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国際ワークショップ 「分割統治の政治学―中東、東アジア、南アジア比較の視点から」
TIAS International Workshop "Politics of Partition from a Comparative Perspective"
役重善洋(京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程)

 概要

  • 日時:2014年2月3日(月)15:00〜18:15
  • 会場:東京大学本郷キャンパス 東洋文化研究所 3階大会議室
    • 主催:イスラーム地域研究東京大学拠点パレスチナ研究班

 プログラム

15:00-Session(1)
Prof.A.F.Mathew "Partitioned Boundaries: A Case of Subsumed history"
Associate Professor, Indian Institute of Management(IIM), India
Report (40min), Discussion (20min)

16:00-Session(2)
Yu SUZUKI "The Process of British East Asian policy making, 1880-1894"
Ph. D. Candidate, Department of International Relations, London School of Economics, UK
Report (40min), Discussion (20min)

17:00-17:15 Tea Break

17:15-Session(3)
Yoshihide TAKEDA "Significance of the city of Haifa-Rethinking British policy making on Palestine at the First World War -"
Ph,D. Candidate, Graduate School of Humanities and Social Sciences, > Chiba University, Japan
Report (40min), Discussion (20min)

 報告

マシュー氏は、1947年のインド・パキスタン分離独立以降のカシミールの歴史を概説され、「インド対パキスタン」という文脈で語られることが支配的言説となっているカシミール問題について、カシミールの人々を主体とする視点から見直す必要を提起された。インドとの間に交わされた政治的地位をめぐる住民投票実施の約束が反故にされるなど、印パ対立やヒンドゥー・ナショナリズムの興隆のなかで、この地域の住民の意思が無視されてきたことが指摘された。

鈴木氏は、20世紀末、日清戦争に至る時期におけるイギリスの東アジア政策を外交文書や最新の研究動向から得られた知見をもとに分析された。従来の研究では、この時期のイギリスは清よりも近代化により素早く適応した日本を重視したという見解が強かったのに対し、対ロシア戦略の観点から場合によっては清の宗主権を認めるケースもあったことを指摘するなど、グローバル戦略のなかでこれまで考えられていた以上に臨機応変の判断を行っていたことが示された。

武田氏は、第一次大戦後のオスマン帝国分割案を議論したド=ブンセン委員会の議事録を分析し、イギリスの「勢力圏」に含むべき地域としてハイファが重要視されるようになった過程を明らかにされた。そこでは、モースルの油田地帯とハイファ港とをパイプラインでつなぐ構想が決定的な意味を持っていた。イギリスの石油政策が中東分割に際してもった重要性を再確認する報告であった。
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