職名 助教
関連施設 次世代人文学開発センター

 専門は中世ヨーロッパ美術史で、特に金細工工芸作品を中心に研究を進めている。特に、中世ヨーロッパのキリスト教社会において非常に篤く崇敬された聖遺物(聖なる人物の遺体やその一部、あるいは持ち物など)を収める聖遺物容器について関心を持ち、それぞれの作品が、どのような影響のもとでどうやって制作されたのか、使用された技術やその様式にはどのような特徴があるのかを作品の詳細な観察と、仔細なディスクリプションに基づいて論じることを目指している。また宗教的な文脈はもちろんのこと、政治や外交などさまざまに異なる世俗的なコンテクストにおいても個々の作品がどのように用いられ、どういった機能や(象徴的な)意義を保持していたかについて考察を進めている。
 最近は比較宗教美術史の分野にも関心があり、中世ヨーロッパと日本の聖地・霊場を比較して、何が聖地を聖地たらしめるのかといったことや、聖地の魅力をコミュニティの内外に喧伝し勧進するために、どのような造形作品が制作され、使用されたのかという問いを出発点に、フィールドワークを行い、情報や史料の収集を進めている。主な調査場所は西欧ではサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路や仏・伊・独などの聖地、日本では熊野地方や羽黒地方などの霊場等である。