22  スラヴ語スラヴ文学

 教授 長谷見 一雄  HASEMI, Kazuo

1.略歴
 1973年 3月  東京大学文学部第3類ロシア語ロシア文学専修課程卒業(文学士)
 1976年 3月  東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専門課程修士課程修了
 1977年 5月  ワルシャワ大学ポーランド文学研究所研究生(~1979年5月)
 1979年 9月  東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専門課程博士課程中途退学
 1979年10月  東京大学文学部助手(ロシア語ロシア文学,西洋近代語近代文学)
 1981年 4月  山形大学教養部専任講師(露語)
 1982年 8月  山形大学教養部助教授(露語)
 1993年 4月  東京大学文学部助教授(ロシア語ロシア文学)
 1994年11月        同         教授(スラヴ語スラヴ文学)
 1995年 4月  東京大学大学院人文社会系研究科教授(スラヴ語スラヴ文学)

2.主な研究活動
 a 専門分野 と b 研究課題
   概要
    (1) 19世紀末から20世紀初頭にかけてのロシアおよびポーランドの文学を、その時代の文脈に即してとらえ直し、最終的には象徴主義小説(特に幻想文学)の詩学の構築を目指す。その基礎作業として、まず先行研究を調査研究するかたわら、当時刊行されていた数多い文芸雑誌を重視し、資料収集に努め、主にそこに掲載された単行本収録以前の初出作品、評論、時評、書評、挿絵、広告、さらには紙面のレイアウトなどのヴィジュアルな側面等をも検討し直す一方で、当時の読者文化、書物文化の諸相に関する文芸社会学的研究にも留意する。
 (2) また、当時の文学に大きな影響を与えた神話学的・民俗学的・宗教学的関心の実態にも目を向け、背景の理解に努める。
 (3) さらに、近代ロシア・ポーランドの文学作品に現れた語彙・語法の歴史的系統性と変化に注目し、19世紀のロシア語・ポーランド語に関する辞書・研究書などの基本文献の調査収集を行う。
 (4) その上で、19世紀ロシア語・ポーランド語の語彙・語法・比喩表現に関する基本的なデータベースを作成する。
 (5) それとは別に、紹介の遅れている現代ポーランド文学の優れた作品の翻訳・解説作業を進める。
 (6) その他、ポーランド語辞典編纂の準備作業として、ポーランドにおいて刊行されている現行辞書の調査収集を行う。
   自己評価
   ロシアおよびポーランドの文芸雑誌関係の研究活動は主に授業(大学院演習)で紹介したほか、日本比較文学会シンポジウムにおいて、日露戦争当時のロシアの文芸雑誌・絵葉書・ポスター等に見られる日本観について報告した。スラヴ神話学・民俗学・宗教学関係の研究活動としては、数年前に行った若手研究者、院生との「スラヴ神話研究会」での作業をもとに、基礎的研究文献の翻訳を完成させたが、まだ発表に至っていない。19世紀ロシア・ポーランド文学の作品に現れた語彙・語法・比喩表現の調査については、現在、ロシアについては約600件、ポーランドについては約300件のデータが調査済みである。ポーランド文学については、共訳による文学史の翻訳が刊行の予定である。その他、現行の特色あるポーランド語辞書の収集調査はかなり進捗した。
 c 主要業績
  (1) 著書
共訳、チェスワフ・ミウォシュ、「ポーランド文学史」、2006.5
共訳、飯島周・小原雅俊編、「ポケットの中の東欧文学」、2006.11



 教授 金澤 美知子  KANAZAWA, Michiko

1.略歴
 1974年 3月  東京大学教養学部教養学科卒業
 1977年 3月  東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(ロシア語ロシア文学)
 1981年 3月  東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学
 1981年 4月  東京大学文学部露語露文学研究室助手(~1989年3月)
 1989年 4月  放送大学教養学部助教授(~1994年3月)
 1994年 4月  東京大学文学部助教授(スラヴ語スラヴ文学)
 1995年 4月  東京大学大学院人文社会系研究科助教授(スラヴ語スラヴ文学)
 1996年 1月  東京大学大学院人文社会系研究科教授(スラヴ語スラヴ文学) 現在に至る
 2000年10月-2001年8月  ワルシャワ大学東洋研究所客員講師

2.主な研究活動
 a 専門分野 と b 研究課題
   概要と自己評価
    現在、主として次のような研究活動を行っている。
   (1) ドストエフスキー研究。作品の分析、他の作家との比較研究、現代における受容の研究など。
    第9回(オーストリア)、第10回国際ドストエフスキー学会(アメリカ合衆国)での研究発表を踏まえ、2000年8月、千葉大学に於いて開催された国際ドストエフスキー研究集会ではドストエフスキーと18世紀ロシア文学の関係について発表した。その成果は2002年にロシアで出版された論文集に収録された。その他国内のドストエフスキー研究会に於いても発表し、研究者と学問上の交流を図っている。
   (2) 19世紀初頭のロマン派に関する比較文学的な視点からの考察。
    これは(1)と共に私の研究の出発点であり、ライフワークでもある。研究の中心はロシア・ロマン派だが、それと関係の深い18世紀末から19世紀初めのヨーロッパの他地域の文学にも注目し、影響関係やテーマの変遷などを考察している。またロマン主義文学はドストエフスキーの初期の文学活動とも密接に関わっており、前述のドストエフスキー学会、研究会に於いても度々取り上げた。
   (3) 18世紀ロシア文学・文化の研究。
    先行研究の少ない領域であり、文献の面での困難もあるが、多方面から助力を得て着実に成果はあがりつつある。この数年、主に次のような形で作業を進めてきた。ひとつは18世紀ロシア小説の翻訳紹介であり、『可愛い料理女』(彩流社、1999年度木村彰一賞受賞)出版に続き、Н. П. ミローノフ『哀れなマリヤのお話』、А. Е. イズマイロフ『哀れなマーシャ』を訳出した。第二に、研究会等の場で学生との共同作業により18世紀文化について様々な角度から調査、考察し、その成果を研究誌「ロシア18世紀論集」2号(2002年、創刊号は1999年)および3号(2006年)に発表した。この論集は18世紀ロシア研究の広報的な役割を果たすことができたと考える。第三は、文部省科研助成金による研究「18世紀ロシアの文化的コンテクストに見る小説文学の成立と発展」(平成12年度~14年度)の実施である。これは小説作品を文化的コンテクストの中で読み解くと同時に、小説文学というジャンルの発展を通して18世紀ロシア文化の特質にアプローチしようとする新しい試みであった。14年度は纏めの年であり、研究成果報告書を発行した。さらに第四の作業として、2003年7月に日本18世紀ロシア研究会を設立し、その運営に当たっている。これは、日本における18世紀ロシア研究の発展のために、言語、文学、歴史など異なった領域を専門とする18世紀ロシア研究者が情報交換と研究協力を行うことを目的としたものである。なお、2007年7月には国際18世紀学会第12回大会で発表し、学術上の交流を行った。
   (4) 近代ロシア文学とその背景としての文化史。
    上記補助金による18世紀ロシア研究はほぼ当初の目的を達成した。その一方で、文学を作家だけでなく、読者=パトロンとの関わりの中で考察することが文化的コンテクストを理解する上での重要な課題として浮かび上がり、この点を明らかにするために新たな作業が必要になった。このような事情のもとに、上記の課題を発展させる形で、2003-2005年度は研究課題「近代ロシア文学の誕生とパトロンたちの文化史」の研究に従事した。本研究は18世紀半ばから19世紀初めに於けるロシア近代文学成立の事情を、文学テクスト、作家、読者=パトロンの関係の中に探り、またそれら三者の関係のダイナミックな力学を通してロシア近代文化の特質を明らかにしようとするものである。さらに2007年度には新しい課題「手紙」の文化に見る近代ロシア文学の成立過程に着手した。
   (5) 19世紀末のロシア小説の研究。
    ロシア19世紀の伝統的文学とモダニズムの接点としての作家アンドレーエフに注目し、その創作技法を考察し、論文を発表した。アンドレーエフとの関係で、ガルシン、チェーホフ等の調査も行っている。
    なお、ロシアに限らず、ヨーロッパの文化全般を視野に入れて17~19世紀の文学を論じる機会が増えており、上に列記した諸作業も常に広い研究視野の中で行ってきた。研究の成果は、授業に於いても生かされている。
 c 主要業績
  (1) 論文
「久保英雄『歴史の中のロシア文学』」、学術論文誌、『ロシア語ロシア文学研究』No.38、2006
「フョードル・エミンとロシア最初の書簡体小説」、『ロシア18世紀論集』№3、2006
  (2) 監修
「「ロシア18世紀論集」 No.3」2006
  (3) 学会発表
「18th-Century Russia in Japanese Scholarship」、国際18世紀学会 XIIe Congres international des Lumieres 、Montpellier、2007.7.10
「フョードル・エミンとその文学」、日本18世紀ロシア研究会、2008.9.21
  (4) 研究報告書
「科研研究成果報告書「近代ロシア文学の誕生とパトロンたちの文化史」」、2007.6

3.主な社会活動
  (1) 行政
法務省、司法試験委員会、司法試験委員会委員、2007.5~
学位授与機構委員、2005.4~
  (2) 学会
「日本ロシア文学会」、役員・委員、理事、2007.7~
「日本18世紀学会」、役員・委員、幹事、2005.6~



 教授 沼野 充義  NUMANO, Mitsuyoshi

1.略歴
 1977年 3月  東京大学教養学部教養学科卒業
 1977年 4月  東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専攻修士課程入学
 1979年 4月  東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専攻博士課程進学
 1981年 9月  ハーヴァード大学大学院スラヴ語スラヴ文学専攻博士課程入学(フルブライト奨学生として渡米)
 1984年 2月  ハーヴァード大学教授助手(1985年6月まで)
 1984年 3月  ハーヴァード大学修士号(M.A)取得
 1985年 3月  東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専攻博士課程単位取得満期退学
 1985年 6月  ハーヴァード大学大学院スラヴ語スラヴ文学専攻博士課程単位取得・博士論文提出資格取得
 1985年 8月  東京大学教養学部専任講師(ロシア語教室)
 1987年 9月~1988年 9月  ワルシャワ大学東洋学研究所客員講師(日本語日本文学)
 1989年 1月  東京大学教養学部助教授(ロシア語・表象文化論)
 1994年 4月  東京大学文学部助教授(スラヴ語スラヴ文学)、現在に至る
 2000年 5月~11月  ロシア国立人文大学(モスクワ)において共同研究(国際交流基金フェローとして)
 2002年10月~11月  ロシア国立大学アジア・アフリカ研究所において客員講師
 2002年11月  第24回サントリー学芸賞受賞(著書『徹夜の塊 亡命文学論』に対して)
 2004年2月  第55回読売文学賞受賞(評論・伝記部門、著書『ユートピア文学論』に対して)
 2004年4月  東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授、現在に至る

2.主な研究活動
 a 専門分野 と b 研究課題
   概要と自己評価
   興味と活動は近・現代文学全般にわたり、現代日本文学の批評・時評などにも携わっているが、本来の専門領域はあくまでもロシア文学およびポーランド文学(主として19~20世紀)である。日本とアメリカの優れた先達に学んだ厳密な文献学としてのスラヴ・フィロロジーを日本に根付かせ、発展させることに少しでも貢献したいと考えているが、昨今の風潮の中ではこれはなかなか厳しい戦いである。それと同時に、「世界文学」の視点からできるだけ幅広く現代文学を(日本文学の特殊性と普遍性も視野に入れて)とらえるように努めている。一国一言語の枠内に収まらないような、亡命・越境・二言語併用などの問題に特に関心がある。
  「横断的」な知のネットワークを広げるための活動の一環として、大学院の多分野交流演習プロジェクトに主査・座長として携わってきたほか、西洋近代語近代文学専修課程においても、複数の教員の参加によるリレー形式の授業を組織するなど、既成の研究室の枠組みを越えるような研究・教育のありかたを模索している。また2004年からは日本学術振興会の企画委員として人文・社会科学プロジェクト研究領域Ⅴ「現代社会における言語・芸術・芸能表現の意義と可能性について研究する領域」立ち上げに関わり、現在この研究領域内のプロジェクト研究「伝統と越境 ―とどまる力と越え行く流れのインタラクション」のリーダーを務めている。
   ロシア東欧の専門分野における主要な関心の一つは、ソ連崩壊・東欧革命後の状況を文化史的にとらえることであり、その作業を通じて、因習的なロシア文学史の枠組みを変え、また文化の境界を見直す必要があることを主張してきた。また文学における「詩的」なものの理論化を考えており、小説研究にこれまで偏ってきたため未発達な日本におけるロシア詩理解の基礎を固めるべく努めている。さらに、文学研究・教育における理論の重要性と意味を本格的に考え直すための試みとして、『岩波講座 文学』全13巻別巻1の編集に携わり、最終巻『文学理論』の序文を執筆した。
   ロシア東欧と日本の文化・文学交流にも関心があり、日本文学におけるロシア人のイメージ・ロシア文学における日本人のイメージを双方向から対照研究することも課題の一つとしている。様々なタイプの日本人が登場するロシア文学作品のアンソロジーや、ロシアにおける日本文化受容史に関する論集などの編纂の計画もあたためている。
   ただし、国際シンポジウムや学会の組織、また外国人研究者・文学者の特別講義の企画・実施などに精力を注ぐ一方で、平素のコース・ワークとしての授業の内容を充実させ、卒業論文・修士論文・博士論文の指導の責務を果たすことも、決しておろそかにはしていないつもりではあるが、授業のために新しい素材や技術を取り入れたり、自分のまとまった研究や著作のために机に向かったりする時間がなかなか十分に取れないのが実情である。特に最近では、文学部言語文化学科の広報のため駒場で積極的に授業を行う必要があり、シニア・大学院生だけでなく、ジュニアも視野に入れた教育活動にかなりの時間とエネルギーを注いでいるため、研究活動のある程度の遅延はしかたないものと覚悟している。
   2004年から2005年にかけての著作活動では、過去十年程度にわたって様々な機会に書いてきた論文・エッセイなどの集大成の3部作の完結編にあたる『徹夜の塊 世界文学論』が(原稿の大部分ははるか以前から準備ができているにもかかわらず)多忙のため出版にこぎつけられなかったのが悔やまれる。翻訳の分野では、長年携わってきたポーランドの作家レムの新しい著作集の刊行の携わっており、こちらは(かなり遅れながらではあれ)順調に刊行が続いている。
   今後の著作活動としては、まずできるだけ早く(2006年度中には)『徹夜の塊 世界文学論』を刊行して、過去10年間の仕事の一応の区切りとしたうえで、その後は心機一転、新たな試みとして、ロシア詩学概説書(教科書的なもの+訳詩アンソロジー)と日本文学におけるロシア人のイメージ・ロシア文学における日本人のイメージを双方向から対照するという共同研究の成果を近い将来に刊行できるよう努力したい。また現代世界文学研究の入門書・啓蒙書を構想中である。
 c 研究業績
 (1) 著書
共著、沼野恭子、「世界の食文化⑲ ロシア」、農文協、2006.3
共訳書、英語および一部ポーランド語からの翻訳、チェスワフ・ミウォシュ著、関口時正、沼野充義他訳、「ポーランド文学史」、未知谷、2006.5
共編書、柴田元幸・沼野充義・藤井肖三・四方田犬彦(共編者)、「世界は村上春樹をどう読むか」、文藝春秋、2006.10
共著、「岩波書店編集部編 翻訳家の仕事」、岩波書店、2006.12
共著、沼野充義他、「21世紀ドストエフスキーがやってくる」、集英社、2007.6
共著、東京大学編、沼野充義他著、「学問の扉―東京大学は挑戦する」、講談社、2007.7
編著、ドストエフスキー、「鰐 ドストエフスキー ユーモア小説集」、講談社、2007.11
 (2) 論文
「レムとソルジェニーツィン――二人の現代作家に見るロシア東欧の「ユダヤ人問題」」、ユダヤ人のアイデンティティ問題から見た近代国民国家の理念と現実、127-141頁、2006.3
「Is There Such a Thing as Central (Eastern) European Literature? An Attempt to Reconsider 'Central European ' Consicousness on the Basis of Contemporary Literature」、Regions in Central and Eastern Europe、21 Century COE Program, Slavic Eurasian Studies, No.15、pp121-136、2007
「さまざまな声のカーニバル―ドストエフスキー研究と批評の流れを瞥見する」、すばる、2007年4月号、227-231頁、2007.4
「宇宙旅行の詩学―ソ連SFと政治イデオロギー」、文学、隔月刊8-4 (2007年7,8月号)、64-79頁、2007.7
「魂の生成とユートピア探索の場としての小説―『未成年』覚書」、ユリイカ、39-13 (2007年11月号)、118-125頁、2007.11
 (3) 教科書
「放送大学教材 世界の名作を読む」、池内紀、大石和欣、工藤庸子、柴田元幸、日本放送出版協会、2007
 (4) 書評
「松浦寿輝『方法叙説』」、2006.2、一般雑誌、『新潮』2006年5月号、2006.5
「小野正嗣『森のはずれで』」、文藝春秋、2006.6、一般雑誌、『新潮』2006年9月号、2006.9
「多和田葉子『海に落とした名前』」、新潮社、2006、一般雑誌、『新潮』2007年2月号、2007
「多和田葉子『アメリカ 非道の大陸』」、青土社、2006.11、『毎日新聞』2007.1
「ヴィクトル・ぺレーヴィン(中村唯史訳)『恐怖の兜』」、角川書店、2006.12、その他、『毎日新聞』2007.2
「青山七恵・綿矢りさ『ひとり日和・夢を与える』」、河出書房新社(どちらも)、2007.2、『毎日新聞』2007.3
「米原万里『発明マニア』」、毎日新聞社、2007.3、その他、『毎日新聞』2007.4
「ダニロ・キシュ(奥彩子訳)『砂時計』」、松籟社、2007.3、その他、『毎日新聞』2007.5
「富岡多恵子『湖の南』」、新潮社、2007.4、一般雑誌、『群像』62-6 (2007年6月号)、394-395頁、2007.6
「平井正『オリエント急行の時代 ヨーロッパの夢の軌跡』」、中央公論新社、2007.4、一般雑誌、『論座』2007年6月号、2007.6
「野崎歓『われわれはみな外国人である -翻訳文学という日本文学』」、五柳書院、2007.5、『毎日新聞』2007.6
「ドストエフスキー(亀山郁夫訳)『カラマーゾフの兄弟(全4巻+エピローグ別巻)』」、光文社、2007.7、『毎日新聞』2007.7
「松浦寿輝『川の光』」、中央公論新社、2007.7、その他、『毎日新聞』2007.8
「エドワード・ラジンスキー『アレクサンドルⅡ世暗殺(上・下)』」、NHK出版、2007.8、『毎日新聞』2007.9
「レイ・ブラッドベリ(川本三郎訳)『緑の影、白い鯨』」、筑摩書房、2007.10、『毎日新聞』2007.11
「ジャック・ケルアック(青山南訳)『オン・ザ・ロード』」、河出書房新社、2007.10、『毎日新聞』2007.12
 (5) 解説
「高村薫『照柿』下」、講談社文庫、頁321-329、2006.8
「ドイツ・ロシアの大いなる幻想の沃野へ」、単行本、「エーヴェルス他『怪奇小説傑作集5 ドイツ・ロシア編』」、東京創元社、頁433-444、2006.8
「中欧の文化とチェコ的精神」、雑誌『季刊アートマガジン AVANTGARDE』Vol. 1 (創刊号)、頁81-83、2006.10
「「失われなかったロシア」を求めて」、単行本「ボリス・アクーニン『アキレス将軍殺人事件』沼野恭子・毛利公美訳」、岩波書店、頁427-431、2007.2
「ロシア芸術の奇跡―19世紀のリアリズムとその<広がり>について」、美術展カタログ、『国立ロシア美術館展(東京都美術館)』、頁34-38、2007.4
「ソ連反体制から世界市民へ―『人生の祭典』の背景にある激動のロシア現代史」、映画パンフレット『ロストロポーヴィチ 人生の祭典』(アレクサンドル・ソクーロフ監督作品)、頁9、2007.4
「文学2007」解説、単行本、日本文藝家協会編『文学2007』、講談社、頁1-11、2007.5
「『ユーリーとソーニャ』の著者とその時代」、「アンリ・トロワイヤ『ユーリーとソーニャ』山脇百合子訳」、福音館書店、頁248-254、2007.6
 (6) 啓蒙
「第72回国際ペン・ベルリン大会印象記」、日本ペンクラブ会報、『P.E.N.』Vol 376、頁16-19、2006.6
「「春樹をめぐる冒険」顛末記」、雑誌『東京人』2006年7月号、頁88-95、2006.7
「レムは一人でそのすべてである―東欧の小さな町から宇宙を幻視した人の死」、雑誌『SFマガジン47-8 (2006年8月)』、頁10-17、2006.8
「巻頭言 もっととっつかまえよう!」、学会支部報『日本ロシア文学会関東支部報』No.24、頁1-2、2006.9
「ヴィクトル・ペレーヴィン」、雑誌『すばる』2006年12月号、頁184-187、2006.12
「ユートピアの夢の後に」、雑誌『現代詩手帖50-3』 (2007年3月号)、頁104-106、2007.3
「ニヒリズム」、単行本・須藤訓任編『哲学の歴史9』、中央公論新社、頁605-608、2007.8
「すべては少しずつ失われていく(カート・ヴォネガット追悼)」、雑誌『SFマガジン48-9 (2007年9月号))』、頁34-35、2007.9
 (7) マスコミ
「ルキヤネンコ著『ナイト・ウォッチ』法木綾子訳」、毎日新聞、2006
「亀山郁夫著『大審問官スターリン』」岩波書店、毎日新聞、2006.2.19
「終わり無きロリータ」(若島正・沼野充義対談)、図書新聞、2006.3.18
「末木文美士著『仏教 vs. 倫理』ちくま新書」、毎日新聞社、2006.3.19
「純白の雪の中の死 沈黙の詩人ゲンナジイ・アイギに」、毎日新聞、2006.3.27
「見つめた理性の限界―スタニスワフ・レムを悼む」、朝日新聞、2006.4.11
「アファナーシエフ『ロシア好色昔話大全』平凡社、中村喜和訳」、毎日新聞、2006.4.23
「熊野純彦著『西洋哲学史』(岩波新書)」、毎日新聞、2006.5.28
「故国喪失についての省察1(サイード著)」、日本経済新聞、2006.6.4
「たいせつな本 上 ドストエフスキー『罪と罰』」、朝日新聞、朝日新聞社、2006.7.23
「たいせつな本 下 堀口大学訳詩集『月下の一群』」、朝日新聞、2006.7.30
「小菅正夫・岩野俊郎『戦う動物園』」中公新書、毎日新聞、2006.8.6
「クルコフ著『大統領の最後の恋』前田和泉訳」、毎日新聞、2006.9.10
「アプルボーム著『グラーグ ソ連集中収容所の歴史』」、毎日新聞、2006.10.15
「ゴーゴリ『鼻/外套/査察官』(浦雅春訳)」、「トルストイ『イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ』(望月哲男訳)」、毎日新聞、2006.11.19
「新しい世界文学としてのバルキ・ムラカミ」、読書人、2006.12.8
「多和田葉子『アメリカ 非道の大陸』青土社、毎日新聞、2007.1.7
「ペレーヴィン『恐怖の兜』中村唯史訳」、2007.2.11
「青山七恵『ひとり日和』、綿矢りさ『夢を与える』」、毎日新聞、2007.3.11
「米原万里著『発明マニア』毎日新聞社刊、毎日新聞、2007.4.15
「ダニロ・キシュ著『砂時計』奥彩子訳」、毎日新聞、2007.5.13
「野崎歓著『われわれなみな外国人である』」、毎日新聞、2007.6.24
「ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』全5巻、亀山郁夫訳」、毎日新聞、2007.7.29
「半歩遅れの読書術 細部にこだわる」、日本経済新聞、2007.8.5
「半歩遅れの読書術 魚を食べるように」、日本経済新聞、2007.8.12
「半歩遅れの読書術 小さな場所」、日本経済新聞、2007.8.19
 (8) 研究報告書
「文学の翻訳出版―諸外国の政策比較および日本文学の海外普及の現状」、8-15頁、2007.3
 (9) 学会発表
「Современная японская литература и мировой контекст」、第8回「日本の歴史と文化」会議、ロシア国立人文大学、2006.2.15
「二人の佳人の出会い―日本とポーランドの文化交流の歴史から(日本におけるポーランド文学受容を中心に)」、International Conference "Japanese Studies in the 21st Century - Beyond Bprders: In Memoriam Wieslaw Kotanski"、ワルシャワ大学、2006.5.20
「Toward the New Age of World Literature」、International Seminar "Redefining World Literature(s)"、Indonesia University (Jakarta)、2006.7.19
「シンポジウム ロシア東欧の亡命文学」、越境文学の現状をめぐって、名古屋市立大学、2006.12.16
「もっとも重厚にして最先端―ロシア文学紹介のトップランナーとしての昇曙夢」、昇曙夢没後50周年記念を偲ぶシンポジウム「昇曙夢の生涯と業績を語る」、奄美市名瀬 奄美サンプラザホテル、2007
「亡命文学再論―<脱領域の知性>か、ETか?」、公開フォーラム<誘惑と越境>第2部 越境 ~文学・美術・文化財~、2007
 (10) 共同研究(産学連携除く)
「社会主義的近代化の経験に関する歴史人類学的研究」、国立民族学博物館、共同研究員、2007~
 (11) 会議主催、チェア他(会議運営に関する貢献で、発表を伴わないもの)
「国際シンポジウム&ワークショップ 春樹をめぐる冒険―世界は村上文学をどう読むか」、企画委員およびチェアパネル「翻訳本の表紙を比べる」、ワークショップ「翻訳の現場から」、2006.3.25~2006.3.26、東京大学教養学部
「国際シンポジウム「ポーランド・日本・アメリカ―境界を超える文化」」、主催および司会、2006.6.16、東京大学文学部法文1号館113番教室
「ヴィヴァ、カラマーゾフ! ロシア文学古典新訳を考える」、主催および企画、2007.7.22、東京大学文学部法文2号館1番大教室

3.主な社会活動
 (1) 他機関での講義等
北海道大学文学部非常勤講師、2007.1~2007.1
東京工業大学世界文明センター特別講演、2007.5
東京都美術館特別講演、2007.6
ロシア・ソビエト映画祭実行委員会特別講演、2007.7
東京大学公開講座(安田講堂)、2007.9
Yonsei University (延世大学)特別講演、2007.10
 (2) 行政
文化庁、選定委員会委員、JLPP現代日本文学翻訳作品選定委員、選定委員会委員、2006~
文化庁、作品選定として外国語に翻訳すべき現代日本文学作品の選定に携わる、現代日本文学翻訳作品選定委員会委員、2007.1~
 (3) 学外組織(学協会、省庁を除く)委員・役員
「講談社野間文芸翻訳賞」、選考委員、2006.4~2007.9
「日本文学出版交流センター」、アドヴァイゾリー・コミッティ委員、2006.9~
「日本文芸家協会」、会員、2007~
    



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