授業紹介


ここでは高野が担当している授業について紹介しています
  1. 大学院のゼミ(発想シミュレーション)
  2. 学部のゼミ
  3. 学部の講義
最終更新日: 03/05/22
1. 大学院のゼミ

 大学院の授業はゼミのみです。

内容 = 発想シミュレーション

 東京大学で大学院の授業を担当するようになってから10年以上に渡って、「発想シミュレーション」という独自の授業を続けてきました。


目的 = 発想技能の訓練

 発想シミュレーションの目的は、独創的な研究アイデアを生み出すための認知技能を訓練することです。
 独創的な研究には独創的なアイデアが不可欠です。実験装置、プログラミング、統計分析などが高度な水準にあっても、それだけでは、堅実な研究にはなっても、独創的な研究にはなりません。
 独創的なアイデアが生まれる場面は幾通りもありますが、大学院で実際に体験できる場面は、普通、せいぜい1通りか2通りぐらいです。指導教官からテーマを与えられて研究をおこない、学位論文を書く場合には、研究アイデアを自分で生み出す経験を1度もせずに終わってしまうということすら珍しくありません。
 発想シミュレーションでは、いろいろな場面を設定し、そこで研究アイデアを生み出す練習をします。それによって、将来、研究の中で遭遇するどのような場面でも、独創的な研究アイデアを生み出せるようになることを目指しています。


方法 = 発想課題

 独創的な研究アイデアが生まれる状況をシミュレートした課題を教官が用意しています。この課題は、科学史、科学哲学、独創性に関する心理学的研究、教官自身の体験・見聞などをもとにして作成し、10年以上に渡って改良を続けてきたものです。


課題の種類 = 一時課題・年間課題・基礎技能課題

一時課題
 受講生は、自分の研究分野から適切なテーマを選んで、それを材料に、課題が設定したやり方で独自のアイデアを生み出す努力をします。たとえば、「矛盾解消課題」では、自分の研究分野から、一見矛盾しているように見える実証的な知見を2つ選び出し、それらを矛盾なく統一的に理解できるような説明を考案します。
 生み出したアイデアとその背景説明を答案レジュメにまとめて、参加者全員に配布します。他の受講生は、そのアイデアの妥当性と独創性を評価し、その結果を論評レジュメにまとめて、やはり参加者全員に配布します。
 答案レジュメと論評レジュメにもとづいて、授業では、提出されたアイデアの妥当性と独創性に関する検討を討議によっておこないます。

年間課題
 一時の集中的な努力によってアイデアを生み出すという方法ではなく、たまたま頭に浮かんだアイデアを記録しておくという方法でアイデアを得る訓練をします。たとえば、「セレンディピティ課題」では、実証的な研究をおこなっている最中に生じた偶発時に注目し、その心理学的な意味を考えてみます。まだ研究がなされていない現象であれば、その現象を説明する仮説を考案し、その仮説の妥当性を検証するための実証的研究を工夫してみます。
 この年間課題では、あらゆる出来事の中から研究アイデアを見つけ出そうとする態度を養うと同時に、思いついたアイデアをこまめにメモしておくという習慣をつけることを狙っています。
 年に2回、メモしておいたアイデアの中から価値の高いものを選んで答案レジュメにまとめ、参加者全員に配布します。アイデアの価値・独創性は討議によって検討します。

基礎技能課題
 一時課題・年間課題をおこなうための基礎になる認知技能を訓練します。
 たとえば、「説明課題」では、誰もが知っている心理学的な知見を選び、それを演繹できる定式化された説明を構成します。すなわち、説明に含まれる主要な仮定をすべて書き出し、それを使って、ターゲットとなった知見が論理的に演繹できることを示します。

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2. 学部のゼミ

 学部のゼミは、年度によって、いろいろと異なった方式でおこなっています。
 どの方式でおこなう場合も、最初に、文献解説のしかた、レジュメの作り方について、教官が説明をします。英語文献の速読・精読のしかたについても説明し、実際に速読・精読の練習をおこないます。


輪読

 日本の大学のゼミでは最も一般的な方式です。文献を教官が選び、受講生に担当箇所を割りあてます。受講生は、担当箇所を読んでレジュメを作り、授業でその内容を解説し、質疑応答をおこないます。
 2002年度からは、レジュメは担当者がパソコン(+プレゼンテーション・ソフト)で作成し、授業では、それをプロジェクターでスクリーンに映し出して解説をしています。
 講読する文献は、認知心理学に関するものです。


ディベート・ゲーム

 ディベート・ゲーム方式の目的は、討論の技術を身につけることと、文献の内容をより深いレベルで理解することです。  この方式では、心理学で論争になったテーマを取り上げます。そのテーマに関する基礎文献を、まず、輪読方式で講読します。つづいて、ディベート・ゲームのやり方を練習します。
 そのテーマをめぐる特定の見解について、受講生を賛成陣営と反対陣営に無作為に分けます。毎回、各陣営の担当者は、自分の陣営の文献を解説し、その内容に添った立論をします。対立する陣営の受講生は、その立論に反論を加え、両陣営のあいだでディベートをおこないます。毎回、審判が勝敗を判定し、その理由も述べます。
 論客がいた年は、非常に面白いディベートができました。一方の陣営が決定的に不利になり、教官が「もう反論はできないだろう」と思ったときでさえ、説得力のある反論を展開した受講生もいました。
 女子学生の論客が2人そろった年には、一方が指をポキポキ鳴らしてから発言すると、もう一方がやはり指をポキポキ鳴らしてから反論するという壮絶な場面もありました。教官は心の中で笑い転げていたのですが、受講生はみな真剣で、あとで訊いてみると、指を鳴らす音にはだれも気づいていなかったことがわかり、びっくりしました。

 研究計画の立案など、他の方式でおこなうこともあります。

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3. 学部の講義

心理学研究法

 最近まで、隔年で、心理学研究法の講義(通年)をおこなってきましたが、最近は、心理学概論の中で半期だけ心理学研究法を講義しています。
 この講義では、まず、科学的研究の基礎原理を科学哲学的な観点から考察します。その基礎の上に立って、各種の心理学的な研究方法の意味を考えます。


認知心理学

 最近は、毎年、認知心理学の講義を半期でおこなっています。
 人間が頭の中でおこなっている情報処理は直接観察することができませんが、それをどのように調べるのかという問題に重点を置いています。それを知ることによって、認知心理学の書物に記してあるさまざまな知見の意味合いを的確に判断できるようになることを期待しています。


人間とは何か?

 進化と文化、あるいは、遺伝と学習という観点から人間の理解を試みるという半期の授業を隔年でおこなっています。知能の生得説に関する論争から始めて、日本人論、進化心理学などの知見を批判的に吟味することによって、人間についての理解を深めることが狙いです。

 その他、年によって、思考、形態認識などをテーマとした授業をおこなっています。

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