トップ > 日本語方言の情報 > 早川町のことば > 会話:茂倉 2. 文句を言う
1 | A | もしもしー。 | もしもし。 |
2 | もしもしー。 | もしもし。 | |
3 | B | はい。 | はい。 |
4 | A | としこさん。 | としこさん? |
5 | B | はーい。 | はーい。 |
6 | A | あ したく でた[1]。 | あ したく できた? |
7 | B | まだだわ。 | まだだわ。 |
8 | A | あの (笑) | あの (笑) |
9 | B | うん。 | うん。 |
10 | A | あの ぼちぼちね XXX[2] ひとか゜ あつまりはじめたから | あの ぼちぼちね XXX 人が 集まり始めたから |
11 | B | うん。 | うん。 |
12 | A | ぼちぼち (し し) でて こない。 | ぼちぼち (し し) 出て 来ない? |
13 | B | おれ けさな | 私[は] 今朝ね |
14 | A | うん。 | うん。 |
15 | B | ちっと ねぼーしとーために いっさら[3] いまんころ[4] あさめしを (ままー) ままー くってるーいぇー。 | ちょっと 寝坊したために まったく 今頃 朝飯を (ままー) 飯を 食べているよ。 |
16 | A | じゃ まー おまえ[5] しょー あのー にき゜ってでも[6] (も) もって ほんで したくして。 | では まあ あなた 塩を あの 握ってでも (も) 持って それで 支度して。 |
17 | B | うん。 | うん。 |
18 | A | な。 うん。 (ち) | ね。 うん。 (ち) |
19 | B | ほんじゃ おれ にき゜って (め) | それでは 私は 握って (め) |
20 | A | くるまん なかで くっても いいじゃん。 うん。 | 車の 中で 食べても いいじゃない。 うん。 |
21 | B | にき゜って (い) うん うん。 にき゜って もって くるよ[7]。 ちょっと まってて くりょーよ[8]。 | 握って (い) うん うん。 握って 持って くるよ。 ちょっと 待ってて くれよ。 |
22 | A | うーん まってる まってる。 うん まだ ほら みんな あつまらないから しんぱいしなんで ゆっくり。 | うん 待ってる 待ってる。 うん まだ ほら 皆 集まらないから 心配しないで ゆっくり。 |
23 | B | うん うん。 | うん うん。 |
24 | わりーな。 わりーな。 いつも いつも。 | 悪いな。 悪いな。 いつも いつも。 | |
25 | うん。 | うん。 | |
26 | A | うん。 じかんわ あるからね。 | うん。 時間は あるからね。 |
27 | B | いつも いつも ごめんなさい。 | いつも いつも ごめんなさい。 |
28 | A | うん。 | うん。 |
29 | いーえ。 | いいえ。 | |
30 | B | わりー わりー。 | 悪い 悪い。 |
31 | A | うん。 ほんじゃーね。 おねか゜いしまーす。 | うん。 それじゃあね。 お願いします。 |
32 | B | まー じゃー あわてて おれも したくして くるよ。 | まあ では 慌てて 私も 支度して くるよ。 |
33 | A | うん。 はい。 | うん。 はい。 |
34 | B | まってて くりょーな。 | 待っていて くれよな。 |
35 | A | はーい。 まってます。 はい。 | はーい。 待ってます。 はい。 |
36 | B | うん わりー わりー。 すみません。 | うん 悪い 悪い。 すみません。 |
37 | はーい ごめんなさい。 | はい ごめんなさい。 |
[1] でた:「できた」の意。「でる」de-ru の過去形。山梨西部方言において広く動詞 「でる」は「できる」の意で使われる。
[2] XXX:「ぶっち」のように聞こえるが、話者自身も何と言ったか不明とのこと。
[3] いっさら:談話1の注1参照。ただしこの例では文法的否定形とも「だめだ」のような語彙的否定形式とも共起していない。話者によればここで「いっさら」を「まったく」のように使うことができるとのこと。
[4] いまんころ:語形成は「いま(今)+ん(属格)+ころ(頃)」だが一語化しているとみなす。
[5] おまえ:「おまえ」[omae] と聞こえるが、話者によればふつうは「おめー」[omeː] を使うとのこと。
[6] しょー あのー にき゜ってでも:「塩(むすび)を握ってでも」の意。
[7] もって くるよ:聞き手方向への移動に「くる」(来る)を用いるのは、共通語の「来る」にはない用法。
[8] くりょーよ:動詞「くれる」の命令形が「くりょー」という不規則な形になるのは山梨西部方言に広く見られる(『方言文法全国地図』266図)。