本調査は、中東における近年の政治変動がエジプト人の政治意識にいかなる変化をもたらしたかを把握し、以下2つの目標を達成するべく実施された：①エジプトの人々が文化、社会経済、政治といった領域で他国をどのように認識しているかを把握する、②中東の文化、社会経済、政治に日本の人々がいかに参与すべきかを提言する。
世論調査の質問票は、岩崎と青山がとりまとめ役となり、浜中、髙岡、富田など現代中東を研究対象とする研究者・専門家の意見を集約するかたちで作成した。「［エジプト］社会成員の志向に関する社会的研究」（Dirasa
Ijtimatiya hawla Ittijahat Afrad al-Mujtamat）と題された質問票は、全46問から構成され、その内容は、①回答者の在外経験および在外渡航に関する希望、②諸外国の外交的パフォーマンスへの評価および中東地域の政治的懸案に対する意識、③国内の政治社会活動への参加の是非などをめぐる市民社会意識、④回答者の社会的属性などに及んだ。
エジプトでの調査準備は岩崎が主に担当し、調査機関ERTC（The Egyptian Research
and Training Center、カイロ）に調査協力を依頼し、アブドゥルハミード・アブドゥッラティーフERTC議長との数度にわたる直接面談、E-mailでの連絡調整の末、以下のような内容で調査を実施することに合意した。
- 調査対象国（地）：エジプト（カイロ県、ポート・サイード県、カファル・シャイフ県、メヌーフィーヤ県、ベニー・スエフ県、ソハーグ県）
- 調査対象者：主要6県の都市および農村地域に在住する18歳以上の男女1000人
- サンプリング：2006年統計調査に依拠した層化二階無作為抽出法。①県、②都市・農村という二つの変数に沿って層化作業を行う。
- 質問項目：本共同研究が準備する。
上記の合意に基づき、第1段階としてERTCが2008年10月にサンプリングとプレテストを実施した。そして第2段階として2008年11月に本調査（質問票の配布・回収、データ内容確認作業）が実施された。
（文責：青山弘之） |
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