『医療現場に臨む哲学』もう一つの索引


同書に含まれるいろいろな筋を辿って読む道筋のご案内です。時間を見つけて少しずつ作りますので、時々のぞいてください。また、「こんな筋で読むのはどうか」といったご提案もいただきたいのです。
状況把握と状況への姿勢 ['97/6/6 作成]

人は自分が置かれた状況を把握しつつ、状況に向かい、対応している。状況を如何に把握するかが、状況に対してどのような姿勢を取るかということと対になっており、人の生にとって決定的である。------このような筋を追ってみました。



「スピリチュアル」と言われる事柄 ['97/7/3 作成]

緩和医療という領域において、専門家たちの間でもっとも意見が食違い、考え方の違いに伴って、自分とは違う立場の医療に対して批判的になるポイントは、いわゆる「スピリチュアル」と形容される事柄だと思います。
つまり、ホスピス運動はもともとキリスト教的背景をもってはじまったものであり、かつ死に行く人を看取るという場面では宗教的要素が配慮されるのが自然でもあるので、従来ホスピスには宗教的背景のあることが多かったわけです。したがって、そういうところで活動してきた医療の専門家たちは、 「死の受容」とか「死後への希望」とかいうことに配慮しようとします。 これに対して、例えば癌の専門医であった人が、その臨床経験から、終末期医療の必要性を認識して、緩和医療の世界に進出してきた場合には、QOLに配慮することは同じでも、「死の受容」といったことにまで干渉することには抵抗を覚えるのです。私は、宗教的背景のない終末期医療をしようとする専門家たちと対話しながら考えてきましたし、また私の元来の専門は、キリスト教思想と絡み合いながら思索がなされていた時代の西洋の哲学でもありますので、そういう立場からの発言をしています。