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概要
こちらでは、イスラーム地域研究東京大学拠点の拠点形成の意義と目的や組織、テーマ、研究課題、事業計画などについて紹介しております。当研究グループへのお問い合わせはこちらまでお願いいたします。

 拠点形成の意義と目的
 組織
 テーマ
 研究課題
 研究計画(2011-16年)
 2011年度の事業計画

 拠点形成の意義と目的

本研究科は、これまでアジア文化研究専攻を中心として西アジア・中央アジア地域の歴史およびイスラームの思想と文化を研究する大学院生を育成し、日本のイスラーム研究を支える多くの若手研究者を送り出してきた。当該分野に関する博士論文も質量ともに確実に向上している。今回の拠点形成は、このような実績をふまえた上で、実証性と現代性とを備えたイスラーム地域研究を立ち上げることにより、新しい研究領域の開拓をめざすとともに、従来の歴史、思想、文化研究に新たな展望を開くことを目的とする。具体的には「近現代中東・中央ユーラシアの思想と政治」を課題とする研究グループを組織する。そのために次世代人文学開発センターに設置されたイスラーム地域研究部門に研究科の内外から専門研究者を招き、具体的な研究プロジェクトを実践・展開する中で若手研究者の育成をめざしたい。第二期においては、プロジェクト研究の成果を大学院教育に還元することに努め、同時に英語その他の言語による成果の国際的な発信をさらに強化したい。

 組織

拠点代表
  • 大稔哲也(東京大学大学院人文社会系研究科次世代人文学開発センター(以下「センター」という)イスラーム地域研究部門の長、人文社会系研究科准教授、センター流動教員)
拠点構成員:
  • 長沢栄治(イスラーム地域研究部門研究員、東洋文化研究所教授、センター流動教員)
  • 小松久男(イスラーム地域研究部門研究員、東京外国語大学大学院総合国際学研究院特任教授、センター流動教員)
  • 臼杵陽(イスラーム地域研究部門研究員、日本女子大学文学部教授、センター客員教員)
  • 飯塚正人(イスラーム地域研究部門研究員、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授、センター客員教員)
  • 新免康(イスラーム地域研究部門研究員、中央大学文学部教授、センター客員教員)
  • ティムール・ダダバエフ (イスラーム地域研究部門研究員、筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授、センター客員教員)
  • 河原弥生(イスラーム地域研究部門研究員、人間文化研究機構地域研究推進センター研究員)

 テーマ

『イスラームの思想と政治:比較と連関』

中東と中央ユーラシアを主要な研究対象とし、18世紀以降の近現代における思想と政治の動態にみちた相互関係を比較と連関の視点から実証的に研究することを目的とする。

 研究課題

「近現代中東・中央ユーラシアの思想と政治」

イスラーム地域研究の第1期において、本拠点では拠点構成メンバーの専門性と研究課題の現代性とを考慮して、中央ユーラシアと中東を主要な研究対象とする二つの研究グループを組織して研究を行った。研究グループ1「中央ユーラシアのイスラームと政治」は、1991年のソ連解体によって私たちの眼前に出現した新しいイスラーム地域に注目し、激動を繰り返した政治体制とイスラームとの知られざる相互関係を明らかにし、人々の記憶や写本を含む新史料の収集と公刊に努めた。次の課題は、他のイスラーム地域とのさらなる比較によって、この地域のイスラームの特質を解明することである。研究グループ2では、中東・イスラーム世界における民主化の展開について、各国の選挙制度とその実態、政党制度など基本的な情報を収集・分析し、データベース化して公開した。これほど信頼度が高く詳細かつ網羅的なデータベースの作成は世界でも初めての試みであり、政治学研究の発展に資するとともに当該地域に対する実践的関心にも応えた。中東問題の核心であるパレスチナ問題に関しても、東アジアや広島の問題との比較の視点からシンポジウムを連続して開催し、広く社会的関心を集めるとともに、問題の理解に貢献した。

第2期においては、第1期の研究成果を継承すると同時に、研究のさらなる高度化をはかるために、二つの研究グループを一つに統合することとした。それは、中東・中央ユーラシアという新しい組み合わせをすることにより、上記の主要なテーマに関する研究を一層深めることができると考えたからである。近現代の中東・中央ユーラシア地域では、転変激しい時代情況と対峙しながら多様な政治・社会思想が形成され、それはしばしば政治社会運動と結びついて動態に富んだ展開を示しながら現在に至っている。これらの思想や運動は同時代の政治体制と結びつくこともあれば、緊張をはらむことも少なくない。それは中東・中央ユーラシア諸社会の内部から生まれたことは言うまでもないが、同時代の世界、とりわけ国際関係やイデオロギーとの相関関係の中で展開してきたことも事実であり、こうした動向は現代のグローバル化の進展とともに共振と反発の両面で顕在化していることがわかる。中東・中央ユーラシアにおける思想と政治の動態を総合的に検討することは、現代世界をその深部から理解する上で欠かすことのできない作業と考えている。研究にあたっては日本との直接、間接の関係も視野に収めておきたい。

 研究計画(2011-16年)

「近現代中東・中央ユーラシアの思想と政治」を研究課題とする本拠点の研究活動は、具体的には以下の3つのテーマを中心に行われることになる。第一は、すでにグローバルな問題となって久しいパレスチナ問題であり、この課題については国際共同研究のネットワークの拡大に努めるとともに、オスロ合意体制の再検討を当面の中心テーマとして国内の若手研究者の組織化をさらに進め、将来におけるパレスチナ研究の内外の結節点となる組織の形成に向けて基盤づくりを行いたい。第二は中東・中央ユーラシアの民主化研究であり、対象諸国を中東諸国から中央ユーラシア諸国、さらには南アジアや東南アジアのイスラーム諸国に拡大し、比較実証研究と理論研究を組み合わせた共同研究を進め、国際政治学など他分野への発信力をもつ研究内容の充実をめざしたい。第三は近現代における政治・社会思想の形成と動態であり、とくにこの面で研究が未開拓である中央ユーラシア地域に重点を置きたい。それはオスマン帝国やその後の中東諸国における政治社会思想の展開との比較や連関を見いだす手法によって開拓することが可能となるにちがいない。本拠点では、上記のテーマに即した研究会、国際研究集会、海外調査などを開催、実行し、その成果を順次発表することにしたい。

研究成果の公開としては次の3つの方法を予定している。
  1. TIAS Research Series の刊行:本拠点における研究成果をすみやかに公開するために、第1期に刊行したCentral Eurasian Research Series とTIAS Middle East Studies Seriesをともに継承して刊行する。刊行にあたっては史料/資料的な価値の高いものを優先し、言語としては日本語と外国語の別を問わない。
  2. 英文の論文集:第2期の5年間に開催されるシンポジウムなどのペーパーをもとに編集し、New Horizons in Islamic Studies Series の中で刊行する。他の研究拠点や研究グループとの連携も視野に入れる。
  3. ウェブサイト上での研究成果の公開と蓄積:第1期の経験と蓄積をふまえて、新たな形式でウェブサイトを立ち上げる。上記1の成果をPDFで公開することを計画している。

 2011年度の事業計画

  
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