レジュメの作り方

ゼミの報告のさいに配布する資料のことをレジュメといいます.レジュメはフランス語のresume(要約)から来ています.英語ではハンドアウト(handout)という言い方をしますが,日本では,レジュメという言葉の方が一般的です.

レジュメはゼミナリステンの共有財産ですから,各自が整理しやすいように形式的に統一されている必要があります.本ゼミでは,縦長のA4版の用紙に横書きで作成することを義務づけていますので,必ずこれを守ってください.ときどき,これを無視したレジュメを配布するひとがいますが,これは他の人の迷惑になりますので注意してください.

ゼミで配布するレジュメには次の事項が書いてあることが必須です.

  • タイトル
  • 日付
  • 報告者の氏名
  • ページ … 順序がわかるように
  • 文献目録 … 必要に応じて巻末に

文献目録の作成は,以下のような書式で,アルファベット順かアイウエオ順に並べます.なお,さらに詳しい点については,日本社会学会編『社会学評論スタイルガイド』を参照してください.同書は,日本社会学会編集委員会のホームページから閲覧・ダウンロードが可能です.

著者名,出版年,『タイトル――サブタイトル』出版社名(外国語文献の場合は出版社の前に出版地を記すことが多い).

著者名,出版年,「論文のタイトル」『雑誌名』巻(号):論文の最初のページ-最後のページ.

学部のゼミの場合,レジュメは,次の二つのタイプに分類されます.

  • 講読文献の要約
  • 研究報告

研究報告は,さらに,自由研究と課題研究に分かれるかもしれません.

ゼミでの報告は,<読む>という行為ではなくて,<話す>という行為です.レジュメは<話す>ことの内容を理解してもらうために用いる補足的な材料であって,報告原稿や報告用のノートではありません.ですから,レジュメは,報告の概要をつかめるような体裁にしておく必要があります.そのためには,文章をだらだら書くのではなく(レジュメは元々の意味が要約であるということを思い出してください),箇条書きを原則として,チャート図を用いたり,視覚に訴える図表を用いたりするなどの点に心がけましょう.

文献レジュメの場合

講読文献のレジュメを作成する場合には,制限時間内に報告できるように,文献の忠実な要約をすることが必要条件となります.しかし,これだけでは不十分です.報告者の疑問点・コメントなどが記してある必要があります.また,他の人が読んでいない文献を紹介するのではなく,全員が同じ文献を読んでいるときには,単にテキストを要約するのではなく,テキストに関連して読んだ文献や資料などについてもふれておく必要があります.他の人もすでに読んでいるわけですから,報告者には,さらに付加価値が要求されるわけです.

研究発表のためのレジュメの場合

研究発表のためのレジュメの場合も制限時間内に報告できるように作成しなければなりません.問題の設定を明らかにしたうえで,その問題を解く過程をわかりやすく説明する必要があります.そのために大切なことは論理的なつながりを明らかにすることです.論理的に不明確な議論を他人に分からせることは不可能です.しかし論理的に一貫していても証拠がないと空理空論になってしまいます.そこで自分の主張を裏づけるデータを適宜示すことが重要となります.またレジュメは読むためのものというよりは,話を聞くのを助けるためのものです.ですからレジュメに書くことは必要最小限のものにとどめるべきです.また耳で聞いただけではわかりにくいもの,例えば,グラフや表などはレジュメのなかに積極的に取り入れるべきです.

最近はプロジェクターを使ったプレゼンテーションも増えてきました.今後はスライドの作成にも慣れ親しんでいくことが求められます.

ver. 1 2001/5/14, ver. 2 2006/4/19