notre dame

 テレビで映画『エヴィータ』を見ました.聞きました(?).劇場でのミュージカルと映画を合わせると,たぶん6回目なのですが,ちょっと気になるところがあります.というのは,最初の1,2回めのときは,たしかペロン夫妻が「虹の旅行」と呼ばれる欧州旅行のさいに,バッキンガム宮殿を訪れたところが,イギリスでは紅茶一杯のもてなししか受けずに,エヴィータが地団駄を踏んで怒り出す場面があったように記憶しているのですが,今回の映画も含めて,最近見る『エヴィータ』にはこの場面がないのです.僕の記憶違いなのか,脚本が修正されたのか,ちょっとしたmysteryです.

 趣味が通俗的だと誰かに言われそうですが,ロイドン・ウェッバーの音楽が好きなので,彼の作品は『ジーザズ・クライスト・スーパー・スター』以来だいたい見ています.彼の作品の場合,音楽とは違って話の筋に惹かれることはまずないのですが,ときどき考えさせられることもあります.今回はマドンナの演じるエヴィータの顔が,一周忌が近かったこともあって,ダイアナの顔に妙に重ね合わされました.ダイアナはエヴィータと違って,れっきとした貴族の出身でしたし,政治権力を求めることもありませんでしたが,ともに美貌と華麗を売り物にしながら,その支持者たちが社会的に恵まれない人びとであったという点では共通しています.彼女たちはともに,それぞれの社会で,notre dame = Notre Dame だったわけです.社会に抑圧のある限り,エヴィータやダイアナは生まれる続けるのでしょう.[1998/9/15]

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