科目名 「華語圏映画史」
担当教員  三澤真美恵 学期:冬 水・5 法文1号館:113
 国民の創出において出版資本主義が果たした役割の重要性は広く知られている。しかし、出版物は一次的には識字技術をもつ者を対象とし、その流通範囲も出版言語の使用範囲に限定される。この点、19世紀末に登場した映画は、識字技術をもたない人々や異なる母語をもつ者の心のなかにも「想像の共同体」を浮かび上がらせることができた。本講義では、映画がもつこうした特徴に注意しながら、異なる歴史的背景をもつ華語圏各地―「租界」が設置されていた上海、イギリスの植民地統治下にあった香港、日本の統治下にあった台湾など―における20世紀の映画史を、共同体意識の形成や政治的・社会的なコンテクストに結びつけながら概説する。具体的な映像資料およびそれらに関する批評など(中国語資料を含む)も取り上げる予定である。




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