教員・ゼミ紹介

現在のスタッフは、西アジア史1人、南アジア史1人、中国史2人、東南アジア史2人からなり、また韓国朝鮮文化研究室から1人が学部授業を兼担している。加えて毎年、学内外から数名の講師を招き、アジア全域をカヴァーしている。いずれもそれぞれ独自の領域で、既存の枠組にとらわれない歴史像を描き出そうとしてきた専門家ばかりである。東洋史学科進学を志す学生諸君には、このような教員の研究の積み重ねと現在の興味とが色濃くにじみ出た講義や演習から何かをつかみ取ってもらいたい。
 次に各教員の研究内容を西から紹介しよう。大稔准教授はイスラーム期の西アジア史、水島司教授は南アジア近現代史、島田竜登准教授は東南アジア史、吉澤誠一郎准教授は近代中国の政治社会史、佐川英治准教授は中国古代史、北川香子助教はカンボジアを主とした東南アジア史前近代史である。また韓国朝鮮文化の六反田豊准教授にも朝鮮史の演習・講義をはじめとして東洋史学科の教育に参加していただいている。

大稔哲也准教授

中東社会史を専門とする。北イラクからシリアをはじめとする地域を中心に研究を進めてきたが、近年はエジプトを主な対象地域としている。「死者の街」と称され、現在百万人以上が居住する墓地区から、文字資料(文書・写本を含む)とフィールドワークにもとづいて社会史の諸問題を照射し、さらにムスリム社会における聖者崇拝や聖地参詣、都市研究、ムスリムの他界観、前近代の地域意識、ムスリムとコプト・キリスト教徒との関係などへ研究を展開している。もうひとつの領域は、現代カイロの庶民街(オールド・カイロ地区)における民俗誌研究である。それに関連して、フィールドワークに基づく現地調査を20年前後にわたり欠かさず実施してきた。

近年の論考に、”Tasawwuf as Reflected in the Ziyara Books and Cairo Cemeteries” in Le Développement du soufisme en Égypte à lépoque mamelouke, Cairo, 2006, "Cairene Cemeteries as Public Loci in Mamluk Egypt", Mamuluk Studies review, vol.10-1, 2006. 等がある。

講義では中東社会史の諸問題を扱い、演習ではアラビア語史料を講読している。


水島司教授

南アジア近現代史を担当する。18世紀から現在に至る南インド社会を対象にして、現地調査や村落文書、衛星情報等を利用して、歴史地理情報システム(Historical GIS)を駆使したユニークな研究を進めている。 またマレーシアをはじめ、アジア各地で十数年にわたる現地調査を実施してきており、村落開発、移民、エスニシティー等の問題について多くの論考を発表している。また近年はアジア史を世界史的連関の中で描くグローバル・ヒストリー研究に力を注いでいる。

主著は『18-20世紀南インド在地社会の研究』(東京外大アジア・アフリカ言語文化研究所、1990年)、『前近代南インドの社会構造と社会空間』(東京大学出版会、2008年)などの単著をはじめ、『ムガル帝国から英領インドへ』(中央公論社、1998年)、『世界システムとネットワーク』(現代南アジア6、東京大学出版会、2003)、などの編著、 "From Mirasidar to Pattadar: South India in the Late Nineteenth Century", Indian Economic and Social History Review, 39-2&3, 2002をはじめとする英語論文がある。

なお授業関係の最新情報についてはHP(水島研究室)を参照されたい。

水島教授のHP(水島研究室)

吉澤誠一郎准教授

19世紀末から20世紀初めの中国政治社会史、特に天津の歴史を研究している。近代都市社会の形成を民衆運動、ナショナリズムなどの問題と関連づけながら描き出している。最近では、中国の沿海部と内陸部との経済格差の歴史的起源に関心を持ち、内陸中国に頻繁に足を運んでいる。

主著として、『天津の近代――清末都市における政治文化と社会統合』(名古屋大学出版会、2002年) 、『愛国主義の創成――ナショナリズムから近代中国をみる』(岩波書店、2003年)がある。

講義では、中国近現代史の最近のトピックスをとりあげ、演習では、漢文史料および関連論文の講読を行う。

佐川英治准教授

中国古代史を専門としている。魏晋南北朝を中心に、均田制の成立と展開を徴兵制や魏書編纂の問題と関連させながら追求してきた。近年は都城空間と礼制の変遷に関心を持ち、その政治的要因・社会的要因について伝世文献、出土資料、フィールドワーク、衛星情報など様々な方法を用いて研究を進めている。

主要論文に「北魏の編戸制と徴兵制度」(東洋学報801号、1999)、「北魏均田制の目的と展開-奴婢給田を中心として- 」(『史学雑誌』1101号、 2001年)、「東魏北齊革命と『魏書』の編纂」(『東洋史研究』641号、2005年)、「遊牧と農耕の間-北魏平城の鹿苑の機能とその変遷-」(『岡山大学文学部紀要』47号、2007年)「「奢靡」と「狂直」-洛陽建設をめぐる魏の明帝と高堂隆-」 (『中国文史論叢』6,2010年)

演習では中国古代史の古典的名著である陳寅恪『隋唐制度淵源略論稿』を関連する史料や論文を参照しながら輪読している。

北川香子助教

東南アジア史を専門としている。主な時代・地域は、アンコール王都放棄後および植民地期のカンボジアである。各国史の寄せ集めでない大陸部東南アジア史を構築するため、シャム、ベトナム等近隣の政治圏との関わりの中での地域の動態に注目してきた。カンボジアに関する文献史料は極めて少なく、先行研究も存在しないため、『王朝年代記』諸写本の読解、フランス・カンボジアの文書館での文書史料調査に加えて、口承伝承の採集、遺構の調査などのフィールドワークを行ってきた。
 主な著作に、「ポスト・アンコール」(『東南アジア史①大陸部新版世界各国史』山川出版社、1999年)、「ポスト・アンコール」「ハーティエン」(『岩波講座東南アジア史4』、2001年)、『カンボジア史再考』(連合出版、2006年)、『アンコール・ワットが眠る間に―カンボジア歴史の記憶を訪ねて』(連合出版、2009年)などがある。

以上の他にも、本学東洋文化研究所の森本一夫准教授が「ペルシア語史料講読」を講義している。
 
さらに毎年数名の非常勤講師を外部から招き、多様な分野にわたる講義をお願いしている。2012年度は、髙松洋一講師の「オスマン朝の文書と国家」、広瀬崇子講師の「現代インド政治史」、中村淳講師の「モンゴル時代史の諸問題」、岩間一弘講師の「中国近代の都市社会とマスメディア」、Rohan D'Souza講師の「Population, Scarcity and Nature: Rethinking the Post-Development Debate」等の授業が行なわれる。 これらの授業にもぜひ積極的に参加していただきたいと思う。

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