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張承志先生公開講演会報告
新免康(中央大学文学部) |
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概要
- 日時:2013年10月26日(土) 午前9:30〜12:00
- 場所:中央大学駿河台記念館 510号室
- 主催:中央大学政策文化総合研究所プロジェクト・チーム「中央ユーラシアと日本」
- 共催:中央大学人文科学研究所研究会チーム「イスラーム地域における聖地巡礼・参詣」
- 後援:NIHU「イスラーム地域研究」東京大学拠点、NIHU「現代中国地域研究」早稲田大学拠点、中国ムスリム研究会、日本中央アジア学会
- 講演者:張承志
- 演題:紅衛兵からパレスティナへ――中国・東アジア発、ムスリム作家の視線――
- 講演言語:日本語
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報告
私は、清華大学附属中学紅衛兵の最初のメンバーの一人であり、「紅衛兵」という語の作者でもある。四十数年が過ぎて、一人の作家として人生の黄昏に足を踏み入れた今日、一つの総括があってしかるべきだろう。
「パレスチナ」、これ以外に現在の世界に存在する一切の最も原則的な問題を概括できる言葉を見だせない。私は、『心霊史』の新版を特別な記念版として出版するに際し、扉ページにいくつかの誓約を記した。その中でもっとも重要なのが 「収益のすべてを貧困救済のために寄付する」という一句であり、念頭にはただパレスチナしかなかった。
今日のような不義が横行する天下無道の時代に、自らの畢生の作品によって得たわずかな金をパレスチナ難民の手に届けることには、象徴的ながら大きな意義がある。1966年の出発点から一歩々々成長してきた一人の人間として、一人のムスリムとして、また一人の作家として、私は自己の歴史を完成し、自己の生命の尊厳を守るための終点を見出した。すなわち、10万ドルをヨルダン領内のパレスチナ難民キャンプに届けた。この決行を通して、中国文学と中国ムスリムに向けて、進歩と昇華のアピールをやり遂げたのである。 |
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