2019年度 現代文芸論研究室授業内容(S1ターム / S2ターム


「博士・修士論文指導」【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
各教員
通年
2単位
月・1(隔週)

それぞれの指導教員による個別的な論文指導




世界文学講義【院共(比較文学概論)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
S1+S2
2単位
月・5

近現代の世界の文学を(現代日本文学も含めて)、一国一文学の枠を超えた視点で読解・研究 近現代の世界の文学を(現代日本文学も含めて)、一国一文学の枠を超えた視点で読解・研究していくための基本的な枠組みを提供し、各自の個別の研究への応用を考える。世界文学のなかで生ずる、時空を超えた響きかわしに特に注意を払う。  
具体的な作品を読むことを通じて、ことばと文化的アイデンティティ、文学作品の翻訳、文化の固有性と越境性、批評理論は時代や国を超えて普遍性を持ちうるか、理論と実践の対話は可能か、「世界文学」は可能か、といった「大きな話題」をあえて真面目に考え、各自の個別の専門分野の理解の深化につなげていきたい。


グローバル化と文学【学(現代文芸論概説Ⅱ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
S1+S2
2単位
火・2

近年、「世界文学」の概念が語られる機会が多い。ゲーテの提唱したこの概念が語られるようになったのは、いわゆるグローバル化が影響しているものと思われる。この概念を理論化する者はまた、多く、流通のシステムを語る。が、グローバル化はシステムによる世界化を実現するだけでなく、問題(テーマ)の世界共通化ももたらす。担当者は主にスペイン語圏の文学を読む者ではあるが、その動向は他の言語圏のそれと確実に共振している。  
こうした認識のもと、授業ではスペイン語圏と英語、フランス語、ドイツ語、日本語、等々の言語圏との共通の問題関心を探っていく。




ラテンアメリカ文学を味わう【院共(現代文芸論演習Ⅰ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
S1+S2
2単位
火・3

野谷文昭編訳『20世紀ラテンアメリカ短篇選』(岩波文庫)に掲載の作品を読みながら、短篇小説の楽しさ、ラテンアメリカ文学の多様性を味わう。




「文化批評(1)」【院共(現代文芸論概説Ⅰ・後期教養教育科目)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
S1+S2
2単位
火・4

文学を形作る「テクスト」の様々なカタチを検証しながら、テクストと文化批評の関係性を検討する。具体的には、「テクストのかたち」「テクストと現実」「テクストとテクスト」という3つのテーマを軸として、様々な文学的事象に触れながら、テクストの表現可能性、とりわけ現実との関係性・構築性について理解を深める。毎回設定したテーマに即した作家、理論家、表現者の実作を複数取り上げ、比較・対照を行う。


批評研究(1)」【院共】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 公彦
通年
4単位
火・5

英米文学関係の研究を巡る批評と討論。


中欧文学論(4)【院共(近代文学特殊講義Ⅱ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
S1+S2
2単位
水・3

20世紀前半に活躍した三人の中東欧の作家に焦点を当て、テクスト読解を丁寧に行ないながら、中欧文学を解釈する可能性について検討を行う。ザッヘル=マゾッホ、レオ・ペルッツ、イヴォ・アンドリッチについては、それぞれ「マゾヒズム」「幻想文学」「バルカン」といった形容で語られることがあるが、今一度テクストの読解を通して、三人の作家に共通する世界、あるいは異なる位相を明確にし、中欧文学という枠組みを検証することを目的とする。




アレホカルペンティエール失われた足跡を読む」【学/原典を読む】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
S1+S2
2単位
水・5

「原典を読む」は既に古典として定評のある文学作品をその原語で読むことを目的とした授業である。ここではアレホ・カルペンティエールAlejo Carpentierの1953年の作品『失われた足跡』Los pasos perdidos を読む。読み終えることを目標とするのではなく、名文で知られるカルペンティエールの文章を味わうことを第一義とする。。




現代文芸研究の方法と実践5)」【院(専限)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野・柳原・阿部(賢)・高橋
S1+S2
2単位
木・2

*受講・履修は、現代文芸論専門分野の学生に限る。

現代文芸論における文学研究の基本的な方法を身に付け、それを各自の興味に応じた研究に応用する。現代文芸論専門分野修士課程の院生のために、修士論文執筆に向けての準備を行う。


ポーランド語入門【院共(近代語学特殊講義Ⅰ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
S1+S2
2単位
金・2

ポーランド語文法の基礎を学び、発音の基礎を身につけ、辞書を引きながら簡単なテキストが読めるようになるまでを目指す。基本的には語学入門の授業だが、並行して、文化・歴史的背景も学ぶように努める。


島嶼文学論」【院共(近代文学特殊講義Ⅰ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
中村 隆之
S1+S2
2単位
金・2

南北アメリカ両大陸・カリブ海域では、奴隷貿易と奴隷制に基づく社会構造が長らく維持されてきました。これらの大陸・島々は、植民地宗主国の言語・文化によって分断されてきたわけですが、そうした言語・文化の差異を超えて、アフリカをルーツとする共通の意識が芽生え始めるのは、第1次世界大戦後となります。カリブ海のフランス語作家エドゥアール・グリッサン(1928-2011)は、こうしたブラック・ディアスポラとしての意識が形成される、プランテーション社会という物質的基盤に着目し、とくにアメリカ南部の作家ウィリアム・フォークナーへの強い影響下のもと、独自の文学観を形成していきます。ポスト・プランテーション文学は、グリッサンのそのフォークナー論『フォークナー、ミシシッピ』に見出せる発想であり、ここには、ブラックのみならず、フォークナーのようなホワイトのディアスポラも含まれます。この講義では、アメリカスを主要な事例としつつも、〈群島的思考〉に基づく世界各地の混成的な詩学を探求していきます。


文学と批評【院共(現代文芸論演習Ⅱ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 公彦
S1+S2
2単位
金・5

S1-S2学期を通して一冊の小説をじっくり読み進めるとともに、文学作品について語る方法を身につけることを目指します。関連する批評もあわせて参照しますが、まずは自分なりに批評的なアプローチをためし、肌に合う方法をさぐってもらえればと思います。
テクストはエリザベス・ギャスケルの『クランフォード』。舞台となるクランフォードという町は、おひとりさまの女性たちの楽園です。小説では一見、日常の悲喜こもごもを描いたサザエさん的で牧歌的な物語が展開するようにも見えますが、じっくり読むと実はけっこう変なことも起きています。男が不足していたと言われる19世紀イギリスの、女性の結婚問題をからめた議論もされてきた作品です。




2019年度 現代文芸論研究室授業内容(A1ターム / A2ターム


博士修士論文指導【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
各教員
通年
2単位
月・1

それぞれの指導教員による個別的な論文指導。


 

世界/日本文学へのアプローチ(14)」【院共(現代文芸論演習Ⅲ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
A1+A2
2単位
月・5

世界の文学を広い視野から(日本文学も視野に入れて)研究していくための様々なアプローチを考え、特にこれから大学院で本格的な研究を始めようとする者のための研究入門的ゼミとしたい。  
東欧文学(ロシアを含む)、亡命作家・越境的な文学など、他の伝統的な研究の枠組みに入らない分野を研究する者や、外国のバックグラウンドを活かしながら現代日本文学・文化を研究しようとする留学生も歓迎する。

 

ラテンアメリカ文学概論(7)」【学(近代文学特殊講義Ⅲ/持ち出し専門科目】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
A1+A2
2単位
火・2

20世紀ラテンアメリカ文学の歴史をただたどるというよりは、代表的な作家たちの作品を読みながら彼らの文学世界、その周辺の潮流などを探っていく。




ラテンアメリカ文学演習7)」【院共(近代語近代文学演習Ⅰ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
A1+A2
2単位
火・3

 近年、新たに訳されたスペイン語圏の文学作品を読み、他の関連授業で得た知見などとも関連づけながら、ラテンアメリカ文学、ひいては世界文学、および本文学の一部としての翻訳文学についての見識を深める。




ボヘミア文学概論4)」【学(近代文学特殊講義Ⅳ)/持ち出し/導入】

担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
A1+A2
2単位
火・4

「ボヘミア」を多言語的な空間として緩やかに捉えて、この地における文学の多様性および多層性について検討する。「ボヘミア/チェコ/プラハ」における文学は様々な言語で執筆されているが、「チェコ文学」「ドイツ文学」といった従来の国民文学の枠組みを一旦留保して、都市あるいは地域を単位とする文学史の構築を試みる。今学期は、19世紀ボヘミアにおける文化現象を、様々な視点から検討していく。



批評研究1)」【院(演習)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 公彦
通年
2単位
火・5

英米文学関係の研究を巡る批評と討論。



英語の小説を訳す/読む【学(多分野講義Ⅳ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柴田 元幸
A1+A2
2単位
水・2

英語で書かれた小説を訳す力、鑑賞する力を養う。




現代文学論2)」【院共(現代文芸論演習Ⅳ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
A1+A2
2単位
水・3

東欧革命、天安門事件、「昭和」の終焉など、大きな変動があった1989年に焦点を当て、文学作品における同時代の表象について検討し、理解を含める。ベルリンの壁崩壊に象徴されるように、1989年はある規範の価値観の崩壊がいたるところで観察された。さまざまな生の諸相を扱う文学作品においても主題としてだけではなく、技法的な面においても変化が見受けられる。さまざまな地域の文学作品に触れながら、同時代の連動性あるいは差異を検証することを目標とする。


チェコ文学を読む2)」【院共(近代語近代文学演習Ⅱ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
A1+A2
2単位
水・4

ミラン・クンデラの短篇集『可笑しい愛』(通称「第一のノート」)に収録されている短篇"Ja truchlivy buh"について、自身が「作家となった」ことを見出した一篇と述べている。だが、同作はその後フランス語版には収録されなかったため、チェコ語以外には翻訳されていない。本授業では、同作品の訳出を通し、クンデラと翻訳の問題、小説に関する技法について、理解を深めていく。


スペイン語現代文学を読む4)」【院共(近代文学特殊講義Ⅴ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
A1+A2
2単位
水・5

1冊のスペイン語による現代小説を1ターム10数回の授業てせ読み終え、スペイン語の小説を読む訓練をするのが、本授業の主旨であり目的である。




ベルギー・オランダ語圏の言語と文化【院共(近代語学特殊講義Ⅲ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
三田 順
A1+A2
2単位
木・4

・ベルギーの標準的オランダ語(ネーデルラント語)の発音の基本を身につけ、必要に応じて英語と比較しながら初級文法を学ぶ。会話練習を通じて、能動的な言語運用能力を養成する。
・ベルギーのオランダ語圏を中心とした歴史と文化についての基本的な知識を習得する。

 

Advanced Creative Writing and Reading【学(多分野講義Ⅲ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
デビッド・ピース
A1+A2
2単位
木・4

The course aims to further the students' abilities in creative writing by building and developing their skills in writing fiction of their own. Using examples and extracts from both classic and contemporary texts, the course will examine characteristics and techniques of the short story, also furthering the students' abilities in reading and critical understanding. By the end of the course, students will have produced at least three short pieces of fiction of their own and hopefully also improved their own reading and understanding of texts.


ポーランドの言語と文化4)」【院共(近代語学特殊講義Ⅱ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
A1+A2
2単位
金・2

ポーランド語文法の初歩を学んだ者を対象とし、ポーランド語文法の基礎を引き続き習得するとともに、比較的平易なポーランド文学のテクストを少しずつ読み進める。またポーランド文学・芸術・映画などについての話題も適宜折り込む。語学を身に付けながらの、ポーランド文学・文化への入門を目標とする。


ジェンダー、クィア理論で読む日本文学——古典文学から震災文学まで【院共(近代文学特殊講義Ⅶ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
木村 朗子
A1+A2
2単位
金・3

ジェンダー論、クィア理論はいまや文学研究の一翼を担う重要な方法である。本講義では、日本文学研究において、フェミニズム、ジェンダー論、レズビアン/ゲイスタディーズ、クィア理論がどのように展開してきたかを概観しながら、読みの可能性を検討する。

 

ロシアとヨーロッパ——19世紀前期〜中期のロシア文学と思想【院共(近代文学特殊講義Ⅵ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義高橋 知之
A1+A2
2単位
金・4

この授業の目標は、ロシア文学の古典的な文献を精読しながら、ロシア文学および思想について理解を深めることにある。「驚くべき十年間」と称される1840年代を中心に、1830年代~60年代を対象範囲とし、「反省」「直接性」「偶然」といった主題系のもとに、ロシア文学史・思想史上の諸相を検討していく。ヨーロッパとの関係を軸に据えて、ヨーロッパから受けた影響を明らかにするとともに、同じ文脈におけるロシアのアクチュアリティを問うていきたい。