遠隔調査で得られる音声データの比較
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)はまだ終息の兆しを見せず、臨地調査の再開はしばらく望めません(2020年8月現在)。
臨地面接調査に代わる手段として、オンラインビデオ会議アプリケーションなどによる遠隔調査があります。ただし調査者が望むICT環境を相手側が整えられるとは限りません。研究目的に適い、かつ、協力者に過度の負担にならない手段を選ぶ必要があります。
以下では、さまざまなICT機器・ツールで得られた音声データを示します。a~dは全て通信を経るものです。音声の解説や、私のオンライン調査体験記は、このページ(日本方言研究会のウェブサイト)に掲載の記事に記しています。遠隔での質問調査のツールを選ぶ際の参考になれば幸いです。
- ※ 発話者の使用機器 / 収録者の使用機器
- a. Zoom ミーティング(記録:Zoom レコーディング機能)(注1)
- a1. デスクトップ型PC、USBマイク / ノート型PC
- a2. ノート型PC、内蔵マイク / デスクトップ型PC
- a3. タブレット端末(iPad)、内蔵マイク / ノート型PC
- a4. スマートフォン(Android)、内蔵マイク / ノート型PC
- b. Skype ビデオ通話(記録:Skype レコーディング機能)(注2)
- b1. デスクトップ型PC、USBマイク / ノート型PC
- b2. ノート型PC、内蔵マイク / デスクトップ型PC
- b3. タブレット端末(iPad)、内蔵マイク / ノート型PC
- b4. スマートフォン(Android)、内蔵マイク / ノート型PC
- c. LINE ビデオ通話(記録:Windows10標準搭載 動画キャプチャ)(注2)
- c1. スマートフォン(iPhone)、内蔵マイク / ノート型PC
- d. 電話回線による通話(記録:通話録音アプリ「Idea 通話レコーダー」)
- d1. スマートフォン(iPhone)、内蔵マイク / スマートフォン(Android)
- 注1. デスクトップ型PCとノート型PCでは、マイクの「自動で音量を調整」をオン、オーディオ処理「連続的な背景雑音の抑制」「断続的な背景雑音の抑制」「エコー除去」をいずれも「自動」に(発話者・収録者とも)。タブレット端末とスマートフォンでは「オリジナル音声を使用」をオフ(以上はいずれもデフォルトの設定)。また、ここで示す音声は、標準で作られる m4a ファイルを編集。
- 注2. ここで示す音声は、Skypeや動画キャプチャで作成されるmp4形式の動画から、Audacityにより音声のみを抽出、編集し、m4aファイルを作成したもの。
- 使用機器
- デスクトップ型PC:DELL OPTIPLEX 3010, OS Windows 10
- USBマイク:サンワサプライ 無(全)指向性 フラット型 MM-MCU06BK
- ノート型PC:TOSHIBA dynabook P2-G5JB, OS Windows 10
- タブレット端末(iPad):iPad Air 第3世代
- スマートフォン(Android):SONY Xperia SO-02J
- スマートフォン(iPhone):iPhone11
- ソフトウェアのバージョン
- デスクトップ型PC:Zoom 5.0.3, Skype 8.63.0.76
- ノート型PC:Zoom 5.0.2, Skype 8.56.0.103
- タブレット端末(iPad):Zoom 5.1.2, Skype 8.38.0.138
- スマートフォン(Android):Zoom 5.2.0, Skype 8.61.0.96
- 【参考】Zoomミーティングによる奈良田方言調査でのやりとり(narada_okkanai.m4a)
ノート型PC、内蔵マイク / デスクトップ型PC(同上)
- 【参考】録音機(Zoom H4n)で記録した音声(.wav, .mp3)
2020.8.10 公開
2020.8.12 注1・注2に追記、ソフトウェアのバージョン情報を追加
2020.8.19 日本方言研究会へのリンクを追加