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2013年度第1回パレスチナ研究班定例研究会
臼杵陽(日本女子大学)

 概要

  • 日時:2013年4月20日(土)13:00-18:00
  • 会場:東京大学本郷キャンパス・東洋文化研究所 3階大会議室
  • 報告
    1. 清水雅子(上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科博士課程)「紛争後の制度構築における国際社会と国内政治の力学:パレスチナ自治政府の制度改革と分裂をめぐる政治過程」
    2. 近藤重人(慶應義塾大学法学研究科政治学専攻博士課程)「サウディアラビアの石油政策とパレスチナ問題、1945年―1949年」

 報告

新進気鋭の若手研究者による研究報告2本であった。清水報告は現在のパレスチナ自治区における国家建設の問題に対して政治理論的アプローチを行ない、近藤報告は第二次世界大戦直後のサウジアラビアのパレスチナ問題への対応を石油問題との関係で論じたものであった。二つの報告はその研究対象の性格を反映して実に対照的な論じ方であった。前者は政治理論に傾き、後者は実証的研究への志向性が顕著であった。質疑応答もおのずから、清水報告では利用されている諸概念がパレスチナの現実の具体的事象にどのように対応しているのかが焦点となり、近藤報告ではより具体的な事実関係に質問が集中した。清水報告では欧米地域の分析で提唱された理論的枠組みが中東政治にどのように適用できるのかという抜本的問題を提起したわけであるし、近藤報告では大戦後のサウジ王家の政治における政策決定過程がいかに行われたかという未知の領域への研究の可能性を示唆したという意味で、実に楽しい「頭の体操」になったというのが率直な感想である。
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