トップ > 日本語方言の情報 > 早川町のことば > 会話:茂倉 3. 祝い
1 | A | はい。 としこさーん。 | はい。 としこさーん。 |
2 | B | うん。 | うん。 |
3 | はーい。 | はーい。 | |
4 | A | いるー。 | いるー? |
5 | B | あー いるよ。 | あー いるよ。 |
6 | A | めしょー くっとかー。 | めしを 食ったか? |
7 | B | あー ままー くったぞー。 | あー めしを 食ったよ。 |
8 | A | ほーかー。 | そうかー。 |
9 | B | うん。 | うん。 |
10 | A | まこ゜ん でとーちゅーじゃん[1]。 | 孫が できたというじゃない。 |
11 | おめでとー。 | おめでとー。 | |
12 | B | うん。 ありか゜とー。 ありか゜とな。 | うん。 ありがとう。 ありがとうな。 |
13 | A | (お) | (お) |
14 | おとこか おんなかー。 | おとこか おんなか? | |
15 | B | うーん。 | うーん。 |
16 | A | (笑) | (笑) |
17 | B | (おんな) おんなのよーな ことー ゆー。 まー どっちでも げんきで ありゃー いーえね。 | (おんな) おんなのような ことを 言う。 まあ どっちでも 元気で あれば いいよね。 |
18 | A | うん。 そー そー そ。 なんでも いーわ。 げんきで あればー。 な。 うん。 (ほ) | うん。 そう そう そう。 なんでも いいわ。 元気で あれば。 な。 うん。 (ほ) |
19 | B | うん。 | うん。 |
20 | はい はい。 | はい はい。 | |
21 | ねー ひとの まーからじゃーねー[2]。 | ねー 人の 前からではね。 | |
22 | A | (つ) うん。 | (つ) うん。 |
23 | B | しこーの[3] ことー いえのーいえね。 | 自分勝手な ことを 言えないよね。 |
24 | A | ん。 いえのーでな。 | うん。 言えないからね。 |
25 | B | うん。 | うん。 |
26 | うん。 | うん。 | |
27 | A | うん。 ありか゜と ありか゜と。 うん いや (でん) どっちも げんきじゃーね。 うん。 | うん。 ありがとう ありがとう。 うん いや (でん) どっちも 元気ならね。 うん。 |
28 | B | うん。 | うん。 |
29 | うん。 | うん。 | |
30 | そー そー。 どっちも げんきなよーだわ。 うん。 | そう そう。 どっちも 元気なようだわ。 うん。 | |
31 | A | うん。 | うん。 |
32 | B | よかった よかった。 ん。 | よかった よかった。 うん。 |
33 | A | (あ) あんきしで。 | (あ) 安心しなさい。 |
34 | B | ほーい。 | ほーい。 |
35 | A | な。 | ね。 |
36 | B | ほい。 あんきしゅざわ[4]。 | ほい。 安心するわ。 |
37 | ふたつに なりゃー[5] これで もー あんきだでね。 へー。 | ふたつに なれば これで もう 安心だからね。 はい。 | |
38 | A | うん。 あんきだでな。 うん。 そー そー そー。 | うん。 安心だからな。 うん。 そう そう そう。 |
39 | これ すこしばかりだけん おしめでも かって | これ すこしばかりだけど おしめでも 買って | |
40 | やって[6]。 | やって。 | |
41 | B | いや わりーな。 そんなに えらい あのー | いや 悪いな。 そんなに ずいぶんと あのー |
42 | A | いや いや。 | いや いや。 |
43 | B | しんぺーさせちゃうじゃ[7] わりーわ。 | 心配させてしまうのでは 悪いわ。 |
44 | A | しんぺーするほどの[8] ぜにじゃ ねーわ。 ちっとだわ。 (笑) | 気を遣う程の お金じゃ ないわ。 ちょっとだわ。 (笑) |
45 | B | ばか あのしゅあ[9] あんきらこんきら してーてなー。 | ばか あの人たちは のんきに していてね。 |
46 | いつ くるとかも わからなー[10]。 | いつ 来るとかも 分からない。 | |
47 | いま ちっと でかく ならにゃ このーと おもーどー。 わりーな。 | もう 少し 大きく ならなければ 来ないと 思うんだ。 悪いね。 | |
48 | A | うん。 ほーで いーじゃん。 そん ときで。 | うん。 それで いーじゃない。 その 時で。 |
49 | あるく とき くらー[11]。 | 歩く 時 来るわ。 | |
50 | B | いやー すまん すまん。 | いやー すまん すまん。 |
51 | A | (笑) な。 うん。 | (笑) な。 うん。 |
52 | B | それじゃー まー たいへんだけど (その) その いとに[12] きたらなー | それじゃあ まあ 大変だけど (その) その うちに 来たらな |
53 | A | うん。 | うん。 |
54 | B | (あん) | (あん) |
55 | みて くりょー。 かおでも みて くりょー。 | 見て くれ。 顔でも 見て くれ。 | |
56 | A | (かお) かおー みせてね。 うん。 | (顔) 顔を 見せてね。 うん。 |
57 | B | ありか゜と ありか゜と。 うん。 | ありがとう ありがとう。 うん。 |
58 | A | ありか゜と。 ん。 | ありがとう。 うん。 |
59 | うん。 | うん。 | |
60 | B | この やまん なかに いるとなー | この 山の 中に いるとな |
61 | だれか こえお かけて くれるわ うれしーもんだね。 | 誰かが 声を かけて くれるのは 嬉しいものだね。 | |
62 | A | (へ) そー。 それが いちばんだ。 | (へ) そう。 それが 一番だ。 |
63 | B | うん。 | うん。 |
64 | A | うん うん。 ありか゜と。 | うん うん。 ありがとう。 |
65 | B | ありか゜と。 ありか゜とな。 | ありがとう。 ありがとうな。 |
66 | A | うん うん。 | うん うん。 |
67 | B | じゃ ごちそーさまでした。 | じゃあ ご馳走様でした。 |
68 | A | いや いや いや。 (ほん) ほんの すこ゜しだぞ[13]。 | いや いや いや。 (ほん) ほんの 少しだぞ。 |
69 | B | いーえ。 ありか゜と。 | いいえ。 ありがとう。 |
70 | A | うん。 | うん。 |
71 | B | すいません。 | すいません。 |
72 | ありか゜とー。 | ありがとう。 | |
73 | A | ほんじゃーな。 | それじゃあな。 |
74 | B | はい。 ありか゜とな。 | はい。 ありがとうな。 |
75 | われも[14] からだー きお つけろ。 | お前も 体[を] 気を 付けろ。 | |
76 | A | うん。 ありか゜と。 | うん。 ありがとう。 |
77 | B | うん。 ありか゜と。 | うん。 ありがとう。 |
78 | A | どっちもな。 (笑) | どっちもな。 (笑) |
79 | B | はい。 はーい。 | はい。 はーい。 |
80 | A | (笑) | (笑) |
81 | ありか゜と。 | ありがとう。 |
[1] でとー:「できた」の意。「でる」de-ru の過去形。山梨西部方言において広く動詞 「でる」は「できる」の意で使われる。
[2] ひとの まーからじゃーねー:話者に確認したところ、「子のない人の前から見れば男女どちらがいいなどとは言いにくい」という趣旨。慣用的な表現で、この表現で相手にも通じるとのこと。
[3] しこー:『日本方言大辞典』では「変に気どること」という意として「しこうのことを言う子供だ」という南巨摩郡(石川緑泥『山梨県河内方言』より)の例をあげる。「自分勝手な」という意味は話者の教示による。
[4] あんきしゅざわ:あんきしゅざわ [aŋkiɕɯdzawa] と聞こえるが、話者によると「あんきしるざわ」と言っているとのこと。「しる」は su-ru (する)が一段動詞に近づいた形だと思われるが「ざわ」の文法的位置づけは不明。
[5] ふたつに なりゃー:子が生まれて母体と子の二つに分かれれば、の意。
[6] やって:前の発話は「買って。」と一度言い切ったように聞こえるが、その後に「やって」と加えて、全体で「買ってやって。」と言い直したようだ。
[7] しんぺーさせちゃうじゃ:意訳すると「気を遣わせてしまっては」。「しんぺー」はここでは「気を遣う」「世話をする」意だと思われる。 [ɕimpae̯] とも聞こえる。
[8] しんぺーするほど:ここでは「十分に配慮して世話をすると言えるほどの」ぐらいの意だと思われる。
[9] あのしゅ:子ども夫婦を指す。
[10] わからなー::動詞否定形「~なー」は山梨西部方言で広く用いられる(吉田雅子 2014 「山梨県甲府市方言」『全国方言文法辞典資料集(2)活用体系』)。
[11] あるく とき くらー:「赤ん坊が歩く頃になれば来るよ」の意。
[12] いと:『日本方言大辞典』によると「時間」「間」の意。
[13] すこ゜しだぞ:「こ゜」の後にわずかな間がある。「すこしだぞ」の言い誤りと思われる。
[14] 「わ」が「あ」に近く聞こえる。