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研究グループ2 特任研究員:佐々木紳 

 自己紹介
専攻:トルコ近代史

19世紀後半のオスマン帝国に現れた「新オスマン人」と呼ばれる知識人グループの活動と思想とを、オスマン・トルコ語の新聞や雑誌を用いて研究しています。新オスマン人が説いた立憲議会論は、1876年のミドハト憲法制定に大きく寄与しました。その一方で、彼らはオスマン帝国におけるパン・イスラーム思想の創成においても重要な役割を果たしました。そして、新オスマン人をはじめとする近代オスマン知識人がパン・イスラーム思想を深化させるに際して注目したのが、ほかならぬ中央アジアのトルコ系ムスリムの状況だったのです。そこで、オスマン帝国と中央アジアとのかかわりにも関心を広げ、オスマン知識人が書き残した新聞論説や旅行記を手掛かりにして、近代オスマン知識人の中央アジア観を思想史的観点から考察する作業も進めています。こうした研究が、トルコ共和国と中央アジア諸国との現在の関係を歴史的に理解するための一助になればと考えています。
 主な研究業績
  • 「新オスマン人運動の形成とクレタ問題:『報道者Muhbir』紙の募金活動を中心にして」『アジア・アフリカ言語文化研究』第79号、2010年、73-93頁。
  • 「1860年代オスマン帝国の議会論:ハイレッティン=カルスキの思想を中心に」『史学雑誌』第117編第8号、2008年、1-35頁。
  • 「メフメト・エミーン・エフェンディの『中央アジア紀行』について:概要と史料的価値」『内陸アジア史研究』第23号、2008年、153-163頁。
  • 「ナームク・ケマルの立憲議会構想:国家評議会からウスーリ・メシュヴェレトへ」『史学雑誌』第115編第2号、2006年、1-34頁。