発表1 
「窓の技―Windows環境での論文作成効率向上をめざして―」
赤堀雅幸


 私の発表はあまり深遠なお話ではありません。基本的な狙いは、ウインドウズ98の環境下でいかに論文作成の効率を上げるかをお話することにあります。今日からでも使える方法をご提案したいと思います。フォントの作成に400時間もかけたくないという人間が、いかに手軽に使うかということです(笑)。

 まず私自身の環境を説明して、たたき台にしたいと思います。主機と補機3台を使っています。

主機: GATEWAY G6-233 (Pentium2, HDD3GB+1GB, 128MB RAM)
補機1: FMV 5233NA6 (MMX Pentium, HDD3GB, 64MB RAM)
補機2: SHARP PC-PJ1 (MMX Pentium, HDD3GB, 64MB RAM)
補機3: IBM THINKPAD 9546 (MMX Pentium, HDD2GB, 64MB RAM)


 主機はGATEWAYのG6-233というデスクトップです。補機に関しては、私の手が大きいので、あまり小さい端末は使わず、A4かせいぜいB5にしています。補機1は比較的大きなラップトップで、移動は困難です。これは自宅で使っています。補機2は今ここに持ってきているもので、持ち運びもなんとかできます。3台目はTHINKPADの型落ちで、12万くらいで買いました。これはアラビア語のウインドウズ95他のマルチブートで、アラビア語のウインドウズ上でのみ動くソフトを使うために、必要になりました。

 それでは大技、中技、小技と分けてお話していきます。まず大技ですが、その基本はお金をかけて高性能のコンピュータを買うということです(笑)。パソコンの進化には目を見張るものがあります。私のGATEWAY G6-233は使い出して2年になりますが、すでに数世代遅れています。お金をかけてどんどん買い換えていけば単純にはより効率的な環境が手にはいることになります。ただし買い換えには、得にならない面もあります。それは古いコンピュータから新しいコンピュータへの情報の移し変えに、結構な時間と手間がかかるということです。

大技の2番目は、1台よりもやはり複数使うほうが便利だということです。自宅と職場、あるいは出先での利用の兼ね合いを考えて、1台のパソコンにだけお金をかけるのではなく、トータルに見ての全体の使い分けと相互の連絡の仕方が、大技としては重要になってきます。

 ソフトもできれば最新のOSを使いましょう。たとえば、今試験版が配布されているウインドウズ2000では、アラビア語が完全にサポートされています。苦労もなくアラビア語が使えるわけで、98ではそうはいきません。ただし古いOSをアップグレードすると不具合の生じることもまれではありません。理想的には、アップグレードするよりも、自分の情報のバックアップを全部取ってしまって、初期化した上で新しいOSを乗せたほうが、はるかに動作環境はよくなります。

<ハードの中技>
 次に中技クラスにいきます。簡単にできることとしては、メモリとキャッシュの増設があります。本体の箱を開けるのを面倒くさがる人が多いですが、実は15分か20分もあれば作業はすみます。OSをいじる必要はまったくありません。このパソコン(補機2)は128メガですが、今朝ヨドバシカメラに行って、512メガに換装しました。メモリは安くなっていますから、かなり効果的な投資だと言えるでしょう。

 記憶媒体としては、フロッピーはもうあまり意味がなくなってきました。私は最近フロッピーディスクに触ることもなくなりました。MOかZIPか、大規模容量のものを使ったほうがいいでしょう。これらは容量の点でも信頼性の点でもフロッピーにまさります。マイドキュメントやメールボックスの内容くらいならすべて1枚に入りますから、これ1枚持っていれば自宅と大学で場所に制限されずに仕事をすることができます。

 重要なのに案外見落とされているものとして、マウスがあります。普通のマウスは2つボタンですが、インテリ・マウスなどには3つあります。もう1つのボタンが加わることで、文章を書く作業はだいぶ楽になります。使い方はいろいろありますが、たとえば、ボタンを押すだけで画面をスクロールさせたりできます。

 インターネットのプロバイダの問題を取り上げます。ダイアルアップならばどこでも大同小異かもしれません。自宅で早く使うには、やはり電話よりもISDNでしょうが、最近注目されているのが、ケーブルテレビ経由です。月額5000〜8000円ですが、24時間接続しっぱなしで、しかも高速でアクセスできるという大きなメリットがあります。それからノートパソコンを調査地で使うことを想定した場合便利なのが、ATT GLOBAL NETなどです。このプロバイダのいい所は、イスタンブールやカイロにもアクセスポイントをもっていることです。中東でも同じ環境で使いつづけることができます。

<ソフトの中技>

 ソフトの中技としては、もちろん何を選ぶかということがあります。まずOSやソフトのアップデート・ファイルですが、これは常に提供されています。こまめにアップグレードすることによって、性能向上を図ることができます。最近のブラウザには、指定したページを定期的に調べるという機能がついていますから、それほど無理なくできるでしょう。ただしこれはLANでつながっている場合の話です。2、3分でダウンロードできますから。これをダイアルアップでやろうとすると、膨大な時間とお金がかかるので勧められません。半年くらい前までは、アップデートはファイルによる提供でした。LANにつながっているコンピュータからファイルを取ってきて、それを使って自宅のパソコンもアップデートできたのです。しかしインストールまでネット上でやってあげますというシステムに移行してきたため、1台1台が高速でインターネットに接続しないと、OSを最新の性能に保つのが難しい状況になってきているのは、過渡的としても少々腹立たしいことではあります。

 ハードウェアの能率を向上させるためのソフトもたくさん出ています。ハードディスクを最適化し、アクセス速度を速めてくれるデフラグはウインドウズにも標準装備されていますが、最近のように容量が8ギガ、10ギガとなってくると、作業にいったい何時間かかるかわかりません。市販のもの――たとえばノートン・ユーティリティーズ――を使うのも手でしょう。ハードディスクの高速化だと、ソースネクストの「驚速」も効果があります。ただし私の体験から言うと、これらのソフトは互いの相性に気をつける必要がありますし、ものによってはかえって能率の落ちることもあるようです。

 インターネット・ブラウジングの高速化ソフトはあまりいいものがないようで、どなたか知っていたら、私に教えてください(笑)。ハード自体が損害を受けたこともあって、私はちょっと警戒しています。

 効率化を図るには、今言ったようなソフトを導入することが一点。それから必要のないソフトを落とすことも大事です。特にあらかじめバンドルされているソフト類には、いらないものが多いようです。たとえば――あくまで一例ですが――今売り出し中のIBMの音声入力系ソフトウェア、あれは研究者には役には立ちません。もちろんタッチタイピングができないというのなら別ですが。あれを削除するだけで、100メガくらいの空きができます。それからファイル間の相互のやりとりにあまり問題が生じなくなった現状では、一太郎とワード、それからATOKとIMEが両方入っているということにも意味がなくなってきました。翻訳ソフトも研究者には無用の長物です。どうせ機械にやらせるなら、ニフティサーブのサービスや、ネット上の機械翻訳に頼んだ方が、はるかによい訳が上がってきます。そこで使われているのははるかに高性能の機械ですから、当然結果も違ってきます。

 ソフトウェアをインストールするとき「標準でインストールしない」、これも大切です。必ずカスタム・インストールを選ぶべきです。たとえば標準でワードをインストールすると、家計簿だの住所録だの、いらないものがついてきます。その逆に、「一太郎の古いファイルをコンバートする機能」は標準では組み込まれません。

<文章作成はエディタで>
 ワープロですが、私はワードをメインに使い、日本語変換はATOKです。理由は簡単です。128メガのメモリで一太郎を起動させていると、一緒に7、8個のソフトを起こすとメモリが足りなくなるからです。一太郎は非常にユーザー・メモリを食うわけです。ワープロとしての性能は、一太郎の方がいいとは思うんですが。実際に文章を書く場合には、私はワープロではなく、エディタを使っています。エディタでは文字飾りをつけたりはできませんが、動作が速くて軽いので、ひたすら文章を書くには適しています。私が使っているのは秀丸エディタです。論文作成の際には、このエディタで全文書き終えてから、ワードに移して書式設定の作業をしています。今現在では、これが論文を書く上で、最も能率の上がるやり方だと思っています。

 ファイルが大量になってくると、「あのファイルはどこにあるのか?」「あの文章はどこに書いたんだっけ?」という問題が起こってきます。論文作成をスムーズに進めるためにも、検索ソフトの重要性は増してきていると思います。私はシャープのデータ・ハンターを使っています。ただこれはe-mailの中まで見ようなどと欲張っているので、実際にインストールしているのは、コンポーネントの4分の1ほどです。主目的のワープロで書いたファイルの中身の検索には、それで十分です。なおテキスト文書を大量に検索するソフトは安価の、もしくはフリーウェアが数多く出回っています。この類で私が使っている検索ソフトがファイル・ダイバーです。これは1000円くらいの安いシェアウェアですが、たいへん速くて重宝しています(シェアウェアとは、試してよかったらお金を振り込んでくださいというものです。これに対してフリーウェアは無料で提供されています)。圧縮してある1000のファイルを1分強で検索してくれます。ただし対象はHTMLを含むテキストベースのファイルです。

 インターネット上の検索には、ウインドウズ標準装備のものを使えばいいわけです。ただ検索してもいい結果に当たることはめったにないんですが(笑)。これに加えて、ウェッブ・スィーカーも使っています。これはおよそ50種類の検索エンジンに1度に検索をかけて、その結果を勝手にまとめて出してくれます。ただしLANで接続していても、5、6分はかかりますから、電話回線で接続していると時間がかかり過ぎてあまり意味がありません。

 メイラーですが、市販のソフトにいいものはないという印象を持っています。どれも研究者にとって不要な機能があり過ぎます。キティちゃんが踊る必要はないわけですから(笑)。私自身はシェアウェアのAL-MAILを使いつづけています。その特徴は、シンプルで軽くて速いということに尽きます。もう1つの魅力は、「こんな機能を追加したい」と思った場合、それが手に入るということです。機能拡張のためのプログラムがすでに数十以上も開発されています。メイルの自動整理・削除から暗号化まで、用途に合わせて機能を追加していけます。


<辞書と多言語>
 辞書はまだ実際には紙の方が使いやすいと思いますが、検索を考えていくつか導入しています。エンサイクロペディア・ブリタニカ、広辞苑、そして小学館の百科事典です。エンサイクロペディア・オブ・イスラームも出たら加えたいと思っています[編集部注:本誌刊行時にはすでにリリースされている]。実際に文章を書いているときには、複数の辞書を同時に使いたくなります。しかしこれらの大半はCD−ROMの形で提供されています。そこでどうするかというと、ハードディスクに格納してしまいます。私の主機は4ギガの容量しかありませんから、これに8ギガのハードディスクを3台つなげました。8ギガのハードディスクですが、安いのは4万円くらいからありますから、どの程度増設するかは懐具合との相談ということになります。気をつけなくてはならないのは、今挙げた百科事典の類にはCD-ROMからしか起動しないように設定されているものがあることです。ハードディスクにただコピーしただけでは作動してくれません。この問題を解決するソフトとして、たとえばソースネクストの「携速」があります。これを使うと、ハードディスク上に幻のCD-ROMを作り上げることができます。これらハードディスクに関わるソフトを使うときの大原則は、1つの会社に絞るのがコツです。ソースネクスト、ノートンなど複数社の併用は、ややこしい問題のもとです。

 多言語に関しては、ウインドウズはマックに及びませんが、私はグローバル・ライターとグローバル・オフィスを使っています。前者は多国語ワープロでヒンディー語やパシュトー語など百数十カ国語を書くことができます。ただ欠点もあって、ワープロと言いながら機能はほとんどエディタに近いもので、あまり書体の工夫をする余地はありません。「ここは大きく飾り文字」というわけには行きません。アラビア語の教科書作成には使えませんね(笑)。その代わり、スムーズに書くことはできます。グローバル・オフィスの方は、ワード上にアラビア語なり何なりの多言語を乗せるためのソフトです。ただしアラビア語のように右から左への言語で長い文章を書くには、まだ問題があります。やはり何の抵抗もなく複数の言語を混ぜた文章を作るには、OSをウインドウズ2000にするということになるのでしょう。

 転写に関しては、以前はユニタイプ社から出ていたローマナイズのためのフォントがありました。最近では、今回の発表者の林さんたちが開発したMid East Timesがあります。
 ここまで頻繁にシェアウェアやフリーウェアについて言及してきました。どこで手に入れるかということですが、有名なのがネット上の「窓の杜」です。英語のものはDave Centralなどがあります。その際、ファイルのやりとりをするのに必要になるのが、圧縮・解凍ソフトです。最近のパソコンにはたいてい付いてきますが、私自身は、DX ZIPを使っています。これはエクスプローラと結合するため、圧縮や解凍の作業を感じさせない、かなり使い勝手のよい安価なソフトです。

 後2点ほど。まず、使用しているソフトウェアに関しては供給元のウェブサイトを、ブラウザに登録しておくことです。講読処理をしておけばいちいちチェックする手間が省け、アップデートに便利です。それからパソコンは24時間消さない、冷蔵庫だと思って使うことです。時間のかかる保守作業は夜中に設定しておいて、勝手にやらせてしまいます。

<小技>
 まずインテリ・タップを挙げたいと思います。パソコンにはプリンタその他の周辺機器がつながっています。電源を入れるときには、これらスキャナやプリンタの電源を入れてから、パソコンをオンにします。しかしこれでは何回もスイッチを押さなくてはなりません。インテリ・タップの良いところは、勝手にこの順番にスイッチを入れてくれることです。1500円くらいですから、導入の価値があるでしょう。

話が急にせこくなりますが、コードの長さを短くすることも大切です。SCCI関係は2メートルのコードを1メートルにするだけで速度がかなり違ってきます。

 フラッシュメモリのPCカードは記憶容量の点ではMOにはかないませんが、小さくて持ち運びに便利です。財布にも入る大きさです。なおかつ、今のノートパソコンには標準でスロットが装備されています。デスクトップの場合には、1、2万円のPCカードリーダーを付けることで、情報のやりとりが可能になります。MOだと、5、6万するドライブを新たに付けないといけませんから、こちらの方が少ない投資で大きな効果を上げることができると言えるでしょう。ちなみに読み込みスピードでは、TDKの製品が群を抜いています。

 ソフトの小技としては、小さくて気の利いたフリーウェアを紹介したいと思います。私が一番気に入っているのは、秀CAPSです。ふつう、ウインドウズの日本語を起動させるときには、Altと漢字キーの両方を押さなければなりません。これを任意のキーへのワンタッチに変えることができます。同じように、やはりワンタッチで、英大文字入力を続けることもできます。

 ソフトウェアは導入を限定する一方で、自分に合わせたカスタマイズを行なうことで、効率を上げることができます。たとえばMS OFFICEの場合、OFFICEバーのカスタマイズが効果的です。不要な項目は削り、あると便利な項目を代わりに入れておきます。私はエクスプローラとコントロールパネルの起動をここから行っています。デスクトッップにショートアイコンを張り付けてもいいんですが、使用中のソフトウェアを最大化しているときに隠れてしまうのが難点です。OFFICEバーは隠れません。

 基本的なことですが、フォルダを使ってファイルを分類することは必ずやるべきです。特にマイドキュメントはフォルダを多層化して整理しておく。同じ階層にさまざまな文章が詰め込まれていると、それだけで作業効率は下がります。その一方で現在進行中の仕事は、デスクトップ上のショートカットで直接たどれるようにしておきます。「スタート」→「プログラム」でのプログラム一覧も整理する。ここをごちゃごちゃにしてしまいがちですが、やはり多層化する必要があります。

最後に、作業を迅速化するのに、マウスの右クリックを活用することも推奨です。カット・アンド・ペーストをツールバーから行なうのは時間の無駄です。最近の私はもうそれでいらいらしてしまいます(笑)。そこで右クリックしてみてください。少し慣れれば、自分で項目を登録することもできます。たとえばプログラムの内容を見るのに、いちいち「スタート」→「設定」→「タスクバーとスタートメニュー」とたどる必要はありません。スタートで右クリックすれば、1回ですみます。ことあるごとに右クリックして、その機能を試してみてください。もっと早いのはショートカットキーですが、そこまでいくとマニアックすぎる気もします。

ともあれ、道具としてのパソコンは使い込んで自分にあったものに仕上げていくことで、ずいぶん勝手がよくなっていきます。系統的に学んだわけではない、あくまで自分流のティップスの紹介でしたが、具体的な話とともに、パソコンへの対し方の再考のきっかけにでもしていただけたら幸いと存じます。


参照
窓の杜:http://www.forest.impress.co.jp/

DAVE CENTRAL:http://www.davecentral.com/

MS FREE DOWNLOAD SITE: http://www.microsoft.com/japan/download.htm

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