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アルマトゥ調査報告
清水由里子(中央大学)

 概要

  • 調査者:清水由里子(中央大学)
  • 日程:2011年9月9日(金)〜9月21日(水)
  • 用務地:カザフスタン(アルマトゥ市)
  • 用務:アルマトゥにおける資料調査

 報告

調査者は、2011年9月9日から21日にかけて、カザフスタン共和国アルマトゥ市を訪問し、資料調査をおこなった。

調査期間中は、おもにカザフスタン共和国国立中央図書館および、カザフスタン共和国教育科学省附属学術中央図書館において、文献史料の調査・収集にあたった。カザフスタン共和国国立中央図書館は、ロシア帝政期からソ連期、そして現在にいたるまでの史資料を幅広く所蔵しているカザフスタン随一の図書館であり、カザフスタン共和国教育科学省附属学術中央図書館は、ソ連時代の旧科学アカデミーが独立以後、教育科学省のもとに再編されたもので、専門書や新聞・雑誌等、貴重な学術資料が収蔵されている。これらの図書館は外国人にも開放されており、複写こそ制限がかかっているものの、閲覧は問題なくおこなえた。調査者は、これら二つの図書館に所蔵されている、『貧者の声』(Kembegerler Awazi)や雑誌『暁』(Tang)等、20世紀初頭にアルマトゥで刊行されたウイグル語の新聞・雑誌の調査にあたった。さらに、カザフスタン共和国教育科学省附属東洋学研究所ウイグル研究センターを訪問し、カザフスタンにおけるウイグル人研究者との意見交換・情報収集をおこなった。

そのほか、特筆すべき成果としては、アルマトゥにおいて1940年代の新疆で出版活動に従事していた人物と会う機会を得たことである。氏は新疆で生まれ、青年期は新疆で出版活動に従事し、中華人民共和国成立後はアルマトゥに移住し、同地では学術機関に所属し、ソ連時代のウイグル人の出版物の研究に従事していたという経歴をもつ。氏との会談のなかで、20世紀のウイグル人の出版活動に関するさまざまな情報を得ただけでなく、貴重な史料の提供も受けることができた。この場を借りて、篤く御礼申しあげたい。
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