にちよーびに今度の 日曜日に
4しらかばかいの[1] ぼんおどりたいかいか゜ あるどーで白樺会の 盆おどり大会が あるので
5しゅっせきして くりょー[2]出席して くれ。
6Bまー よーか゜ あるどーで かんか゜いて みるよ。まあ 用が あるので 考えて みるよ。
7Aおいしゃー ならだの おいわけおも[3] じょーぞに うとーよーどーであなたは 奈良田の 追分も 上手に 歌うようだから
8ぜひ かんか゜いてぜひ 考えて
9しゅっせきして うけたいもんだ[4]出席して もらいたいものだ。
10Bおー じゃー そー うまかー ないどーがおお じゃあ そう 上手くは ないけど
11そー やれとーじゃー[5]そう 言われたなら
12しゅっせきして みるよ。出席してみるよ
13Aそいじゃー あのー かいひの ことーも[6] そーだん(せな) しでーちゃーどーか゜[7]それじゃ あの 会費の ことも 相談(せな) しなくてはならないが
14どんくらいに したら よいと おもーよ[8]どのぐらいに したら いいと 思う?
15Bおりゃー さんぜんえんく゜らいで よいと おもーだい。私は 三千円ぐらいで よいと 思うよ。
16Aほんじゃー さんぜんえんちゅ ことに きめざー。それでは 三千円という ことに 決めよう。
17おつりの ないよーに もって くるよーに みんなにも つたえて くりょー。おつりの ないように 持って くるように みんなにも 伝えて くれ。
18Bはいよ。 わかったよ。はいよ。 分かったよ。
19A(や)(や)
20は んじゃ おりゃ かえるよ。はい じゃあ 私は 帰るよ。
21Bはいよ。 じゃ きお つけて いかでよ[9]はいよ。 じゃあ 気を 付けて 行きなさいよ。
22Aはい はい。はい はい。

[1] しらかばかい(白樺会):集落の文化振興会

[2] くりょー:「くれる」の命令形

[3] おいわけおも:「おいわけ」(追分)は民謡の一つ。「おいわけおも」は逐語的には「追分をも」にあたる。

[4] うけたい:奈良田方言では共通語の「もらう」にあたる動詞として「うける」が使われる。

[5] やれとーじゃー:「言われる」の「いわ」/iwa/ が縮約して「や」/ja/ になっている。

[6] ことーも:逐語的には「ことをも」

[7] そーだん(せな) しでーちゃーどーか゜:「そうだんせな」といったん言ってから「しでーちゃーどーか゜」と言い直している。「しでーちゃーどーか゜」は逐語的には「しなくてはだが」。

[8] おもーよ:逐語的には「思うよ」

[9] いかでよ:「いかで」は目上に対して使える丁寧な命令形。待遇的には共通語の「行ってください」に相当するが「ください」にあたる話し手受益の要素は含んでいない。