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「中東・イスラーム諸国の民主化」研究会報告
松本弘(大東文化大学)

 概要

  • 日時:2015年3月3日(火)
  • 会場:東京大学東洋文化研究所大会議室
  • 報告者および題目:
    • 澤江史子(上智大学)「2014年大統領選にみるトルコ政治の揺らぎ」
    • 石黒大岳(JETROアジア経済研究所)
      「野党か反体制派か:クウェートとバーレーンにおける議会政治の展開と政治参加の曲折」

 報告

澤江氏の報告は、エルドアン大統領および与党AKPの功罪を整理し、いわば現在の閉塞状況とその打開の可能性を論じたものだった。軍部や司法の政治的影響力は減退し、経済と社会は発展を続ける一方で、軍部に代わって大統領がメディアによる批判を制限するなど、行き過ぎた権力が目立つようになった。現状とは違う民主化の成果を人々は求めているが、大統領とAKPへの支持率は依然として大きい。今年6月の総選挙において、共闘による野党の善戦も期待はできるが、大統領への権力集中は当面続くものと予想される。

石黒氏の報告は、2011年「アラブの春」以降にスンナ派とシーア派の対立が深刻化しているバハレーンと、2009年以降に議会解散と総選挙を4回も繰り返しているクウェートの政治情勢に関する分析であった。バハレーンの場合は、昨年11月の総選挙におけるシーア派系野党のボイコットと翌月のその党首逮捕により、クウェートの場合は2012年選挙法改正に反発する野党の総選挙ボイコットにより、出口の見えない政治的混乱が続いている状況が説明され、これに関するさまざまな政治社会問題が指摘された。
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