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クンダクバエヴァ教授特別講演会報告
野田仁(早稲田大学 イスラーム地域研究機構)

 概要

  • 日時:2010年2月20日(土)15:00〜17:30
  • 会場:早稲田大学120号館1-201-1会議室
  • 講師:ジャナト・クンダクバエヴァ教授(カザフ国立大学/北海道大学スラブ研究センター外国人研究員)
  • 講演題目:「18世紀カスピ海北岸地域におけるロシアの政策:遊牧民を帝国に統合するための諸方策」 Politika Rossii v Severnom Prikaspii v XVIII v.: puti integratsii kochevykh narodov v sostav imperii(ロシア語)
  • 通訳:宇山智彦氏(北海道大学スラブ研究センター教授)
  • 共催:共同利用・共同研究拠点 イスラーム地域研究拠点・早稲田大学イスラーム地域研究機構および「科学研究費基盤B 近代化とグローバル化の文脈における比較帝国史」(研究代表者:宇山智彦 北海道大学スラブ研究センター教授)

 報告

北海道大学スラブ研究センターの招聘により短期滞在中のクンダクバエヴァ教授によるロシア語の講演が行われた。クンダクバエヴァ教授は18世紀のカスピ海北岸に焦点を当て、その地に遊牧するカザフやカルムイクらをロシアがどのように帝国の内へと取り込んでいったのかを、具体的な方法を整理しながら解説した。遊牧民の帝国への統合は長い時間を要したため多くの段階を踏んでいるが、教授によれば境界の設定から行政システムの統合に至るまでの4段階に整理できると言う。統合のために用いられた儀礼の象徴性や、実際に辺境の統治を担った官僚たちの役割にも言及があり、多角的にロシア帝国の拡大の過程を伝える講演となった。

日本に滞在中の外国人研究者たちの参加もあり、帝国側の論理と現地側の立場の違いなどについて活発な議論が展開された。
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