安楽死が倫理的に正当化され得る条件
日本における判例−積極的安楽死が認容される条件−
次に挙げるのは東海大の事例についての判例による条件である。
(1) 耐え難い肉体的苦痛がある
(2) 死が避けられず、その死期が迫っている
(3) 肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、他に代替手段がない
(4) 生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示がある
判例プラス・アルファ
次のa,bは東海大以前にあった判例からの補いである。c,dは思い付くままに付加したもの。
(a) 医師が行う
(b) 死をもたらす手段が、本人に苦痛を与えるようなもの、残酷なもの
であってはならない
(c) 患者の意思確認のプロセスは十分なコミュニケーションとケアによるものである
(d) 医師の独断ではなく、医療チームとしての合意による
上記判例の問題点
上記判例に示される安楽死についての認識自体もまた、それでよいかどうか、また
倫理的な視点からいっても正当であるかどうかを吟味する必要がある。
たとえば、次のような疑義があろう。
- 苦痛は「肉体的」に限られるか? (オランダでは、精神的苦痛も条件として認めている)
- 判例の条件(3)が満たされるような事例は存在可能か? (ことに肉体的苦痛に限定した場合、死をもってしかそこから解放できない事例はなくなるのでは?)
これらの問題については---> 安楽死が正当化される状況はあり得るか