トップ > 日本語方言の情報 > 早川町のことば > 会話:奈良田 1. 勧誘
1 | A | ひさしぶりだなー。 | 久しぶりだなあ。 |
2 | おりゃー おいしに たのみか゜ あって きとーどーか゜ | 私は あなたに 頼みが あって 来たのだが | |
3 | こんどの にちよーびに | 今度の 日曜日に | |
4 | しらかばかいの[1] ぼんおどりたいかいか゜ あるどーで | 白樺会の 盆おどり大会が あるので | |
5 | しゅっせきして くりょー[2]。 | 出席して くれ。 | |
6 | B | まー よーか゜ あるどーで かんか゜いて みるよ。 | まあ 用が あるので 考えて みるよ。 |
7 | A | おいしゃー ならだの おいわけおも[3] じょーぞに うとーよーどーで | あなたは 奈良田の 追分も 上手に 歌うようだから |
8 | ぜひ かんか゜いて | ぜひ 考えて | |
9 | しゅっせきして うけたいもんだ[4]。 | 出席して もらいたいものだ。 | |
10 | B | おー じゃー そー うまかー ないどーが | おお じゃあ そう 上手くは ないけど |
11 | そー やれとーじゃー[5] | そう 言われたなら | |
12 | しゅっせきして みるよ。 | 出席してみるよ | |
13 | A | そいじゃー あのー かいひの ことーも[6] そーだん(せな) しでーちゃーどーか゜[7] | それじゃ あの 会費の ことも 相談(せな) しなくてはならないが |
14 | どんくらいに したら よいと おもーよ[8]。 | どのぐらいに したら いいと 思う? | |
15 | B | おりゃー さんぜんえんく゜らいで よいと おもーだい。 | 私は 三千円ぐらいで よいと 思うよ。 |
16 | A | ほんじゃー さんぜんえんちゅ ことに きめざー。 | それでは 三千円という ことに 決めよう。 |
17 | おつりの ないよーに もって くるよーに みんなにも つたえて くりょー。 | おつりの ないように 持って くるように みんなにも 伝えて くれ。 | |
18 | B | はいよ。 わかったよ。 | はいよ。 分かったよ。 |
19 | A | (や) | (や) |
20 | は んじゃ おりゃ かえるよ。 | はい じゃあ 私は 帰るよ。 | |
21 | B | はいよ。 じゃ きお つけて いかでよ[9]。 | はいよ。 じゃあ 気を 付けて 行きなさいよ。 |
22 | A | はい はい。 | はい はい。 |
[1] しらかばかい(白樺会):集落の文化振興会
[2] くりょー:「くれる」の命令形
[3] おいわけおも:「おいわけ」(追分)は民謡の一つ。「おいわけおも」は逐語的には「追分をも」にあたる。
[4] うけたい:奈良田方言では共通語の「もらう」にあたる動詞として「うける」が使われる。
[5] やれとーじゃー:「言われる」の「いわ」/iwa/ が縮約して「や」/ja/ になっている。
[6] ことーも:逐語的には「ことをも」
[7] そーだん(せな) しでーちゃーどーか゜:「そうだんせな」といったん言ってから「しでーちゃーどーか゜」と言い直している。「しでーちゃーどーか゜」は逐語的には「しなくてはだが」。
[8] おもーよ:逐語的には「思うよ」
[9] いかでよ:「いかで」は目上に対して使える丁寧な命令形。待遇的には共通語の「行ってください」に相当するが「ください」にあたる話し手受益の要素は含んでいない。