科目一覧 (2008年度)

担当教員 授業科目名 副題 学期 曜時 備考
氏 名
内   容
教授 土田 龍太郎 印度語学印度文学特殊講義 サンスクリット典籍史 月・4 学部
 ヴェーダ・二大叙事詩・美文藝・演劇等について概要を解説する。随時、ほかの諸分野のサンスクリット文献、すなはち法典・詩論書・文法書などについての基本事項にも言及するであらう。  最後に簡単な試験を行ふ。
印度語学印度文学演習Ⅱ 叙事詩説話研究 通年 月・5 大学院共通
 二大叙事詩と諸説話それぞれの問題をサンスクリット語・パーリ語・プラークリット語のテキスト解讀をとほして考察してゆきたい。例へばマハーバーラタ的内容のパーリ・ジャータカ説話などを、テキスト形成過程に留意しつつ讀み進めてゆくつもりである。
印度語学印度文学演習Ⅰ Sanskrit Reader講読 通年 火・5 学部
 例年どほりの  Ch.Lanman, Sanskrit Reader を講本とする演習である。ナラ王物語部分とヒトーパデーシャ部分を讀み了へることを目標としたい。
 参加者には充分な豫習が要められる。
演習 サンスクリット諸論書・美文芸研究 通年 金・2 大学院
 以下の諸問題のなかから少なくとも二つを採り上げ、原典テキストを丹念に讀解しながら考究したい。
 1.大説話集ブリハットカターの構造と内容
 2.マヌスムリティ等法典の形成
 3.戯曲と演劇理論の関係
 4.カーマシャーストラの形成と展開   
教授 高橋 孝信 印度語学印度文学演習Ⅱ タミル文献購読 通年 火・3 大学院共通
 19世紀末から今世紀初頭にかけて、それまで様々な理由で忘れ去られていたタミル古典(1~3世紀を中心とする)の写本が発見され、批判校訂作業を経た後に出版された。この授業では、この古典の「再発見」に中心的な役割を果たした U.V.Swaminathaiyer (1855-1942)の自叙伝を読む。写本の発見・校訂の過程で窺える真摯な態度に、学究の徒として学ぶことの多い有益な書であるのはもちろん、当時の社会・文化に関しても第一級の資料である。参加者はタミル語初等文法を終了している必要がある。 
印度文学史概説 南インドの言語と文学 通年 火・4 学部
 インド文学と言うと、北インドのサンスクリット語やヒンディー語などのものを想起するが、この授業では、南インドの4州を中心に用いられているドラヴィダ語族の文学を概観する。同語族には、タミル、カンナダ、テルグ、マラヤーラムの主要4語の他に25以上の言語が属し、話者人口は1億7千万人を越えるが、授業では、それらの中でも最も古い文学の歴史を持ち(紀元前2世紀頃から)、ドラヴィダ文学を代表すると見なされるタミル文学を中心にし、カンナダ、テルグ、マラヤーラム諸語の文学も見ていく。 
印度語学印度文学演習Ⅰ タミル語文法 通年 水・4 学部
 2千年を越える歴史を持つタミル語は、時代、韻文と散文、文章語と口語、方言(地域方言と社会方言)などによって大きく異なる。これら様々なタミル語の学習の基礎となるのが、19世紀半頃から急速に発達し始めた散文を読む力の習得である。この授業では、そのような近現代の散文が読める力を養うことに主眼をおくことにする。
 夏学期に文法を終了し、冬学期は平易な散文を読む。テキストはこちらで用意する。
演習 タミル文献研究 通年 金・5 大学院
 6~9世紀を中心とした宗教賛歌(バクティ文献)のうち、本年はペリヤールヴァールやアーンダールなどのヴィシュヌ派の作品を読んでみたい。「賛歌」すなわち歌であるから、単に文法知識があるだけでは読めない。しかし、楽譜が残っているわけではないからやはり基本は文献講読を積み重ねる以外になく、逆説的ではあるが、それだけに余計に文法知識を駆使することになる。 
教授 高橋 孝信 他 印度語学印度文学特殊講義 インドの社会と文化 教養 火・5 学部
 インドの古代・中世を中心に、その社会や文化にさまざまな角度からせまる。インド語インド文学とインド哲学仏教学との両研究室、および東洋文化研究所の教員(高橋,土田,丸井,斎藤,下田,永ノ尾)によるリレー講義であるが、単なる概説にとどまらないような講義となる予定である。
教授 永ノ尾 信悟 演習 インド祭祀文献の研究 通年 水・3 大学院
 夏学期はソーマ祭の導入部にあたるディークシャーと終結部にあたるアヴァブリタについて祭式解釈文献による解釈を中心に読む。これらと後の文献のイニシエーションの関連を考え、また、儀礼行為として重要になる沐浴に関する古い見解を検討する。冬学期は季節祭に含まれる祖霊祭式を検討して、生と死に関する古代インドの思索の一端を考察する。
教授 熊本  裕 印度語学印度文学特殊講義 イラン語文献学概説 通年 月・4 大学院共通
 [夏] 新しいcritical editionが準備されつつあるBundahišnの冒頭部分(中期ペルシア語によるゾロアスター教の宇宙論)を各種の写本を参照しつつ読む。
参考文献: Carlo G. Cereti and D. N. MacKenzie, “Except by Battle: Zoroastrian Cosmo- gony in the 1st Chapter of the Greater Bundahišn”, Carlo G. Cereti et al., ed., Religious Themes and Texts of Pre-Islamic Iran and Central Asia, Wiesbaden 2003所収。
 [冬] 古代インド・イランの祭祀の中心的存在であったsoma / haomaを扱った文献の新しい研究が、近年特にイラン側に関して盛んに出版されている。そのような研究を参照しつつ、AvestaのHōm Yaštと呼ばれる部分を読む。テクストは授業で配布する。
参考文献: Judith Josephson, The Pahlavi Translation Technique as Illustrated by Hōm Yašt, Uppsala 1997, Éric Pirart, L’éloge mazdéen de l’ivresse, Paris 2004, Jean Kellens, Le Hōm Stōm et la zone des déclarations, Paris 2007.  
講師 矢島 道彦 印度語学印度文学特殊講義 パーリ語学研究 通年 水・5 大学院共通
  テーラヴァーダ仏教の聖典語であるパーリ語は、インドの言語史のなかでは中期インド語(≒ プラークリット)の古層に位置し、アショーカ王の法勅文についで古い言語である。ジャイナ教白衣派の聖典語であるアルダマーガディーは、パーリ語よりもやや新しいが、共に聖典の最も古い部分は、東インドのマガダ地方の方言によって歌われ、あるいは語られていたことが知られている。パーリ語を学ぶことは、中期インド語を学ぶことにほかならない。この授業では、とくにこうした中期インド語の視点からパーリ語について学習する。サンスクリット(梵語)との相違点も明示しながら進めるので、その学習にも役立つであろう。
・使用教科書: 水野弘元 『パーリ語文法』 山喜房仏書林(赤門前)
講師 茂木 秀淳 印度語学印度文学特殊講義 Moksadharma研究 月・4 大学院共通
 Mahabharata 第12章の後半 Moksadharmaは、体系化以前の思想を集積している。一見雑多な集積にも見える Moksadharmaから、後にサーンキヤ、ヨーガ学派として体系化される思想の初期の様相をとらえるのに有益と思われる章をとりあげ、その章の解読を通して、これらの学派の発展過程を考察する。

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