3 国際交流
(1) 留学生教育と国際交流活動
a 留学生教育
人文社会系研究科には、毎年多数の留学生が正規の学生、もしくは研究生として在籍し、修士、博士の学位を取得するものも少なくない。他の研究科と異なり、本研究科の場合には、高度の日本語の能力と日本事情に通じていることが、学問の前提として必要となる。そこで人文社会系研究科・文学部独自に、日本語教育を実施している。しかし、受講希望者の多様化により、担当者は過重の負担を強いられている。その負担の軽減を図るため、非常勤講師を採用するなどの措置を取ってはいるが、なお十分ではない。
また、これらの教育により、高度の日本語を身につけたとしても、それぞれの学問分野で論文を発表するのに十分な日本語ということになると、これは、また別の次元の問題である。修士論文にせよ、博士論文にせよ、それぞれの分野の日本人学生が、論文の日本語に手を入れているのが実情である。多くの場合、チューター役を任じられた日本人学生が、ボランティアとして献身的に行っている。こうした現状を改善すべく、本研究科においては、2000年度に、「三金会」(東京都立高校の校長OB有志の親睦会)会員諸氏のご協力のもと、博士課程に在学する外国人留学生で、博士論文の日本語の添削を必要とするものに対する支援を目的とした「留学生博士論文作成支援ネットワーク」がスタートした。この支援を受けた留学生の中から、博士論文を完成させ、博士号を取得した者も出てきている。同ネットワークをいかに発展・充実させ、より多くの留学生が支援を受けることができるようにすべきかが今後の課題である。このように、指導教員をはじめとして、多くのボランティアに支えられ、現在の留学生教育は成り立っているが、ボランティアの方々のご厚意に依存することには、自ずと限界があり、より制度的な支援が求められる。
教育以外の問題、すなわち生活上の問題はより深刻である。住居事情の悪さ、超低金利による財団系奨学金受給者数や金額の減少が著しい。住居事情の悪さをカヴァーするため大学に勉学の場所を作ろうと思っても場所がない。こうしたさまざまな問題が、教育の現場に降りかかってくる。種々の方面にわたる、きめ細かな支援策が講じられるように願うものである。本研究科・文学部では「国際交流室」を設置し、留学生のための日本語教育及び相談業務を行なっており、今後もその人的・資金的な充実化をはかるよう努力していくものである。
各年度05月01日現在

b 国際交流活動
本本研究科は留学生を受け入れるばかりではなく、数多くの学生を海外に派遣してきた。その派遣先は、アジア、アメリカ、アフリカ、オーストラリア、ヨーロッパの国々のさまざまな大学である。20以上の海外諸機関と学術協定を結び、研究者の交流も活発に行なわれている。
また、毎年、海外から多数の研究者を文学部内規によって文学部外国人研究員として受け入れている。
外国人研究員(国籍別人数) (※文学部内規による)
(2) 国際交流協定
a 学術・学生関係 2007年9月30日現在

b 部局間協定

(3) 国際研究協力
a 海外渡航

b 外国人客員教員
<外国人教員> |
東洋史学専修課程 |
李 承律 |
(2003. 4. 1~2008. 2.29) |
中国語中国文学専修課程 |
銭 志煕 |
(2005.10. 1~2007. 9.30) |
フランス語フランス文学専修課程 |
シモン-オイカワ、マリアンヌ |
(2006.10.16~2008.10.16) |
中国思想文化学専修課程 |
張 啓雄 |
(2007.4.1~2008.3.31) |
中国語中国文学専修課程 |
李 簡 |
(2007.10. 1~2009. 9.30) |
<外国人研究員(客員)> |
文化資源学専攻 |
クリスティ、アラン、スコット |
(2004.10.1~2006.8.31) |
文化資源学専攻 |
ルーマニエール、ニコル クーリジ |
(2006.11.27~2009.9.30) |
韓国朝鮮文化研究専攻 |
李 賢熙 |
(2006. 4. 1~2007. 2.28) |
韓国朝鮮文化研究専攻 |
権 寧珉 |
(2007. 4. 1~2008. 2.29) |
現代文芸論専修課程 |
グーセン、シオドア ウィリアム |
(2007.4.1~2008.3.31) |
c 外国人教師
〔( )内は国籍〕
専修課程 |
2003年度 |
2004年度 |
2005年度 |
2006年度 |
2007年度 |
中国語中国文学 |
1名 (中国) |
英語英米文学 |
1名 (英国) |
ドイツ語ドイツ文学 |
1名 (独) |
フランス語フランス文学 |
1名 (仏) |
南欧語南欧文学 |
1名 (伊) |
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